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舞台挨拶レポート『シーナ&ロケッツ 鮎川誠と家族が見た夢』(福岡凱旋上映)栗田善太郎さん(ラジオDJ・ディレクター)が登壇!最後には寺井到監督も音声のみで登壇

福岡での開催8日目となる5月5日(金)、『シーナ&ロケッツ 鮎川誠と家族が見た夢』の上映後に、寺井到監督と、ラジオDJ・ディレクターの栗田善太郎さんが舞台挨拶を行いました。
 
本作は、福岡発のロックバンド「シーナ&ロケッツ」のドキュメンタリー。今年1月29日に74歳 で逝去した鮎川誠さんと、2015年に子宮頸がんで急逝した、妻でありボーカルのシーナ さんとの馴れ初めから始まる人生秘話。
 
寺井到監督の体調不良により、会場では急遽お一人での登壇となった栗田さんは、「まさかの一人登壇となりました!」と笑顔で挨拶。ラジオDJとして活躍する栗田さんは、シーナさんの追悼番組cross fm特別番組『HAPPY HOUSE ~ The Family's Starting Point~』(2015)で〈民間放送連盟賞 第11回日本放送文化大賞グランプリ〉受賞、鮎川誠さんとジュークレコード松本康さん出演の CROSS FM特別番組『Let the Good Times Roll!!』(2018)が〈平成30年日本民間放送連盟賞 ラジオエンターテインメント番組部門〉最優秀賞獲得など、シーナ&ロケッツにまつわるラジオ番組を精力的に制作してきたお一人。
 
実は、映画の中でも登場する北九州市若松の若戸大橋下での撮影時には同行していたといい、同級生の寺井監督と一緒に「シーナの夢 若松,博多,東京,HAPPY HOUSE」のタイトルで書籍も発刊されていることが紹介され、トークでは、取材時の様子や、鮎川誠さんの葬儀「ロック葬」の思い出を語った。
 

シーナ&ロケッツと他のロックバンドとの違いについて聞かれると、「鮎川さんは、『ロックはやっぱりカッコつけないかん』と、一歩家を出た瞬間に、『あ!鮎川誠や』となるくらい姿形からかっこよかった。(鮎川さんが暮らした)下北で犬の散歩をする時でも、革ジャン着てサングラスして出かけたとか。スタイル、生き様も含めて全て形として表現している。なのに、僕らやファンに分け隔てなく愛を届け、ロックとかブルースの難しいことや何を聞いても優しく答えてくれる。知らない音楽はCD焼いて持ってきてくれて、もうロックの大先生。それが鮎川さんたちのロックだなあと思う」と答えた。
 
シーナさんの地元でもある北九州市若松がシーナ&ロケッツのアイデンティティに与えた影響について聞かれると、「鮎川さんが若松に住んでなかったらシーナ&ロケッツは生まれていなかったかもしれない。鮎川さんは久留米出身で最初は福岡市に出たが、”家族”の人情味に触れたのは若松」と振り返った。
 
舞台挨拶では、今夏、本作の再編集版となる『シーナ&ロケッツ 鮎川誠~ロックと家族の絆~』が全国公開となることが発表され、会場からは拍手が。現バージョンでは、暫定最後の劇場上映となった本作の感想と作品の見どころについて栗田さんは、「本当に去年の8月に久留米(のライブ)に行けばよかったなと思った。お盆やコロナ、いろいろな事情があったが、訃報を聞いて行かなかったことを後悔した。映画を観て、そんなにキツい時でもステージに立ってくれてたんだなと思った。同じように思っている人は多いと思う。残された僕らとしては、『そこまでしてシナロケをロックを僕らに届けようとしてくれた人がいたんだ』ということを、この映画を観てもっともっと多くの人に知ってもらいたい。今日来られなかった人や、夏に公開される際には、もっと多くの人に伝えてもらえたらと思う。それが一番(シーナ&ロケッツを鮎川さんを)感じられることだし、それがいま唯一できることかなと思う。それが観た感想です。あとは、OFF(の顔)。僕らの見えない楽屋で家族に向けておじいちゃんや娘さんに向けての表情になっていることも魅力だなと思います」と語った。
 
鮎川さんに伝えたい言葉について、「NHKでドラマ作った時にいろいろダメ出しをいただいた。『なんでダメなんですか?』と尋ねに行ったら、鮎川さんは『ロックじゃなかけん』と。最初はなんでかわからなかったが、ロック葬で、『ロックか、ロックじゃないか』という判断基準だけで、自分の人生を全うできた人の顔を見た時に、『俺はただロックが好きでロックに被れとるだけで、全然ロックじゃなかったな』と思った。だから、ロックに生きた人がいたんだ、ということを絶対忘れないようにしようと思う。『ロックっぽい』じゃなくて、ちゃんと大事な時にはロックな判断ができる人間になれたらいいなと鮎川さんから習ったので。そのつもりでこれからもマイクの前に僕は楽しくやっていきたいと思います。鮎川さんありがとうございます」と、胸いっぱいに想いを伝えた。
 
そして、舞台挨拶の最後には、体調不良で登壇中止となった寺井監督と実は音声のみが繋がっていることがサプライズ発表され、寺井監督から、『こんにちは!』と挨拶があると会場からは笑いが。来場者へのメッセージでは、シーナ&ロケッツの思い出を振り返りながら、『(栗田さんからも久留米のライブの話があったが)ライブって本当にやっぱりその時その場所でしか見れないもので、本当に一期一会。どんなアーティストもいつ活動が終わるかわからない。僕らが好きなものもいつまで見れるか何の保証もない。だから、好きなものを応援するということはとても意味のあることだと思うし、そうすることが僕らが見たいものや素敵だと思うものを、より世の中に届けることになる。今日来ていただいている方はもちろん鮎川さんやシナロケが大好きだったりすると思う。とにかく皆さん、好きなものを鮎川さんのようにずっと好きなままで人生の側においていただけると、ちょっと鮎川さんのような幸せに近づけるんじゃないかと勝手に思っております。たまたま去年から取材を再開して、1年間、側に居れてとてもありがたいことだった。同時に、まさかお亡くなりになると思っていなくて。非常に辛い時もあったけれど、今は鮎川さんのあの姿を残すことができて、まだ伝えることができるということに大変感謝している』と、想いを込めて挨拶の言葉を述べた。
 
会場には寺井監督のご家族も来場していることが伝えられると満席の会場から拍手が起こり、オンライン通話先の寺井監督にも再び熱い拍手が贈られた。


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