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旧枠デュエマPREMIUMの問題点

「現環境に辟易としている・飽きが来た」というプレイヤーが多い時期にはカジュアルフォーマットが小さなブームを起こす。
特に、昨今は懐古系レギュレーションの躍進が目覚ましい。
去年までのデュエマでは該当するものとしてデュエマクラシック・旧枠デュエマプレミアムが登場した。しかし、前者がYouTuberを中心に流行の兆しを見せたのに対して、後者が流行っているとは到底言い難い。

要因は複数あるだろうが、筆者は旧枠デュエマのレギュレーションを見た時に強く「懐古レギュはコレジャナイ」と感じたし、懐古ユーザーが望むものとは合致していないようとも思えた。
今回は懐古レギュとは何たるやについて語りたい。

そもそも何故懐古レギュが必要なのか

昔のデッキを再び使いたい、最新カードを追うのに疲れたなど、以前の環境で戦いたい理由はそれぞれあるだろう。
しかし、思い立ったところで対戦相手はなかなか見つからないのが実情。
ただでさえ非公式ルールは需要が乏しいのに加えて、同じ懐古プレイヤーでも除去ボルバルミラーをしたい人もいれば、除去ガーディアンvs牙バジュラズをしたい人もいれば、覇4で坊主めくりしたい人もいれば、スクチェンモルネクバトライしたいだけの人もいる。
そこで、共有するルールやカードプールを用意しておき、(できれば発信力のある人間が)そのレギュレーションを周知させる。こうすれば、互いに細かいレギュを示し合わせる必要もなくスムーズに対戦に移れるし、そのレギュでのコミュニティが生まれる可能性もある。内輪でやる分には特に必要ないが、そうでない場合、過疎化しやすいカジュアルフォーマットにおいて人を集めやすくするのは大きなポイントである。

レギュレーション大別

大きく分けて「ゲートボール:純正」「ゲートボール:ミラー」「独自ルール」の3つ。他に、ゲートボール:構築済みデッキ、ゲートボールドラフトなどがある。

ゲートボール純正
当時存在したカードと当時のレギュレーションを適用する形。要はカードプールをそっくりそのまま再現しようというもの。

メリット
・一番懐古しやすい
デメリット
・メタゲームが煮詰まってしまっている

ゲートボールといえばまずこれ。デメリット部分も、新規性のないカードプールでは最終的にメタゲームが固まりやすいのでそれほど大きな問題ではない。
とはいえ、パワーバランスに難がある場合が多く、環境の癌と呼ばれるような害悪系カードが野放しになっている点を許容出来るかは人による。

ゲートボールミラー
ゲートボール初心者におすすめ。

メリット
・当時の環境やレシピ、各対面のプレイングを理解せずともミラーの戦い方だけ覚えれば良い
・2デッキ分集めるだけなので布教用まで考慮してもプレイまでのハードルが低い(時期やデッキにもよるが)
デメリット
・カードプールが完全に固定される
・飽きが来るのが早い

長所は新規参入のハードルが低いという点に尽きる。ミラーだけだと流石に寿命が短いが、他2つに移行するのは楽。できれば先行ゲーになりにくい対面が望ましいだろう。
なお、最初から固定されたレシピで対戦するものと、多めにカードを用意(60枚くらい)しておきその中から40枚選ぶような形のものがある。

独自ルール
当時のレギュレーションそのままではなく独自に禁止・制限を設定する。

メリット
・当時とは異なるメタが展開される(=レギュの寿命が伸びる)
・バランスが改善されやすい
デメリット
・懐古成分が薄れる

当時パワーの抜けていたカードを潰すことで元よりは健全なゲームになりやすい。しかし、大抵は別の飛び抜けたカード(デッキ)が生まれてしまうだけになりがち。また、強いと思うカードを中心に規制していると恣意的なチョイスになりプレイヤーの望まない形に歪みやすい。
個人的には、「その時点より2年後の殿堂レギュレーションを使う」のが客観性とゲームバランスの釣り合いが取れるのではないかと思う(覇やドギラゴン剣をカバーしたいなら3年とかでも良い)。

「特定のカードを使いたいが今のカードのパワーに勝てない(または規制された上に殿堂ゼロじゃ通用しない)ため全盛期の環境で使ってやりたい」というプレイヤーも一定数いる点、デッキのパワーバランスが安定している=面白いとは限らないという点には留意したい。

再現対象の時期

重要なポイント。
現代に近いほど現役ユーザーにも馴染み深いがゲームスピード的に現行のものと差別化が難しい上にデッキが高額になりがちで、古いほど懐古しやすいがカードパワーの低さから特に今のプレイヤーからは飽きられやすい。
というバランス面の問題もあるが、重要なのは再現対象時期のプレイ人口。なぜなら、懐古レギュは当時のプレイヤー数がそのままプレイ人口に結びつくためである。前述したとおりカジュアルフォーマットは過疎化が目に見えており、できるだけ参加者数の見込める時期を選択したい。
初期の基本セットに加えてリブート期として扱われる戦国、E1、革命あたりは売上的に新規プレイヤーが多かったことが予想され、その時期から後の弾は古参プレイヤーからの強い食いつきが期待できる。逆に、売上の低迷した不死鳥、覚醒、DSあたりは「このあたりでやめた」「ここらへんからついていけなくなった」というプレイヤーも多いだろう。

無論、懐古レギュレーションとは古参だけのものではないが、それより後に始めたプレイヤーが誰もやっていないような懐古レギュをプレイする道理などない。

旧枠デュエマのまずい点

さて、ここまで読んで貰えれば旧枠デュエマがまずいと思った理由が何となく理解してもらえるのではないかと思う。
まずレギュレーションの種類。独自のものを採用しているが、カードプールとしては39弾発売直後+プレミアム殿堂1枚だ。
当時の環境は圧倒的サイキックゲー。プレミアム殿堂カード1枚をコンセプトにしたデッキではメタゲームを揺るがすには至らず、当時強かったドロマーや不滅オロチ、4Cディアボロス等に相性の良いプレ殿カードを1枚積むのが結論構築となってしまう。
結果として、純正ゲートボールと独自レギュの悪いところどりをしてしまっている。懐古しようにも超次元呪文を入れないデッキのほとんどはサイキックの圧倒的パワーに太刀打ち出来ない。

再現対象の時期も問題であり、おそらくはMtGの旧枠モダンに倣って旧枠限定にしたのだろうが、過剰なインフレで実質的なスタン落ちを引き起こし多くのプレイヤーが離れた覚醒編(ピンと来ない人はボルコンが超次元を縛っている点から何となく察して欲しい)に焦点を当て、リブート期のE1前で線を引いているため、懐古対象としてはある意味最悪。サイキックで辞めたプレイヤーは数多あれど、新枠で辞めたというプレイヤーは少数派だろう。
「マルコビートで懐古プレイしたかったのにチャクラゲーで蹂躙されたので回れ右しました」という、デュエマが辿った歴史が再現されることは想像に難くない。
更に、神化編までのメタデッキのほとんどを根絶する殿堂入りを実施したのもこの時期で、それによりキリコ・青単・Bロマ・ライゾウ・HM・ハイドロ・シノビドルゲらは環境から姿を消しており、この点でも懐古を難しくしている。

全体的に構造がちぐはぐで、老舗カードショップが提唱したとは到底思えないレギュレーションであるように筆者の目には映った。

じゃあどうすればよかったのさ

案1
時期をずらす。
上で上げた戦国やE1であれば、4弾発売後のカードプールでも「この辺から始めた」と興味を持つプレイヤーは多いはず。前者はソルアド、後者はエクスが構築に大きな制限を生んでいるため、殿堂レギュレーションはそれぞれ当時から2年後くらいのものがちょうど良さそう。
案2
覚醒編から超次元を除外する。
勝舞編までを懐古したい古参ユーザーにとっては超次元以前と以降では別ゲー扱いされる場合が多く、懐古を焦点に当てていたクロニクルデッキが超次元ゾーンの採用を控えている(※)事実からもそれは的外れな見方ではないと推察できる。
案3
規制カードを特殊なものにする。
制限・禁止カードを緩和して選択肢を広げるか、逆に規制カードを増やす。
現実的には後者になるだろうか。というより、何で普通にE1前の殿堂レギュレーションにしなかったのだろうか?

その他ゲートボールあれこれ

裁定・エラッタ
当時と今とどちらに合わせるか。
星龍マーシャルはわかりやすい例だが、それ以外でもプロキオンにヒラメキ打つとか、デルフィンいる時のランハンとか、エラッタで強化・弱体化食らった面々とか、かつての環境レベルでもがっつり変わってるケースは結構多い。
基本的には当時に合わせた方が良さそうに思えるが、シールドブレイクの処理等は現行のものと大幅に変わっているので新章から入ったプレイヤーなんかは困惑しそう。

プロキシの使用
認めるかどうかは裁量に委ねられる。
やはり古いカードには入手が難しいものが多く(特に不死鳥編以前)、当時のカードを持たないプレイヤーの参入を妨げる恐れがある。よって間口を広げたいと強く考えるのであればプロキシの使用は制限付きでも認めるべきだろう。
しかし、冒頭で上げた2つはどちらも発起人にショップ関係者が絡んでおり、要は古いカードの価値を釣り上げてビジネスにしようという動きが見られる。今後自分もそれを行いたい、またはそういった側の後ろ盾を求めるのであればプロキシの禁止は避けられない。


※この記事を執筆した2020年1月まではクロニクルデッキに超次元が含まれることはなかったが、同年発売のものは共に採用されているようだ。

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