「地域おこし」考⑤

前回の冒頭の繰り返し、煮返しになってしまうが、ここまで書いてくると「面倒臭い」「閉鎖的」という印象がぐーっと強くなってくる田舎生活であるが、この「面倒臭い」「閉鎖的」なところが田舎の良さの裏返しであるということも否めないのである。

田舎暮らしに憧れる理由としては、自然豊かなところ、そこに住む人の良さなどを挙げる人が多いと思うが、「閉鎖的」が故に開発の手が入らずに自然が残っているということも少なからず言えるし、人の良さが上に「面倒臭い」なと思っても中々無下に縁を切るわけにはいかないのだ。

時々新しくやって来た人が「何もやらずにいるから過疎化が進んでいくんだ。何か新しいことをしなければダメだ。」と地元の人にはっぱをかけているところを目にするが、なにもしなかったお陰で貴方が移り住みたいと思うような環境が保たれていたのでは?と思うときもある。

私は長野県の松本市に住んでおりますが、そういうと「自然豊かなところ良いところにお住まいですね。私もいつか長野県に住んでみたいです。」とニコニコして言われるときがあります。

しかし、私がそこに住んでいる理由は自然に惹かれたからでも、空気が美味しいからでも、水が美味しいからでもなく…「長男だから」。

こういうと「仕方ない」感に溢れていると誤解を受けますがそれは違う。

別に故郷を離れて生活するという選択肢がなかったわけではありません。ただ別の場所で新しい生活を始めるより、地元に帰り将来的には親の面倒を見ながら住み慣れたら場所で暮らすことの方が楽しいんじゃないかなと感じたからです。

どうせ何か楽しむなら地元ならでは、例えば山歩きとか雪遊びとか川遊びとか…別に地域を活性化させるために遊んでいるのではなく、せっかくだからここだからというような余暇の過ごし方をしているわけです。

そんな感じで過ごしていると何となく同じような考え方をする人と関わってきて、それがまた人が人を呼んで輪が広がってきているのです。

~つづく

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