日本最後の資産の一つ、エレキギターが海外投資家に狙われている

初めましての方は初めまして。
俺の事を知ってる奴はどうか俺に石を投げないで。
いきなりドデカいタイトルで始まりましたが、悪いけど今回ばかりはマジの話です。

嘘偽りも誇大広告もナシ。

そして今回に限っては、ギターオタクが現役ギタリスト向けにグチグチ文句を垂れる今までのクソ記事と違って、割と多くの日本人に読んでもらいたい大事な話になってます。



起:日本の隠された宝『ジャパンヴィンテージ・ギター』をご存じですか?

エレキギターっていうと、皆さんどんなイメージがありますでしょうか。

まあ、大抵の方は『なんかうるさいやつ』『不良の道具』『たまにゴミ捨て場に置いてる』・・・そんな程度の認識でしょう。
場合によっては嫌ってる方もいらっしゃるかもしれませんね。『ウチの息子がギターにハマって大学辞めちまった』とか、今の時代でもたまーに聞きますから。

まあ不良の文化だっていうのを100%否定はしませんよ。

今でもシステムエンジニアやプログラマーが副業でギタリストやってたりしてるんで。

そういうのも広義の不良でしょうからね。

まあ、そんな話はさておき。

今回は『ギターを使ってるような奴』だとか『ギターを使うような文化』のお話ではなく、
『ギターを作っている場所・会社・人』
このお話をしていきます。


そもそもエレキギターって何なの? ってとこから雑且つ簡単に説明しますと、

・バンド音楽の発展と共にギター以外の楽器の大音量化が進み、ギターも大音量で鳴らす需要が生まれた。

・ギターにマイクを取り付ける形が応急処置的にとられるようになり始めたが、ボディが中空構造のためハウリング(スピーカーからキンキン音が出るうるさい現象)に悩まされることに

・ほんなら、中空構造やのうて板にしてまえばええやん

・中空構造ではない木材にマイクを取り付け、スピーカーありきで音を出すギター・・・エレクトリックギターの誕生

なのでエレキギターはクラシックギターやアコースティックギターとよばれる、よく路上で弾き語りをしている人の持ってるアレとちがって穴が無いんですね。

さて、簡単な概要と歴史の説明が終わったところで、次にエレキギターの日本への到来の歴史をまた雑に解説していきます。

エレキ文化が日本へ到来した時期については諸説あるので(あとどういう書き方しても文句が来るので)割愛して、日本でエレキギターが作られるようになったきっかけから話をしていきましょう。

当時、やはり海外伝来の文化である事もあり、基本的にエレキギターといえば海外からの輸入以外に手に入れる方法は無く、このためエレキギターは非常に貴重かつ高価な物として扱われていました。
下手をすればヤマハがあった分ピアノの方が手に入りやすかったかもしれません。
そんな状況の中、ビートルズの来日から始まったロック・バンドブームは隆盛の一途を辿り、どんどんエレキギターの需要は増していきます。
それはもう、どれだけ値段を吊り上げても輸入だけでは賄えないほどに。
そして誰もがこう考えるようになりました。

木の事なら右に出る者のいない日本人に、エレキギターが作れないワケないだろう。

法隆寺、寄木細工、彫刻・・・考えてみれば当然の話でしょう。
そして、誰が最初に気付いて作り始めたかは定かではありませんが、主に長野の木工や家具製作を生業としていた工場の方々が『国産エレクトリックギター』の礎となった事は確かであると伝えられています。

現在でも信州に国産エレキギターの工場は集中していますからね。

さて、そうして戦後のバンドブームや高度経済成長も味方して、国産エレキギターの時代はどんどん成長、黄金時代を迎えます。
1970年代から80年代(最近は90年代も高評価の傾向があります。時が経つのは恐ろしいものです)のギターは特に評価が高く、本場アメリカの同時代のギターを凌駕するとまで謳われていました。
実際、ジョン・メイヤーなるアメリカの若手天才ギタリストがおり、彼はアメリカ製のギターでも選りすぐりの最高級ギターの中で更に楽器としての質が限界まで高いものしか使わない事で有名なのですが、彼がアメリカの一流楽器メーカーであるフェンダー社の製造するギターの出来に不満を感じ、契約を破棄してから最初に手に取ったギターは日本の東海楽器が1979年に製造したエレキギターであったのです。

さて、それ程までに日本のエレキギターは高いクオリティを有して世界的に認められていたのに、今となっては影も形もありません。
一部の企業は細々と続いていますが、それでも事務方だけが残って工場を売り払ってしまっていたり、海外の工場がメインの拠点に変わってしまっていたりといった有様です。
・・・勘の良い方はお気付きですね? そう、日本エレキギター業界の突然の衰退と滅亡は、まるで自動車業界や家電業界で起きた事の写し鏡、しかも最悪の事態が起き続けて、再起不能に陥った場合の未来といっても過言ではありません。



承:猛き者も遂には滅びぬ。日本エレキギターの終焉と現在

さて、日本エレキギター業界を襲った突然の理不尽とは何だったのか。
その前に日本エレキギターの隆盛によってアメリカ本土で何が起きていたかを簡単に解説します。

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