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イタリア周遊の旅の準備とポイント

グループツアー(旅行会社主催の添乗員付き募集型団体旅行)で行くイタリア周遊の旅について、現役添乗員からのアドバイスをシェアします。
部分的には個人旅行でも参考になるところもあるかもしれません。
イタリア周遊型の旅行に出かける方の参考にしていただければと思います。


イタリア周遊の旅とは?


イタリアの観光都市

グループツアーで立ち寄るイタリアの観光都市は大きく4つ。
ミラノ、ヴェネツィア、フィレンツェ、ローマ。
コースによっては南イタリアのナポリやパルレモ、またトスカーナ地方の小都市を組み込んで回るものもありますが、だいたいどのコースにもこの4つの都市をメインに回るプランが王道でしょう。
初めてイタリアへ行くという方にはおすすめのコースです。

イタリアの歴史などを知ると、その都市ごとに歴史や文化の背景が大きく異なり、どの都市も、それぞれに魅力が異なることがわかります。
南イタリアと北イタリアでは同じ国なのに、食文化や街の佇まいも全く違うのでとても興味深く思うことでしょう。

グループツアーでのイタリア周遊の旅はバランス良く、この素敵な都市を効率よく回って楽しむことができるので、担当するのがとても楽しいコースでもあります。

コースそのものは、旅行会社やコースによって様々なルートがありますが、大きく2つのコースがあります。
北から南下するコース。
南から北上するコース。
この2つです。
北からのコースはミラノから入ってローマへ抜けるルート。
南からは真逆でローマから入り、ミラノへ抜けるルートです。
どちらも好みによるとは思いますが、私の担当するコースはなぜか北から南下するコースがここ数年は多い感触です。

ここでシェアするグループツアーの基本は、お手頃価格で全国的にユーザー様の多い大手旅行会社のものと捉えていただければと思います。
(そのうち添乗員の現状についてのお話もまとめることが出来ればと思っています、、、)

グループツアーでのルートは日本から飛行機で直行便か乗り継ぎ便でミラノやローマの主要国際空港に入り、そこからチャーターバスでイタリア半島を移動し各都市へ宿泊しながら最終地点のミラノかローマへ出て飛行機で日本へ戻るという形です。

ツアーのプランによっては途中でチャーターバスではなく、イタロ(イタリアの新幹線)や遊覧船のようなもので移動する経路が組まれることもあります。
しかし、コースの大半はツアー会社のチャーターしたグループ専用のバスで移動してゆくことになるでしょう。
チャーターバスではスーツケースは施錠した上でバスのトランクへ預け入れ、ホテルチェックインまで預けたままになる形です。
移動中必要になるお荷物や、貴重品というものは手荷物にしてバスのお座席へと持ち込んでいただくようになります。

イタリアでのバス移動は長いところでは数時間乗りっぱなしですので、移動中に必要と思われる膝掛けや首枕、スリッパ、おやつ、充電池などは手荷物に準備をしておくことがポイントです。

長期間の旅行ができるのならば、個人旅行で列車を使いながらイタリア主要都市を回るのも楽しそうですが、なかなかまとまったお休みが取れない日本人にとって7〜10日もあれば主要都市を網羅できるグループツアーの旅は効率的でリーズナブルだと思います。

イタリア周遊グループツアーのデメリットは?

上記で大きなメリットは書きましたが、デメリットについてお話ししておこうと思います。

①食事が時々…残念。
イタリアって、食べ物が美味しいイメージですよね。
でもグループでのお食事は、実は時々ちょっと残念な感じなことも。
それは私たちがイタリア料理に対する期待が大きいというのもあるのかも知れませんが…
でも、ちょっと考えてみてくださいね。
日本の観光旅行(修学旅行とか研修旅行とか)で出される団体旅行の食事ってちょっと独特ではありませんか?
個人旅行とはちょっと違うというか。
見た目には豪華な天ぷらやお刺身、煮物といった食事も、団体のものだと30〜40人分同時提供となると既にテーブルにセットされていて、なんとなく冷めていたり給食のような、そんな感じのものだったりすることありませんでしたか?
イタリアだけではなく、どの国でもレストランによってはありがちなのですが、大人数のグループに同じタイミングで提供しようとすれば、どうしても物理的に作りたてホカホカとかのものは難しいのでしょう。
パスタなどはできるだけ温かい状態でサーブできるように努力している気配はあるのですが、、、

なので、グループツアーで似通った内容のイタリア周遊コースでどれにしようか悩まれているならば「食事なし」のコースを推します。
少し食費は嵩みますが、せっかく訪れるイタリアで美味しいパスタやパニーニ、ドルチェなど、訪れる都市ごとに楽しんでいただきたいなと思うのです。

②フリータイムが短すぎるかも。
ツアーの行程(スケジュール)を見ると、かなり分刻みでスケジュールが入っているコースも多く見かけます。
確かに、イタリアはどの都市も見どころが満載すぎて、あれもこれもと見どころを詰め込めば詰め込むほどにスケジュールはパンパンに。
どの街にも文化遺産や美術館、眺望の素晴らしいポイントがあるのですが、コースによっては主要な街でも数時間しか滞在せず、次の街へ移動するというパターンも。
去年担当したコースでは、ミラノでは見学するポイントが多く、フリータイムは30分ほどしか取れなかったこともありました。
その時ご参加になったお客様はミラノのスターバックスでお買い物をするのが目的の一つだったようで、たった30分の間に走ってスターバックスへ行き、列に並んでお買い物をされていたのでミラノでは1番有名なドゥオーモを背景にした写真の1枚も撮ることはできなかったとがっかりされていました。

行きたいお店や、博物館などがあるようでしたら「市内観光」が組み込まれていないコースがおすすめです。
逆に「初めて行く街だし、独り歩きは不安だからガイドさんの説明を聞きたい。」と思われる方は、「市内観光(ガイド付き)」を。
もしどの街でもゆったりとした自由時間があるようなコースで、どこへ行っていいのかわからないという方はオプショナルツアーに申し込むのも良いかも知れません。
しかし、昨今はGoogleマップなどもあり、ガイドさんに案内されなくても皆さんスマホを片手にスイスイと目的地へ行かれているので、やはり「市内観光」という縛りが少ないものの方が満足だとおっしゃるお客さまが増えているように感じます。

③ホテルのロケーションが残念
ホテルの宿泊料金の高騰やオーバーツーリズムによる空き部屋不足、歴史のあるホテルだと部屋の公平性がなくグループツアーでの利用が難しい(大型のビジネスホテルタイプならばどのお客様にも公平にお部屋の割り当てができる)ため、必然的に宿泊するホテルは主要観光地から少々離れたエリアになることが通常です。
ヴェネツィアならば本島に泊まることはなく、近郊のトレヴィーゾやメストレ、フィレンツェならば市内からバスで20〜30分のエリアになることが多いです。
個人旅行であればヴェネツィア本島やフィレンツェの市内の小さなホテルに泊まることもできるのでしょうが、グループでは難しいと考えた方が良いでしょう。

特に1日フリータイムがあるローマで、主要観光地からとても遠い(添乗員でさえちょっと自力では市内へ出るのは厳しい)ホテルに泊まるというコースには要注意です。
見分け方としては「ホテルのランクアップ(別料金)」が設定されている場合や「主要観光地へ徒歩圏内のホテル」と明記されていない場合、ほとんどが市内からとても遠く、タクシー代も割高なエリアのホテルになる可能性が高いです。

旅の準備へのアドバイス

イタリア周遊グループツアーのイメージはなんとなくできたでしょうか。
その上で、このような準備をしておくと快適に楽しめるというアドバイスをお話しします。

①防犯対策は「やりすぎ?」というほどしっかり準備!
とにかくスリやジプシーによるひったくり、置き引きや観光客相手のボッタクリが多い国です。
パスポートや予備のクレカ、現金などは服の下に入れる防犯ポーチ(私はウエストポーチタイプのものを愛用しています)などを使い、ひったくられやすいスマホはネックストラップで持ち歩いて守ります!

Amazonにあるおすすめのグッズをリンクに貼ってみました。
私が実際使っているものとは異なりますが、仕様は似たような感じです。
スマホストラップは100均などでも見かけますので、旅行の間だけならそれでも十分かもしれません。
私はストラップが細いと肩や首に食い込んで痛くなるので太めのものや長さが調整できるものを選んでいます。
またウエストポーチはフラットなもので一日服の下に付けていてもゴロゴロしないものを探しました。

②両替は日本の空港で出発前に済ませておく。
クレジットカードで買い物や食事はできるけれど、イタリアはジェラートなど食べ歩きも楽しめるので、そういうところで少額の現金を使うことも多いです。
思ったよりも現金を使っていることもあるので、ちょっと多すぎたかな?と思う程度は両替しておきます。
市内での両替所はレートが悪かったり、両替所の近くにジプシーがウロウロしていて危険なのでお勧めできません。
万一、クレカをスられても現金が少しでも手元にあると安心です。

③クレジットカードは3枚くらい持っていく。
ヨーロッパで使えるカードは基本的にVISAとMaster。
JCBやAMEXは使えないお店も多いので注意。
使えるカードを複数枚準備して、バラバラにして持ちます。
1枚はお財布。1枚はウエストポーチに予備として。もう1枚はすぐに取り出せるところに準備しておいて、旅行中のメインカードとして使う。(私はお財布には見えないジップロックなどに入れ、少額の現金と一緒に持ち歩いています。)

④Wi-Fiはレンタルしておく
空港やホテルではフリーWi-Fiのサービスがあることが多いけれど、街中や移動中のバスの中ではWi-Fiがないことが多いです。
フリータイムで街中を歩くときにGoogleマップなどアプリを使うことを考えたらWi-Fiは命綱のようなアイテムです。
できるだけ大容量のものを準備しておくと安心です。
eSIMやSIMカードを日本から準備して行くことができる方はそちらを!

⑤変わりやすい天気の備えを!
折り畳みの傘や、日焼け止め、サングラスや帽子など、雨や強い日差しに困らないような準備をしておきましょう。
意外と寒かったり、暑かったりと気温や天気が変わりやすいことも多いです。

⑥必要アプリをダウンロードしておく
イタリア周遊のコースで必ず使うだろうというアプリは、Googleマップ、LINE、Uberなどでしょうか。
特にUberは日本出国前にクレジットカードの設定などを済ませておく必要があります。
現地に行ってからダウンロードしても使えないケースもありますので、出発までに設定まで済ませておくことが大切です!

⑦乗り継ぎ便のコースなら、ロスバゲ対策を!
ここ最近、ヨーロッパへいく乗り継ぎ便では2時間を切るようなミニマムトランジットタイムを取れないパターンが多く(コロナ禍の影響で減便されているため)、グループツアーでも乗り継げなかったということが発生しています。
乗り継げなかった場合はもちろん、スムーズに乗り継ぎができても、現地に到着した時に預けたスーツケースが出てこない、行方不明になってしまうことがあります。
一般に「ロストバゲージ」といわれて、皆様が思うよりも格段と多く発生しているのが現状です。
私のように毎月のようにグループ様をお連れして海外へ行くと、数回に1回くらいは荷物が出てこなかったりします。
ひどい時はツアー中にスーツケースが見つからず、日本に戻ってから連絡があるというパターンも。
そんな時に困り果てることがないように、機内持ち込みの荷物に一泊分の下着やコンタクトレンズ、常備薬、スマホ用のケーブルなどは準備しておきます。
化粧品などもアイブロウとファンデくらいは入れておくように対策をとっています。2〜3日、手元になくて困るというものは基本的に手荷物に!というのが経験から学んだことです。
皆様もロスバゲ対策はしっかり行ってくださいね。

こんなことも理解しておいてください!

グループツアーで「市内観光(ガイド付き)」とあれば、市内観光へ出かけるときに添乗員とは別にガイドさん(案内業)が同行してくれます。
「あれ?添乗員ってガイドさんと一緒じゃないの?」って疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。

私たち添乗員は「旅程管理主任」という資格で、旅程をコントロールするのが業務なのです。
現地の案内、ガイディングは実は別の資格です。
歴史のある国や文化財がたくさんある国において、観光案内は「国家資格」がないと行ってはいけないという法律があります。
無資格のものが案内をすれば、法律違反ということで処罰されます。
イタリアはとても厳しく、少しでも違反をすればすぐに逮捕され拘束されてしまいます。
有資格者の権利を守るためですから当然でしょう。

多くのお客様は私のことを「ガイドさん」と呼ばれたりしますが、実は私はガイドさんではないのです。

ガイドさんと添乗員さんとの違いを知る人は少ないと思います。
また、多くのお客様は「添乗員さんは毎回同じコースを担当する」と誤解されていることもあります。
私たち添乗員の多くは、毎回異なる国や異なるコースを担当するため、先週まではエジプト、来週からはフランス、そのあとはニュージーランドといろいろです。
勤勉で経験豊富な添乗員でしたら、どの国においてもガイドさんと同じくらいの知識もあるのでしょうが、、、、それは少数だと思っておいていただけると助かります。

「自由散策」「自由行動」と記載されている部分において、イタリアでは特に皆様がバスから下車した後にガイドさんのようにご案内をしたり、街中で説明をすることができません。どうぞ、どうぞご理解を!
どうしても質問されたい方、迷子になりそうという方は1〜2人でしたら「案内業務」と捉えられず逮捕処罰されることもないと思いますのでこっそりと話しかけてくださいね。

言葉も準備してイタリアをもっと楽しもう

イタリア人はあまり英語を得意としてなかったりもします。
観光地ではお店やレストラン、ホテルなどで英語は使えますが、ローカルなレストランや街中で道を聞きたい時など英語で話しかけると困られることも。
逆に、英語が通じるところでもカタコトのイタリア語で話しかけるととても喜ばれたりもします。

マナーとして、レストランやカフェ、ショップなどに入る時は必ずイタリア語で挨拶をするようにしてみてください。
とっても簡単!
最低2つのフレーズだけは覚えておきましょう。

「チャオ!」というフレーズひとつで朝から晩まで使えます。
こんにちはもさようならも、これひとつで大丈夫!
「グラッツェ!」はありがとうという意味。
この2つだけでも覚えておけば、かなりイタリア旅行は楽しめるはずです。

最後に

イタリアは本当に魅力的で素敵な国です。
グループツアーであっても、その魅力を存分に味わっていただけたらと心から願っています。
グループツアーのネガティブな部分も理解しつつ、ツアーならではの最大のメリットである「効率的にバランスよくイタリアを楽しむ」ようにしてください。

旅をより楽しむには、万全の準備がマスト。
準備の部分から旅は始まっていますから、ぜひいろいろな情報を取り入れて楽しんでいってくださいね!

安全で良い旅を!


今回はイタリア周遊のツアーについてまとめてみました。
他にも海外ツアーに参加される方に役立つトピックをまとめていく予定です。
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最後までお読みくださり、ありがとうございました。


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