従業員満足度を上げる2つの社内要素
皆さんは『従業員満足度』と聞いて、どんなことを考えますか?
経営者や社長をされている方々からしてみると、耳の痛い話かもしれません。
今では至る所で働き方改革などと言われており、社内環境や給与、労働時間などの改善を求められています。
これらは会社にとってはリスクもある話ですし、長年過酷な労働環境で働いてきた年代の方々からすると、簡単には受け入れられない話ではないかと思います。
ですが、多くの経営者は『従業員満足度』を誤解している部分があると思っています。
そして、これからの時代、従業員満足度を上げることは確実に必要です。
1. 人手不足で倒産する時代
2030年問題と言うと聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。
2030年には全国の人口の約3割が65歳以上となることで起こる様々な問題のことを指します。
慢性的な人手不足や人件費の高騰など、多くの企業にとってかなりの痛手になることが予想されます。
2023年には全国で260件もの企業が「人手不足倒産」をし、さらに増加傾向にあります。
人材獲得競争が激化し、勝ち取れない企業は、売上はあるのに、顧客はいるのに、商品はあるのに、働く人がいないため倒産してしまうのです。
倒産といえばほとんどが資金繰り絡みだったこれまでの時代では考えられないことです。
つまり『従業員が定着しない会社はいつでも倒産の危険がある』時代になっていくということです。
これは裏を返すと『従業員の心を掴んで離さない会社は生き残る』時代だということにもなります。
2. 経営者の『従業員満足度』に対する誤解
こうなってくると多くの経営者は「給与を上げる・休日を増やす」など、社内の環境的な部分を整えなければと考えます。
これは大きな勘違いです。
正確には、これだけでは不十分です。
なぜなら会社側は、給与を上げた分、稼働率が下がった分、業績を維持するために従業員に無理な目標や業務量を強いることになることが予想されます。
これだけでは残念ながら『従業員満足度』は上がらないでしょう。
しかし「売上を維持したまま給与や休日を増やす」のは、不可能ではありません。
さらに言うと『給与や休日を必要以上に増やさなくても従業員満足度を上げる』ことも可能です。
『従業員満足度』は主に『衛生要因』と『動機付け要因』によって構成されます。
アメリカの心理学者であるフレデリック・ハーズバーグが提唱する『ニ要因理論』という考え方です。
この理論に基づいて、『従業員満足度』が高い職場を作り出すことが可能です。
『衛生要因』とは、「給与」や「休日・労働時間」、「人間関係」、「福利厚生」、「作業条件」などです。
これらは別名『不満足要因』といいます。
全てを満たすだけでは満足には繋がらず、逆に最低限満たされていなければ不満足に繋がります。
つまり不満足を予防するためだけの要因です。
従業員満足度を上げるにはここにさらに『動機付け要因』が必要になります。
これは「達成感」や「責任感」、「昇進」、「他者からの承認」などです。
無いからと言って不満を引き起こすわけではありませんが、満たされることで仕事や職場に対して満足感を得ることができます。
これらはマズローの欲求段階説という理論にも繋がります。
『衛生要因』を整備することで満たされるのは「生理的欲求」、「安全・安定欲求」、そして「社会的欲求」の一部です。
これらがある程度満たされた人間が次に満たしたい欲求は「自己実現欲求」と「自尊欲求」です。
この2つの欲求と「社会的欲求」の一部を『動機付け要因』で満たしていくことが、『従業員満足度』に大きく貢献します。
ほとんどの経営者の方々は、『衛生要因』を整備して従業員満足度を上げようとしているのではないかと思います。
これでは不満足は取り除かれても、そこから先の満足には繋がりません。
最低限の給与や時間などの生活水準が安定している現代において、人々の欲求のステージは移り変わっています。
それらに目を向けることが、これからの時代の『従業員満足度』を上げることに繋がっていくと考えます。
3. これからの地方企業の在り方
私はこれまで動画クリエイターとして、ご縁があり全国の様々な企業の動画を制作させていただきました。
映像を通して、従業員1人1人が活力に満ち溢れて、活気のある企業を数多く見てきました。
「自分の住む秋田県にも、こんな素敵な企業をもっと増やしたい」
秋田県で働く人が、楽しく幸せに働ける職場を増やしたいと思うようになりました。
秋田県は2030年を待たずとも、すでに人口の40%近くが65歳以上です。
この数字は断トツで全国ワースト1で、悪いモデル都市となっています。
今ではインターネットが普及し、いつでも全国の企業情報にアクセスできます。
これまで以上に「秋田の中に働きたいと思う企業」が増えなければ、若者の県外流出は防げません。
その結果、顧客はもちろん働き手もいなくなり、サービスが機能しなくなります。
秋田からどんどん企業が消えていってしまいます。
どんどん子供は育てにくくなります。
介護施設や病院で働く若い世代もいなくなり、老後すら安心して暮らせません。
2030年問題は秋田ではすでに起こっています。
経営者も含めた全ての人が幸せに働ける秋田を作っていくため。
自分は秋田の中にもっと素敵な企業を増やし、拡大していくお手伝いがしたいと考えています。
そのことは、秋田が2030年問題に対する良いモデル都市となることで、日本の抱える課題の解決のヒントにも繋がるのではないでしょうか。
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