中塩博斗×椿三期×細井徳太郎 2024.03.12 @下北沢SPREAD


後半セットリスト 
 ※前半の細井さん×椿さんのセトリをご存知の方がいたら是非教えてください

Hazuki
Giraffe's Blues(ろくようびcover)
眠りの午後
Undercurrent #1 #2 #3
バラが足りない(岩出拓十郎cover)
平日
タバスコのメモ
子宮
きちがい記念日
Long Peace

Enc.
ブーツカット(森島慎之助cover)

2人のギタリストと1人のドラマーによるセッションライブへ行ってきました。

SPREADは初めての箱で、下北沢南口商店街からすぐ入ったところにある地下のナイトクラブ。脇道の側に店名の表示が向いているため分かりづらく少し右往左往しましたが、入ると中は新しめのとてもお洒落な内装でした。

料金を払うと手の甲へスタンプが押されるスタイル。
本格的なバーカウンターのあるフロアは奥行が少し斜めになっていて、奥が段差無しのフラットなライブスペースになっています。

前半は細井さん×椿さんの2人セッション。細井さんの苗字そのままのような体躯からは想像出来ない激しくギャリギャリ鳴らすギターサウンドと絶妙なタイム感で鳴るドラム、大変かっこよかったです。
はじめて拝見した組み合わせのお二人でもあり、知らない曲が多かったのですが、唯一分かったアラバマ・ソングは大好きなナンバーで早速一人(脳内で)ぶち上がり、以降ノリノリで楽しんでおりました。

ちなみにこの時フロアの後方にはこの後に出演する中塩さん(from Khaki)がいらして、飲みながらゆったりステージを楽しんでいるご様子でした。と思ったら途中でテンションが上がったのか、突然ぴょーんぴょーんと飛び跳ねてました。横目にも思わずビクッとしてしまったほど。多分これを読んだ人が想像した高さの3倍は跳んでたと思う。

後半は中塩さんが加わり、3人によるセッションに。

この日、中塩さんは『Undercurrent』#3サビの
「いいよ、君は君だけの奴隷なのさ」
のところを
「オレは君だけの奴隷なのさ」
と歌っていた衝撃。
歌詞の意味合いが全然変わってますけど?!
不意打ちにも程がある改変で、これは本当にかなりのインパクトがありました。

『きちがい記念日』は特に弾き語りの時とがらり印象が変わり、16ビートで刻まれるハイハットの上を細井さんのリードギターがペダル・スティールのようなロングトーンでキラキラと揺蕩っていました。
『平日』は初めてライブで聴けて嬉しかった。中塩さん(汐千博さん)ソロの中で一番好きな曲なんですよね。弾き語りではまだ聴けたことがないのですが、背中のヒリヒリするような尖った印象があるから、アコギよりこういった形態のほうが確かに合うのかも知れません。
『タバスコのメモ』のアカペラからすうっと入るあの感じは何度聴いても一瞬で心を持っていかれます。
Giraffe's Bluesのヘビーなノイズに痺れたし、子宮は前半スローテンポの空白が多いアレンジでジャジーに聴かせ、後半は一気にスピードアップしてバチバチにロックでした。

中塩さんは終始笑顔で楽しそうで、1曲終わる事に低音ボイスで「イエス」と呟くのが印象的というか、そんなキャラでいらしたんですね的な驚きも若干感じつつ。
ライブは常に一期一会の機会なのに加えて、Khakiのライブにおけるいつも目まぐるしく変化するセットリストやアレンジ展開の予測のつかなさも他に類を見ないものなのですが、バンドメンバー以外の3人によるセッションというのはまた違った種類の、何が飛び出すか想像のつかないような緊張感がありました。即興性も高いのか様々なアレンジを試す実験場のような空気もありつつ、元曲がどれもメロディアスなのと御三方の高い演奏力により、楽曲未体験の方でもしっかり楽しめそうな流れになっていました。
何より演奏する側が本気で音楽を楽しんでいるので、新鮮さと同時に程よいリラックス感も漂うようないい雰囲気だったと思います。

曲のあいまの出来事で印象的だったのは、お一人が帽子を床へ落としてしまい、薄暗い足元をスタッフの方の照らすライトで探しながら
「帽子がないと恥ずかしくて演奏できないんだよな…」
とぼやいてたこと。何それかわいいな。
3人のうち誰のことかはご想像にお任せします。

この日は中でも『バラが足りない/岩出拓十郎(本日休演)』のカバーが特筆したくなる素晴らしさでした。
曲順が前後しますが

「最高のドラマーの、椿三期くん。
最高のギタリスト、細井さん。
その間で演奏します。頑張ります」

と控えめなメンバー紹介から始まったこのカバー曲は、旋律の美しさもさることながら中塩さんのあの少し寂しげな歌声で
「バラが足りない、恋をするには少しだけ…」
などと聴かされてみてくださいよ。
細井さんの柔らかく温かな音色で奏でられるギターソロは怖いほどロマンチックに響き渡り、更にはコーラスも加わり、地下の薄暗いライブスペースで夢見るような美しい景色を垣間見せられた…。なんなんだこの人達。

帰宅して早速元曲をネットで探してはみたものの、凄すぎるライブを見た直後の常として頭がふわふわしてたせいか一向に見つけられず、同じライブを見ていた友人のほうが先にYouTubeで発見してくれました。友人冴えてる。

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