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2019/10/13 風をよむ「台風19号と地球温暖化」

・海水温の上昇で巨大化する台風

・具体策を示せない日本

・環境のために便利を犠牲にできる?“飛び恥”とは…


記者「海を見ますと、かなり荒れている状態です」

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各地に甚大な被害をもたらした台風19号。「大型で強い」勢力のまま、本州に上陸した背景には、日本近海の「海水温の上昇」がありました。

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台風は熱帯付近の温かい海面から供給される水蒸気をエネルギー源として発達し、通常、水温が低い日本付近で勢力を弱めます。

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ところが、台風19号の進路となった日本近海の海水温は27度と、1981年からの平均値と比べて2度も高くなっていたのです。

その原因は、紛れもなく「地球温暖化」だと、国立環境研究所の江守さんは語ります。

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江守正多副センター長(国立環境研究所・地球環境研究センター) 
 「海面水温は、温暖化が止まらなければ上がり続けますから、今回のように発達して勢力を弱めずに上陸してくる。より強く発達した台風が日本を襲うという確率は、これからさらに高くなっていきますし、台風以外の大雨に関しても、発生する確率が高くなっていきます」

こうした待ったなしの温暖化対策を話し合うため、先月開かれた国連の「気候行動サミット」。スピーチに立ったスウェーデン人の16歳、グレタ・トゥンベリさんは…

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環境活動家グレタ・トゥンベリさん「人類が絶滅の危機に瀕しているのに、あなたたちは、お金や経済成長というおとぎ話だけ語る。何ということだ…」

こうした声に応えるように、会議の場では…

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グテーレス国連事務総長「77か国が2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにすると約束した」

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しかし、日本は、アメリカや中国など主要な温室効果ガス排出国と共に、その輪には加わりませんでした。出席した小泉環境大臣は…

記者「化石燃料をどうする?」小泉環境相「減らす」 記者「どうやって?」小泉環境相「・・・」

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いまだ国際社会が一致団結して、具体的な温暖化対策に取り組んでいるとは言えない状況が露呈したのです。

その一方で、年々極端になっていく気象。今回の台風19号も…

首都圏を中心に深刻な被害をもたらした台風19号。頻発する強い勢力の台風の原因とされるのが、地球温暖化です。

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しかし現代の私たちは、日常の生活を送る中で、温暖化の原因とされる二酸化炭素を中心とした温室効果ガスを大量に排出しています。

そこで、こうした現状に警鐘を鳴らす行動が、今、注目されています。
それは「flygskam(フリュグスカム)=飛び恥」。

乗客(スウェーデン人)「飛行機が温暖化にもたらす影響が、これほど大きいとは知らなかった」

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実は、温室効果ガス排出量の8%を占めると指摘されるのが観光業です。

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そのため二酸化炭素を多く排出する航空機に乗ることは「恥」だとして、ヨーロッパを中心に、利用を避けようという動きが広がっているのです。

さらに、航空機に限らず、日夜目にするトラックから、洋上の巨大タンカーまで、世界中に網の目のように広がった商品や食料配達の流通網。

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そして日常生活に欠かせない、レジ袋やペットボトルなどのプラスチック廃棄物も、回収後、7割近くは燃やされて、同じく大量の二酸化炭素を排出しているのです。

そうした状況の背景には、経済的利益ばかりを重視する社会のありようがあると、江守さんは指摘します。

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江守正多副センター長(国立環境研究所・地球環境研究センター)「温暖化対策を抜本的にやるということは色々な社会のシステムを大きく変える必要があります。このまま便利な生活を諦めないとか、まだこれで儲かるのでやりたいというのをやめて、温室効果ガス排出ゼロの社会を目指す。先ずは考え方を変えて頂く必要がある」

今、地球温暖化は、遠い将来の問題ではなく、現実の脅威として、私たちの暮らしを脅かしつつあるのです…。

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