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今週の数字「6.5%」

TBS報道局編集主幹 播摩卓士

19日に発表された中国の今年7-9月期のGDPは、物価変動を除いた実質ベースで前年同期比6.5%増にとどまりました。伸び率は前期(4-6月期)より0.2ポイント低下し、2四半期連続の減速となりました。日本から見ると6.5%成長は随分高い数字なので、減速といわれてもピンと来ない方もいらっしゃるかと思いますが、この6.5%という数字は、リーマンショック直後の2009年1-3月期以来9年半ぶりの低い数字で、2015年のチャイナショック時をも下回っていると聞けば、中国経済の減速が鮮明になっていることがおわかり頂けるのではないでしょうか。

実は中国は、2020年のGDPを2010年比で倍増させることを国家目標にし、今の5カ年計画でも年6.5%成長を最低ラインと決めています。ですから多少のデコボコがあるにしても6.5%という数字は、政府公表統計としては、許容限度の下限に近い数字なのです。実際、このところ鉱工業生産は停滞していて、この夏から中国政府は景気刺激に大きく舵を切っています。

その一方、焦点の輸出はこの7-9月期は底堅く、貿易戦争の影響は、まだそれほど出ていません。アメリカによる2000億ドルを対象にした、巨額の第3段制裁の発動は9月24日、その前にむしろ駆け込み需要があったからです。貿易戦争の影響がまともにでるのは実はこれからなのです。中国経済の先行きは極めて不透明になっており、その行方は世界経済全体に大きな影響を及ぼしそうです。