Selpercatinibによる偽性腎機能障害

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc2400216

NEJMにSelpercatinibが尿細管からのCr分泌を阻害することで血清Cr値が上昇する現象を報告しました。

RET融合遺伝子陽性の腫瘍にセルペルカチニブは効果あるようですが、onconephlorogyの新たな注目薬剤となりそうですね。薬剤は腎機能に影響するものもありますので、注意しましょう。

面白いのは機序まで言及していることです。尿細管の血液側(basolateral)のOCT2もしくは、管腔側(apical)のMATEによってCrは分泌されているようです。どうやら、SelpercatinibはMATEを阻害するようですね。

シスタチンCと呼ばれるもう1つの腎機能マーカーがありますが、こちらは濾過された後は尿細管で再吸収され代謝されます。分泌はされないようですので、シスタチンCから推定した腎機能は正常だそうです。

バクタも同じことでしょうか?

バクタによる見せかけの腎障害はしばしば臨床では経験するのですが、Crがあがってくると結局やめたくなるんですよね・・Cr分泌が障害されるっていう話しだと思いますので、セルペルカチニブと同じですね。見せかけとは言ってますが、一応、尿細管トランスポーターの障害なわけで、糸球体濾過には関係ないかもしれませんが、予後が本当に変化ないのかはあやしいところですよね。尿細管障害はeGFRとよく相関するのは有名ですし。

今後、どのように対応していくかは、考えようですよね。

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