タイトル

2019/2/10 風をよむ「日本外交の今」

・北方領土の日 政府の対応に変化

・アメリカ、トランプ流に追随する日本

・問われる外交力

「北方領土の日」の7日、北海道根室市で開かれた元住民らの集会。今年はいつもと雰囲気が違いました。

去年、鉢巻きに書かれたスローガンは「返せ!北方領土」。ところが、今年は「北方領土問題の早期解決を」というソフトな表現に変わったのです。

北方領土を巡る最近の変化は、6日の参院予算委員会でも…

国民民主党・大塚議員「北方領土は“日本固有の領土”だという認識で変わりないですね?」
安倍首相「北方領土は我が国が主権を有する島々であるという立場に変わりはない」
大塚議員「“固有の領土”という言葉は使えなくなったのでしょうか?」
ヤジ「言えないんだな」

こうした動きについて元共同通信ワシントン支局長の春名さんは…

春名幹男さん「ロシアに対する配慮という形で抑制的になったんじゃないかと。日本としてはロシア側の態度が軟化するのを期待したいと。さらに参議院選挙を前に合意に達したい。その辺でですね、安倍さんを支持する勢力が安倍さんが傷つかないように配慮したんだと思う」

去年の日ロ首脳会談で加速することが確認された、北方領土問題を含む平和条約交渉。安倍総理もこれまで強い決意を表明してきました。

安倍総理「私とプーチン大統領の手で必ず終止符を打つとの決意で交渉に臨んでいく考えであります」

ところが、こうした決意や、ロシア側への配慮にもかかわらず領土問題解決への具体的道筋は見えてきません。

手詰まり感が色濃く漂う日ロ関係。こうした状況は今、日韓の関係についても見られます。

去年12月に起きた韓国の駆逐艦による自衛隊機へのレーダー照射問題。日韓双方の主張は依然として対立したままです。

さらに韓国の最高裁が日本企業への賠償を命じるなど、同じく対立が続く徴用工問題でも、日韓関係は悪化の一途をたどっています。

文在寅大統領「過去の長く不幸な歴史が原因で作られている問題だ。日本政府は、もう少し謙虚な立場をとるべきだ」
菅官房長官 「今般の文大統領の発言は韓国側の責任を日本側に転嫁しようというものであり極めて遺憾」

そして世界が注目する北朝鮮の核開発を巡る問題でも…

トランプ大統領 「金党委員長と私は今月27日と28日ベトナムで会談する」

アメリカのトランプ大統領は今月下旬に、ベトナムで2度目の米朝首脳会談を開催することを発表。そうした中、日本は…
 
安倍首相「(トランプ大統領と)電話会談を行い、あらゆるレベルで核、ミサイル、そしてわが国にとって最も重要な拉致問題について緊密に方針をすり合わせていきたい」

「アメリカ頼み」とも見えるこうした姿勢の一方で、北朝鮮に対する日本の独自外交の姿は見えません。

春名幹男さん「北朝鮮としてはともかくアメリカとの外交が先だと。日本との外交は二の次だとおそらく考えている。日本独自の考え方に基づいて、しっかりした外交をしているのであれば(北朝鮮は)ちゃんとした反応をしてくるはずだけど、それがないというのは非常に残念」

さらに、日本外交を巡ってはここ最近、海外から厳しい批判を集めるケースが相次いでいるのです。

2017年に採択された、核兵器の開発や使用などを法的に禁止する「核兵器禁止条約」。ところが唯一の被爆国でありながら、日本はこの条約に参加していません。

「日本は核兵器禁止を最も強力に推進する国であるべきだ」

こうした海外から批判を招くケースはこれだけではありません。

去年12月、日本はIWC=国際捕鯨委員会から脱退し、商業捕鯨を再開すると決定。日本がこうした国際機関から脱退するのは極めて異例で、イギリス・ロンドンでは抗議デモが行われました。

「とてもがっかりしました。日本側の論理も、事情もあるでしょうし、文化もあって、それは尊重しますが、何とか考え直してほしいです」

また去年のG7=主要7か国首脳会議では、プラスチックごみによる海洋汚染問題が協議され、「海洋プラスチック憲章」がまとめられましたが、日本とアメリカは署名せず、批判を浴びたのです。

こうしたここ最近の日本外交を世界はどう見ているのでしょうか…。

春名幹男さん「世界からアメリカ追随だという風に見られてしまう。トランプ政権になって から、非常に混乱した時代なんですね。その辺がやはり、アメリカに対して 言うべきことは言わなければならない」

世界が大きく揺らぐ中、今、日本外交の手詰まり感が目立っています。
 

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