BUCK-TICKにハマったきっかけ 〜序章 櫻井敦司との出会い〜

その出来事は、2019年5月31日に起きた。

20時前。椎名林檎がMステに出ると聞いて、私はテレビの前で待機していた。

今回は、BUCK-TICKというバンドのボーカルとのコラボ曲「駆け落ち者」を披露するということは、既に知っていた。

だが、正直言って、特に期待はしていなかった。

5月27日に発売された、椎名林檎のニューアルバム『三毒史』に入っているその曲を聴いた時、ピンと来なかったからだ。

いつもの林檎さんらしくない曲だな、と思ったし、それ以前に、櫻井敦司という人物の存在をあまりよく知らなかった。

櫻井敦司氏とのコラボが発表された時、SNS上で林檎ファンの人々が沸いていたことは覚えている。

櫻井敦司?ふうん、BUCK-TICKのボーカルか。バンド名は知ってるけど興味ないな。

という程度の認識だった。

その時、チラッと櫻井敦司氏のアー写も目にしたが、なんだか怖そうだなあという印象を受けた。

だが。

Mステ放送時間の少し前。

Mステの公式インスタグラムが一枚の写真を上げた。

……あれ?

誰だ、この美しすぎる男は。

突然の美中年の登場に、私は心臓を撃ち抜かれた。これが一目惚れというやつか。

これが、櫻井敦司………??

混乱も収まらぬまま、Mステはついにスタートした。

あの階段を降りてくる様は、さながら女王と魔王のようだった。

多数のアーティストがパフォーマンスを終え、ついに椎名林檎と櫻井敦司のターンがやってきた。

タモリさんと林檎さんが特効の話でひとしきり盛り上がったあと、櫻井敦司は口を開いた。

………あれ??

私は、見た目とは裏腹すぎる、彼の物腰柔らかで穏やかな口調にまたもや衝撃を受けた。

布袋寅泰に容姿を褒められると少女のようなはにかみを見せ、椎名林檎が「(この曲では)危なっかしい場面を描きたくて…」と言うと隣で小さく猫パンチを繰り出す(彼なりの"危なっかしい"表現だと思われる)姿に、私は完全に魅力されてしまったのである。

そして、大人の色気がぶつかり合う、圧巻のパフォーマンス。

この日を境に、私は櫻井敦司およびBUCK-TICKという名の底なし沼に、親指を立てながらズブズブと沈んでゆくこととなる。

もしもタイムマシンがあったなら、数日前、「駆け落ち者、あんま好きじゃね〜」とかほざいていた自分を殴りたい。

今では、毎日聴かないとダメな身体になってしまった。恐るべし、櫻井敦司。ありがとう、椎名林檎。

次回につづく(かも)。


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