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「身長100センチのママの子育てと自分らしい生き方」伊是名夏子さん(前編)

生まれつき骨の弱い病気で身長も100センチしかない伊是名(いぜな)夏子さんですが、お2人の子どもを出産し、子育て真っ最中なんです。そんな伊是名さんに出産のこと、子育てのこと、そして10人のヘルパーさんとの暮らしのこと、などなどたっぷりお聞きします。


身長100センチ2児の母

ミイナ:
Dooo!堀口ミイナです。いつもDooo見てくれてありがとうございます。今日のゲストご紹介しましょう。コラムニストの伊是名夏子さんです。よろしくお願いします。

伊是名:
よろしくお願いします。

ミイナ:
早速なんですが、自己紹介お願いします。

伊是名:
伊是名夏子と申します。伊是名って名前ちょっとあまり聞いたことないと思うんですけど、沖縄の名前で伊是名で、出身が沖縄です。私は見ての通り結構ちっちゃくて、身長も100cmぐらいしかなくて、骨の弱い障がいがあって、骨形成不全症という障がいがあります。

歩けないのでこうやって電動車いすっていう車いすに乗ってます。普段はコラムを書く仕事とかをしていて・・・今子供が二人いて、もうすぐ6歳ともうすぐ4歳になる子供が二人いて、子育てでバタバタしながらコラムを書いたり、あと講演会をしたりしています。

最近本も出版をして子育てのこととか、自分の障がいのことももちろん書いてるし、家族のことも書いてたり、あとパートナーシップについて。私夫とは戸籍を入れない夫婦別姓をしてるので、そういう話とか。あと、趣味が性教育。心のこと体の事、考えるのがすごい趣味なのでそういうのについても本について書きました。

ミイナ:
よろしくお願いします。早速なのでその本を。「ママは身長100cm」。「だっこもできないママだけど」ということで二人のキッズと一緒に写っていらっしゃる・・・明るい気持ちになれて楽しく読まさせていただいたんですけど、結構先天的なご病気で小さい頃から骨折が当たり前だったんですよね。


骨折が当たり前の人生

伊是名:
赤ちゃんって泣き疲れたりおっぱいとかを飲んで寝るんですけど、私生まれて一晩中泣いてて「あれおかしいなー」ってお医者さんが思って「なんでこの子寝ないんだろう」と思って生まれて一日経ってから「じゃあちょっと検査でもしてみようか」って検査をしたら・・・

頭の骨もほとんど作られてなくて薄くて「え、何この子!」みたいな。だいたい40年ぐらい前の沖縄の田舎の今帰仁(なきじん)っていう、今「美ら海水族館」があるところの近くの超ど田舎で生まれて、色々検査してったら骨の病気だっていうのが分かって、それでちっちゃい頃はそうですね。

何かこうやってイスに乗ろうとしてすぐ骨折したりとか、何かポンポンって叩かれて骨折をしたりとか、お姉ちゃんとかにおんぶをされてて笑い転げて「あははあはは」って笑ってガンって落ちて骨折をしたりとか、最近は、寒い日。冬の日の夜中に「寒いなー」と思って足下にある布団を被ろうとしたんですよ。掛け布団。それで「寒いなー」って思ってぐいっと引っ張ったらそれで手が骨折とかしちゃって。何か、意識的に考えて頑張って骨折していないだけで無理な動きとかをしたら結構骨折をしちゃう感じ。

ミイナ:
本当ちょっと負担がかかるだけでもうポキッといっちゃうんですね。

伊是名:
そうそうだから本当に一番怖いのは子供今6歳と4歳で、抱っことか「ママー!ぎゅっ」ていうだけで「ウッ」みたいな。だから本当に「気をつけて」みたいな感じで。

ミイナ:
何かその普通に生きてると骨折って結構一大事なんですけども、伊是名さんにとってはもうポキッて骨折するとどんな感じなんですか?

伊是名:
「あ、また折れちゃったー」ぐらいで。本当「風邪引いちゃった」ぐらいじゃないけど、だからちっちゃいときは年に3回ぐらい骨折をしていたので「あ、これは綺麗に折れてるから2か月かかるな、治るのに」とか本当にレントゲンを撮らないでも大丈夫で。でも先日私、雨の日に初めて大きな事故にあって。雨の日にカッパをしてたら、カッパが車いすのタイヤに掛かって、駅でガーンって体を包んでるカッパごと投げ出されちゃって、ガーンってぶつかって2か月前に。ここの頭蓋骨と鎖骨と肩甲骨三か所一気に折って。初でした。

ミイナ:
2か月前ですよね!?

伊是名:
2か月前。初。

ミイナ:
ちょっとも感じさせないぐらいお元気でいらっしゃるので。

伊是名:
もうね、徐々に徐々に。1か月ぐらい本当寝たきりっていうか。でも寝たきりもぶっちゃけ慣れてるので、そんなに落ち込まないっていうか「これは1か月ぐらいかな」みたいな。


ポジティブな理由

ミイナ:
伊是名さん本当に明るくて元気でいらっしゃるじゃないですか。ポジティブなのってこれってもう本当小さい頃からそういう性格で?

伊是名:
私がポジティブって言われるの2つ理由があって、1個目は私、両親がずっと共働きで。全然、私が障がいがあるからって言ってつきっきりだったことが無くて、結構一人にされることとかも多くて。あとはお爺ちゃんお婆ちゃんが手伝ってくれたり、近所の人がやってくれたりとかあって。何かそういうときって誰もついててくれないから自分で「助けて」って言わないと誰もやってくれないんですよ。自分でちょっと頑張らないとある意味、見捨てらるっていうか一人っきりにされるっていうのが、恐怖心でもあるんだけど、そういうのがあってどんどん自分からもっと言っていこうみたいな。

ミイナ:
逆にコミュニケーションどんどんしていかないと。

伊是名:
していかないと「一人きりにされちゃうよ」っていうのが一つと、あと1個は私姉がいるんですけど姉が二人いて。3歳上の姉と9歳上の姉がいて、姉二人は普通に歩いてて障がいとか無いんですけど。何か姉二人見てて「いや姉たちも大変そうだなー」っていつも思っていて。

姉たちは歩けるから朝も早く起きて6時にはゴミ捨てをしなきゃいけなかったり、歩けるから学校にも歩いて行かなきゃいけないけど「私は送ってもらえるし」とか。

だから何か「うらやましい」って思ったりとかそういう風に思わなかったのは「ポジティブ」って呼ばれるようなのに繋がってるか・・・

脳天気っていうか、「お互い大変だよね、あはは」って笑えるような感じなのが、まあ明るっぽく見えるところかなって思います。


自分の役割があるということ

ミイナ:
でもそれだけきっと身近なお姉さんたちと変わらず親が接してくれたりとか、友達もいらっしゃったりとか。

伊是名:
自分の居場所がある自分の役割があるっていうのはすごい大事だと。

ミイナ:
でもそれだけきっと身近なお姉さんたちと変わらず親が接してくれたりとか、友達もいらっしゃったりとか。

伊是名:

例えば親が「旅行に行きたい」って言ったら、全部私が航空券とかホテルの予約をやるんですよ。終いにびっくりしたのが、私2ヶ月前に骨3か所折って入院したんですよ。入院したら父が沖縄から会いに来てくれたんだけど、その時に「航空券は何で取った方が良いかな」って私聞かれて「いや私こんな寝たきりなのに聞く?」みたいな。


いい医者に巡り合うことの難しさ

ミイナ:
妊娠して出産するにしてもすごい色んな不安があったと思うんですけど、その辺ってどうだったんですか?

伊是名:

さっきちょっと性教育が趣味って言って・・・22~3歳の時に性教育面白いじゃんって思いだして。どんな本にもまず「婦人科検診に行きましょう」って書いてあって。

ってある。よしと思って婦人科に行きました。「検診したいです」って行った「え?」って顔されて。「え、あなた?」みたいな感じで。まず検診をするときって診察台っていう特別なイスに座ってちょっと足とかお股を開いて検診する部分があるんですけれども、まずその「イスにすら座れないよね」っていう体で、まずその「検診をしますか、しませんか」も聞かれないのよ。「出来ないでしょ」っていう体で軽くこうやって話して問診で終わるみたいなのが。そういう病院がいっぱいあって、そんな検診してくれないところにさ「子供産みたいんですけど産めますか?」とかって聞けないじゃないですか。きっかけとなったのが私が24歳ぐらいの時に私と同じ障がい、体を持っているママが産んだ病院があって、そのお医者さんに見てもらおうってなった時に診察しに行ったら、「あー」って言われて。ミイナさん女性の子宮の大きさってどれぐらいか分かりますか?

ミイナ:
あんまり分からないかも。

伊是名:
子宮の大きさって握り拳ぐらいでこれぐらい。平均6cmぐらいって言われて。私の子宮の大きさは6cm以上あって。

ミイナ:
大きめだったんですね。

伊是名:
そう、こんな「体100cmなのに」みたいな。で、お医者さんが「あなた意外と子宮大きいわね」みたいになって「産めるかもね?」みたいな。「No」っていう可能性もあるけど子宮の大きさだけで産める産めないが決まるわけじゃないので「ああ、妊娠の可能性はあるわよ」って言われて「良かった」と思って。

もう妊娠しちゃってるのにだよ。「これで妊娠って確定したら私たち見たくないから」とか「絶対無理よね、下ろしなさい」っていう人とかもいて、周りがほぼそうなんですよ。私みたいにたまたま「あ良いわよ」って言われたとこの方が少なくて。でもまあそれは私も何か妊娠する前にいっぱい調べてて妊娠したら当たりのとこに行ったからそう言われなかっただけで、やっぱりその自分が合うお医者さんプラスちゃんと見てくれるお医者さんに出会うのってとても難しくって・・・

しかもさ、お医者さんから一回「No」って言われたら「No」な気がするじゃないですか。

ミイナ:
お医者さんが言うことって絶対ぐらいに受け止めますよね。

伊是名:
そう、そこで1件目でへこたれないで、他の診察も受けるとちょっと道が開けるかなって思いました。

ミイナ:
あ、じゃあもう本当に最初はちゃんと見てくれる、前向きに見てくれるところ探すだけで大変だったっていう。

伊是名:
そこが大変で、私の場合は「絶対にちっちゃく生まれる」って言われてたので、だいたい27週っていって、だいたい赤ちゃんが8か月ぐらい、7か月ぐらいがもう目標。とにかく1000g超えましょうって。だいたい赤ちゃんって3000g前後で。

ミイナ:
ああ、だからちょっと未熟児の状態で。

伊是名:
生まれてっていうのを「目標にしましょう」って言ってて、「それまではどうにか体に入れてて下さいって」。で1000gぐらいなら行けるんじゃない?でも赤ちゃんの重さだけじゃなくて羊水とか色々、胎盤とか色々出てくるので1000g以上、だいたい3000gぐらいになるのかな。「目指しましょう」って言われてたんだけど、何かあれよあれよと順調に行って9か月目進んじゃって。

ミイナ:
どんどん育ってったんですか?

伊是名:
そう、こんなに大きく。で、体重が5キロ増えちゃって。

ミイナ:
伊是名さんぐらいあるじゃないですか。

伊是名:
本当に本当に。赤ちゃんがだいたい2キロぐらいで産まれて、あとは羊水とかそういう胎盤とかで全部で5キロぐらいがボーンってなって。でもそれも不思議だけどちょっとずつ大きくなるから大丈夫なんですよ。

ミイナ:
すごい、人間ってすごいですね。

伊是名:
そう、本当人間ってすごい、そこが何か良いとこだよね。でももちろんリスクも高いから、みんなに勧めるわけでは全然無いんだけど、もしやりたいとかタイミングがあったら挑戦してみるのも良いと思います。

ミイナ:
9か月目まで大きくなって無事?

伊是名:
それで帝王切開っていうので出産をして、何か超元気で。

ミイナ:
超元気。

伊是名:
子供は超元気で。それで私の場合よく言われるのが私と同じ骨の病気、障がいが2分の1の確率で遺伝をするんですよ。

ミイナ:
結構高いですね。

伊是名:
本当、結構高いので、「もう絶対産まれてくる子は絶対に私と同じ骨の弱い障がいを持っている」って思い込んでたんですよ。まあじゃなかったらラッキーというか、じゃなくても良いと、どっちでも良いと思っていて。1人目産んだら遺伝して無くて。「あ、そっか遺伝してないんだ」と思って。2人目産んだら、その準備をしたかったのでめっちゃ調べてたんだけど「何か今のところ骨折箇所ないですね」みたいになって生まれてからも何か元気で「あれちょっと予定と違うな」みたいな。

ヘルパーさんとの暮らし

ミイナ:
何か他のママと身長が違うとかそういうので悩んだりっていうことは特になかった?

伊是名:
私のお家は、私だいたい3キロ以上の物を持てないので一日10時間ぐらいヘルパーさんがお家に来てくれるんですよ。で私と一緒にお料理を作ったり、あと子供の抱っこ。赤ちゃんの時は抱っこしてくれたり。あとお散歩一緒に行ったり、オムツを変えたり、で今では幼稚園の送り迎えをしたり、布団を畳んだりとか、一緒にヘルパーさんが一緒にやってくれるんですよ。だいたい1日10時間入ってそれをシフトで回すんですよ。2時間ずつ3時間ずつとか。だから合計10人ヘルパーさんがいて。

この前子供の幼稚園参観に行って「パパ何する人―?」って先生が聞いて「お仕事してる」とか。そういうのを子供たちが言ってて。「ママ何してくれる人―?」って言ったら「お掃除してくれる」「ご飯作ってくれる」とか色々言うんですよね。そうしたら、5歳の息子が何も言わなくて。超彼おしゃべりなの。めっちゃ「ハイハイ」って自分が喋りたい人。なのに、何にも言わなくて保育参観の日に。あとで「ねえねえ、なんであの時何も喋らなかったの?」って聞いたら「だってママやってないじゃん」みたいな感じで言われてチッと思って。「ママがいないとヘルパーさんも来ないのに」と思いつつ、まあ子供にはちょっとそう見えてる。「別に家事とかしないけど、まあママ」って思っていて、更に2人目、3歳児のクラスでも先生が同じ質問をしてたんですよ。「ママ何してる人―?」って言って一番に「寝てるー!」って言ったの。あたしその時にちょうど骨折したばっかりで1ヶ月間寝てたの。「寝てるー」って言っててそれもすごい面白いなと思って、何か「寝ててもママ」みたいな。ママ大好きで。

ミイナ:
それは「寝ててもママ」ですよね。

伊是名:
そうそう。それが恥ずかしいとか嫌とかじゃなくて、「ママ今寝てるし」みたいな。

ミイナ:
じゃあもう今はありのままを、本当に受け止めてるっていう感じなんですね。

伊是名:
たぶん息子からしたら「え、なんでみんなのお家ヘルパー来ないんだろう」ぐらいたぶん思ってて。


ヘルパーさんのダイバーシティー

伊是名:
一人ね、パティシエさんをやっているヘルパーさんがいて・・・で例えば火曜日って結構ケーキ屋さんお休みのことが多いじゃないですか。だからケーキ屋さんがお休みの日に私ん家に入っていて火曜日とか。に入っていたりとか、色んな料理研究家の人がいたりジャズシンガーの人がいたり、マッサージ師がいたりとか。色んな人が、お坊さんがいたりとか。

ミイナ:
ヘルパーさんそんなにダイバーシティーあるんですね。

伊是名:
・・・と思う。何かダブルワークみたいな感じ。それでそういう色んな人高校生から出来るので。ヘルパーさんの免許ってどれくらいで取れるかミイナさんご存じですか?

ミイナ:
全然知らないです。

伊是名:
3か月とか6か月とか。どれぐらいだと思います?

ミイナ:
3、4か月ぐらいはかかりそうですよね。

伊是名:
実は20時間でとれるんですよ。

ミイナ:
え、そうなんですか?で時給も悪くはない。そこそこ悪くはない。全然1200円とか、1300円とかの時給なので。

ミイナ:
いいですね。

伊是名:
そう、だから何かどんどん若い人にやって欲しいっていうか。本当に人とつながれるって言うか。何か私みたいに障害のある人がお家に生活してるっていうのは結構あるんですよ、本当は。施設とか病院じゃなくて。結構いるのでそういう人と一緒に生活を色々してもらうっていうのを本当に高校生とか大学生とかでも全然楽しみながら出来るバイトの一つなので広まって欲しいなって思います。


ヘルパー制度の問題点

伊是名:
ただちょっと残念なのが私ん家、ヘルパーさんが来てるんですけど・・・

だから私の場合、同居人って言ったら夫。パートナーと子供二人なんですけど、その同居人の中に子供の面倒は見ても良いんですよ。なぜかって言うと親のは子の面倒を見るっていう義務があるので。子供のことは出来るんだけど、夫のことは一切やっちゃ駄目で例えばだけど夫が使うリビングは掃除かけちゃ駄目だしトイレも駄目だしでもし夫がご飯一緒に食べるなら別々に作らなきゃいけないし、洗濯物も夫の洗濯物と私の別々に回さないとヘルパーさん干しちゃ駄目なんですよ。

そこが「ちょっと難しいなー」って。家政婦さんっていうわけではなくて私がやりたくて出来ないからお手伝いをしてもらってるんだけど。

ミイナ:
色々あるんですね。

伊是名:
悲しいですよね。

ミイナ:
うん、悲しい。

伊是名:
だから変な話、障がいのある人は、ヘルパーさんを使いたいから結婚しない同居しないって人も多いです。結婚しちゃって同居人がいたらヘルパーさんを使えなくなっちゃうから。

ミイナ:
一切来てくれなくなっちゃうんですか?

伊是名:
違う部屋があったらまだ「この部屋だけは良いですよ」になるけど、トイレお風呂は駄目だったりとかするじゃない。

ミイナ:
共有のスペースは駄目?

伊是名:
駄目。で共有に食べるものも駄目。掃除とかね。

伊是名:
何か家族なんだから家族が助け合って、じゃあ結婚するって言うことはもうある意味生活を共にして介助者になるって事。

ミイナ:
あ、じゃあもう全部面倒見るっていうことだから。

伊是名:

事実、私も寝たきりになったときに夫にお願いするけど、夫は「はい、今、今ー」みたいな感じで結構10分とか15分とかトイレで待たされたりとかして、「チッ」てすごい思ったんだけど。でも、それが当たり前かなって。

ミイナ:
あ、じゃあだから付きっ切りでなんでもやってくれるっていうイメージがあるけど、別にそうでもないっていう。もうちょっと普通の生活ってことですよね。

伊是名:
そうじゃないと生活できなくないです?辛くなっちゃいますよね、お互いがなんだろう介助してるのかパートナーとして一緒にいるのかとか。