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どこにでも住めるとしたら

どこでも住めるとしたら
もしも、望むところ、どこにでも自由に住めるとしたらどこに住もう?

首をかしげて考える
目の前でフィフィも合わせて首をかしげてる

フィフィはガチョウの名前
私の愛するガチョウの子

一番に出てくるのは北鎌倉のお寺さん

どうしてかって?

だって、お寺にはたいていお池があるでしょう
ガチョウに水辺は必要だもの

竹やぶがあれば大きな声は響きにくいでしょう
フィフィが大きな声でないてもきっと誰にも怒られない

それにお寺だってフィフィみたいなかわいいガチョウが歩いていたらきっととっても素敵でしょう

そういうと聞き返すかのようにフィフィは私をまっすぐ見つめる

もしも、どこにでもすめるとしたら?

そっか、仮にね、想像のおはなしだよね
だから、池がなくてもいいのかな
竹やぶも大きな声も気にしなくていいか

じゃぁあ

イギリスのコーンウォール
クロバリーの村の真ん中らへんの小さな家

ああ、ドイツのローテンブルグもいいなぁ
アイルランドのアデアも素敵

古い家の街並みは可愛くてガチョウにきっとよく似合う
フィフィとおさんぽしたら楽しそう

そういうとフィフィは首をふわんと下げて
赤い足を見つめてる

フィフィに石畳は歩きにくいかしら
かわいいお靴が必要ね

どこにでも住めるとしたら…

石畳も素敵だけれどやっぱり草がふわふわの地面があるところがいいか

あれこれと考えている足元についっとやってきてフィフィは
オレンジ色のまじった黒い嘴で私の膝をつんつんとつつきだす

これは おやつにしようよ?の合図

そうだね、ちょっとお腹もすいてきたね
お茶の時間にしましょうか

今日のおやつは米粉のクッキー
美味しく焼けたいい香り

ぽりんぽろんと半分こ
掌にのっけてフィフィの口元へ

かしかし
しゃくしゃく

ぽろりぽろり
ふゅるふゅるる

嬉しそうに声をあげて
お口のまわりをくわんくわんにして
フィフィはクッキーを食べている

こんな時間が過ごせるのなら
どこにでもだって住めるんだよ

甘い香りの紅茶をひとくち
ふうぅっとしてこくんと飲んで 
大事なことに気が付いた

フィフィはお水が大好きだから
やっぱりお池があるところ

お池で遊ぶフィフィを
見るのがわたし、大好きだからお池のそばがきっといい

大きなお池のすぐそばの
小さなおうちがいいかしら

フィフィはガチョウの名前
卵から孵ったガチョウの子

いまフィフィは私の心の中に住んでいる

大きなお池も小さなおうちも
クッキーも紅茶も自由自在

どこにでも住めるとしたら

フィフィの
心の中に住みたいな




読んでいただきありがとうございます。 暮らしの中の一杯のお茶の時間のようになれたら…そんな気持ちで書いています。よろしくお願いいたします。