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傾斜の上の水撒き

今朝の話。

とある横断歩道前。
長めの信号待ちで多くの人が立ち止まっている。

その横断歩道で待っている人たちの背後には飲食店がある。
店主が道に水撒きをしている。
店と横断歩道には緩やかな傾斜がある。
店主は人に当たらないように待っている人たちに対して水平に水をまいていました。

その水は傾斜に沿って流れ、歩行者の靴を湿らせます。
歩行者は信号を見ているため靴の状況に気づいていません。
店主も歩行者側を見ていないため水の行方に気づいていません。

これは、問題解決の文脈で捉えると

・被害が発生している箇所では問題発生に気づいていない
・被害者は靴を確認するタイミングで初めて問題に気づく
・加害者は被害を与えていることに気づいていない

という状態です。

例えばウォーターフォール型で行うシステム開発の文脈で考えてみましょう。

受託のシステム開発だとします。
発注者が要件定義の担当者に誤った要件を伝えたとします。
それに気づかず設計は進み、実装工程になります。
単体テストを終え、結合テストを終え、総合テストを終えます。
受け入れテストになってはじめて発注者が問題に気づきます。

ウォーターフォール型の開発の場合は、各段階で承認を得て進んでいそうなので、
遡って情報を確認すれば、発注者の要件伝達ミスだったことが分かるかもしれませんが、
現実における様々な場面においては、最初の「傾斜の上の水撒き」のように
問題の発生源が全く思いつかない、というようなことが起こりそうです。

例えば、この店主が継続的に同じ行動をとった場合かつ通行者が毎日ここを通る場合は、通りかかるタイミング次第で問題の構造に気づくかもしれません。
特にオチはありませんが、問題の原因と結果とその発見というのは難しいケースがあるのだろう、というのを日常から垣間見た瞬間でした。

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