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2019/2/17 風をよむ「SNSの危うさ」

●過激な動画をあげる心理とは

●日本だけではない現象

●便利さだけではなく危険性の認識

セブンイレブンの店員「このしらたき、かわいい~」

おでんのしらたきを口にくわえ、手に吐き出すコンビニエンスストアのアルバイト従業員。さらにその後、手も洗わずに、タバコをケースから次々と取り出します。

またこちらのコンビニエンスストアでは、やはりアルバイトの従業員が、商品とみられるお菓子やペットボトルのキャップをなめる動画をインターネット上のSNSに投稿。
 
どちらのケースも会社側は謝罪し、動画を投稿した従業員を解雇しました。さらに・・

くら寿司の店員「これはもう、捨てます」

回転寿司チェーンの従業員が投稿したのは、ゴミ箱に捨てた魚の切り身を、まな板に戻すという信じられない動画。運営会社は謝罪し、2人の従業員を退職処分にした上で、刑事・民事での責任追及の準備に入ったとしています。

SNS=ソーシャル・ネットワーキング・サービスは、誰もが気軽に動画
などを投稿でき、それを世界中に拡散することも可能にしました。

そんな中、「悪ふざけ」と言うには、余りに度を越した行為も、SNS上に公開されるケースがここ最近、相次いでいるのです
 
街の声「悪いことだけど、ネタとしてやっているから許されるだろうみたいな、そういう感じでやっているのかなと」「ちょっと想像力があれば、ああいうことをしないような気がするんですけど」

そしてこうした問題は、今世界中で広がり、さらに危険な行為へと
エスカレートしています。

撮影しながら片手でバイクを運転する男性。次の瞬間…
転倒してしまいます。

そして香港では、超高層ビルの上で命知らずの行為。

エスカレートする一方のSNSへの投稿は、とうとう凶悪犯罪にまで。アメリカでは人を殺害する動画を投稿するケースまであり、警察に追われた容疑者は自ら命を絶っています。

またイギリスBBCの報道によれば、メキシコでは2人の男性に対して誘拐犯だという、うその情報がSNS上で拡散。2人は怒った群衆に火をつけられ殺害されたといいます。

現場を撮ったとされる写真には、スマートフォンを構える人々の姿が…。

なぜ人は、SNS上で過激な動画を投稿したり、犯罪行為にまで至ってしまうのか。社会心理学者の碓井教授は…

碓井真史教授・新潟青陵大学大学院「SNSは基本的に仲間内のものだという意識を持つ人が多い。世界に開かれた公の場なのに、ものすごくプライべートな会話をしているような気がしてしまう。そのことに気がつかない。罠に陥ってしまう訳です。さらに意見が極端になっていく。その理由の一つに‘エコーチェンバー’といわれるものがあります」

「エコーチェンバー現象」とは、SNS上で価値観の似た者同士が共感し合うことで、特定の意見が増幅されてしまう現象のこと。過激な意見や、間違った情報が拡散する一因と言われています。

世界中で強い影響力を持つに至ったSNSの投稿。そうした事態は、いまや一国の大統領選にまで及んでいるのです-

トランプ大統領「ロシアとの共謀がなく、いかなるレベルでも共謀が見つからなければ聴取が行われるとは考えられない」

2016年のアメリカ大統領選挙で、ロシア側がSNSを使い情報操作を行っていたとされる問題。去年2月、モラー特別検察官が公表した起訴状によれば、ロシア企業とその関係者がアメリカ人になりすまして、SNS上でトランプ陣営を応援するキャンペーンをしていたといいます。

また2017年のフランス大統領選。マクロン陣営は極右のルペン候補との決選投票を巡って、マクロン候補を中傷する情報が、SNS上で拡散された、と抗議する声明を出しました。

さらに、イギリスのEU離脱を巡る国民投票の際にも、不確かな情報がSNSなどで拡散された、と言われています。

こうした状況を、碓井教授は…

碓井真史教授・新潟青陵大学大学院「ネットでは過激な意見ほど賞賛される。排他的で過激な意見がどんどん 増えている。さらに悪意を持った人たちが様々なウソの情報を流し、意図的に使えば、人々の心を操り、扇動することまでできてしまう。世界的に、もっと大きな流れも作り出していける。時に一国の運命さえ変えるようなことが今のネット、SNSでは起きようとしている」

SNSが持つ余りに大きな影響力。私たちはその便利さだけでなく、危険性にも改めて目を向ける必要があります。

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