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第5章 個人としての「茶道団体」の代表者:現代の社会人茶人たち

会社員がお茶をするということ

本章では,「茶道団体」の代表者としてではなく,社会の一構成員としてのインフォーマントを考察していきたい。

先行研究(第2章参照)では主に専業主婦の茶道修練者が扱われてきた。
彼女らの多くは,お稽古とたまの茶会に客として参加するに留まっている。

しかし,会社員には会社員の「お茶」をする理由がある。

稽古に留まらず「茶道団体」にまで発展した理由は,「お茶」をしているとき以外の彼らの生活から浮かび上がる。


「茶道=余暇的な趣味」としてのみ扱ってきた先行研究(及び世間一般)の理解を超える形で,「なぜ/どのように茶道をするのか」という問いにインフォーマントが出した答えは,「仕事」と同程度以上の比重で「お茶」をすることであった。


「茶道団体」の代表者の共通項

本章で主張したいのは,以下の点である。

・ インフォーマントの会社生活と「お茶」は別世界ではなく,一続きで繋がっている
会社生活での不満や問題点は,「茶道団体」といった形式で「お茶」をする理由に少なからず関係している。
・ 「茶道団体」の活動が「趣味」の範疇に留まらない
・ どのように「お茶」を続けるかという問いは,どのように働くかという問いを意味している。


「働き方」が「お茶の仕方」

以上を踏まえ,会社員である(あった)インフォーマントが,「茶道団体」の活動を増やしたり,茶道教室を小規模から始めたりするところから,「お茶」が徐々に彼らの働き方を変化させていく変遷を論じていく。

従来では,趣味として余暇時間に茶道教室に通うことが「お茶をする」ことを意味していた。

しかし本稿のインフォーマントにとっては,本章で論じられている在り方/生き方が,この現代で「お茶をする」ということである。


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