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世の中は give and given。

今年もあと3日。

大晦日だけの特別販売の大きな天然海老天の仕込みが始まりました。

今年は天然海老なので「背わた」があり、明日それをすべて取るのがひと苦労です。

昨日は、今年最後の外飲み、ということで一番の行きつけのもつ焼き屋さんに行ってきました。

私が、肋骨を痛めたり、もつ焼き屋さんの奥さんの具合が悪い日があったり、満席だったりで、月に4回は行っているそのお店に、今月は最初で最後でした。

ふだんは電話をしないで店まで行って、混んでいたら中に入らずサイゼリア等に行くのですが、今日ばかりは最後ということで電話をしました。

ほぼ満席でしたが私のために空けておいてくれて二人テーブル席に着席。

後からもどんどんお客さんが来たのですが、常連さん以外は断られていました。

私は、そこのモツの刺盛り(加熱済み)が大好きで必ず頼みます。電話した時に「刺盛り今日はないんですけど良いですか」と聞かれ、「顔出せればそれだけでいいです」と言っておいたのですが…

品川の食肉市場(屠殺所)最終日の仕入れで、残りわずかの貴重なモツの刺し身を3品盛ってくれました。

ふるえるほど、ありがたい。

ところで、このお店の常連で、知的障害者の施設に今年から働いている人がいます。

以前は全く別の仕事をしていたのですが、どうしてもその施設で働きたいと彼は転職しました。

給料は半分になったけど、ほんとうに楽しいと、いつも聞かせてくれます。

その彼が入店。お店のご主人に「てんふじさん、同席でいい?」と聞かれたので、これもいい締めくくりだな、と喜んで同席に。

彼は、本当にうちの天ぷらも好きでいてくれて、どう好きか、酔っ払うと熱く聞かせてくれます。

正月は何しているのかの話題になった所、うちの母の墓がある地域の七福神めぐりを元旦にいつもしている、という。そして最後に彼の義理の曽祖父の眠っているお寺さんに行くらしいです。

「布袋様の絵の描いてある壁のお寺で…」と言っていてびっくり。

私の母と同じお寺でした。なんというめぐり合わせ。

話が盛り上がり、彼は将来の夢を語りだしました。知的障害者の人達でこそ出来る仕事がある。

例えば、彼らは、関心のあることにはすごい集中力を持っていて、それを活かしたいという。

私がそう書くと、よくある話に聞こえてしまうかもしれないけど、誠実で、情熱を持ち、行動力のある彼。そして理解のある奥さんがいるから、本当にできそうで、思わず目頭が熱くなってきた。

なんて良い、今年最後の外飲みだろう。

病み上がりで、声がかすれている店の奥さんが、ツマミをサービスしてくれたり、普段はいそがしくてお願いできない日本酒のお燗を「今日はするわよ」と、言って出してくれたり。

思わず、予定よりも少し多く飲んで、それでも抑えめにお店を出た。

自分にとってはこの時間と空間は、かけがえのない財産だ。

一ヶ月ぶりのモツ。新鮮で良いものを丁寧な下ごしらえで調理されているので、がぜん力が湧いてきた。

今日は、ちょっと二日酔い。

でも、これでいい。これだけ楽しめば、あと2日は酒を抑え気味にできて、大晦日を迎えられそうだ。

いろんな人の思いやりや刺激に支えられて、今年も終われる。

世の中は、give and takeではなくて、give and given。

今年初めて聞いたこの言葉を、来年はじっくり噛みしめたい。

とりとめもない、文章を最後まで読んでくださった皆さん、ありがとうございました。