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どうして宿題を先にやらないといけないんですか?

TBSラジオ「全国こども電話相談室」アーカイブ

Q:お父さん・お母さんに『遊ぶ前に宿題をやれ』って言われるんですけど、僕は遊んだ後でやりたいです。どうして先にやらないといけないんですか? (小学5年 男の子)

永先生:遊んでからやった方が集中するの?それとも後から楽しく遊ぼ~、だから今、やっちゃおうという方が集中できるの?君は遊んだ方が集中できるんだよね。でもお父さんとお母さんは「とにかくやっちゃいなさい」という考え方ね。それじゃ、宿題済んだよ、じゃあ、遊んでおいでと言えるじゃないですか?お父さんとお母さんの立場と君の立場は違うんだよね。違うんだけど、昔からお年寄りが言っていることで「先にやれば先に済む」「すぐにやればすぐに済む」という言葉があるの。わかる?とても上手な言葉だと思うのね。どちらにしてもやらなくちゃいけないわけですよ。どちらにしろ君は宿題が嫌いなんでしょ?

男の子:ちょっと嫌いです。

永先生:ちょっと嫌いなのね。嫌いなことは先に済ませてそんなこと気にしないでちゃんと遊んだ方がちゃんと遊べるんじゃないかな~。

おねえさん:遊んでいるときはちょっと宿題のこと思い出したりしないの?

男の子:集中して遊んでいる時は大丈夫です。

おねえさん:でもまだ残っているなと思うと、何か嫌な気持ちになっちゃったりしない?

こども:はい。

永先生:宿題を楽しく済ませるっていうのは、遊ぶのに近い面白さがあると思わない?よく遊び、よく学べっていうけれど、本当は一つなんだろうな~と思うんですね。よく遊ぶとよく学べるし。よく学ぶとよく遊べるし。

おねえさん:どうして先にやっちゃえっていうのかと言うと、その後に何も気にしないで遊べるようにということなんでしょうね。

永先生:そうでしょうね。

理科雄先生:この問題はですね、非常に根深いものがあるんですね。僕の親もそうでしたし、彼のお父さん・お母さんもそうですし、今、お姉さんも永先生もそうですね。宿題は済ませるもの、終わらせるものという発送がどうしてもある。これは勉強する上でとか、あるいは、科学・理科を勉強する上ですごく良くないですね。済ませる・終わらせるというのは目の前からどけてしまえばいいという発想。そういうつもりで宿題をやれっていうのだったら、これはやらない方がいいです。

おねえさん:やらない方がいいですか?

理科雄先生:やらないで怒られた方がまだましです。

おねえさん:どうしてですか?

理科雄先生:要するに、宿題っていうのはそれよりも面白いことを考えるための基礎訓練なんですよね。例えば、野球選手が面白いプレーをするためにランニングをしたりとかするじゃないですか?それと同じようなのが宿題だから、やっぱり計算だったり、漢字だったりするのは「早く終わらしちゃおう」じゃなくて、一つ一つじっくりじっくり「ああ、なるほど。ふんふん」っていう風にやることがとっても大事なわけです。だから、これは時間のあるときにやった方がいいですよね。

おねえさん:じっくり取り組むということですね。

理科雄先生:早く宿題終わらさなければ、遊ぶ時間が少なくなちゃうよ~という状態で宿題をやるのは僕は良くないと思います。

おねえさん:もったいないぐらいですよね。

永先生:なるほど。納得。

おねえさん:せっかく宿題やるからには、じっくり向かい合って、遊ぶような気持ちでやるとその後にとっても楽しいことがあるということですね。

放送タレント 永六輔先生/空想科学研究所主任研究員 柳田理科雄先生


注:「全国こども電話相談室」は1964年7月から2008年9月まで全国各地のTBSラジオの系列局で放送された番組です。回答内容及び回答者の肩書・役職等は放送当時ものであることをご了承ください。

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