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レゾンデートル

書名:レゾンデートル
著者:知念実希人
出版社:実業之日本社
発行日:2012年4月25日(単行本)
発行日:2019年4月5日(文庫本)
読了日:2019年4月15日(文庫本)
ページ数:478ページ
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読書メーター

面白かった!!

<こんな作品>

1日で一気読みしてしまった。(夜更かし)
アクション、ミステリー、ハードボイルド
色々な要素が詰まった作品でした!
スピード感のある展開と病魔と闘いながらも
悪と対峙する戦闘シーンなどは迫力もあり
読み応えたっぷりでした!
本屋大賞2年連続ノミネート
それに幻の原点、デビュー作との事。
初めての作者でしたがこれがデビュー作とは
完成度が非常に高くて驚き!

<ストーリー>

末期癌で余命いくばくかの外科医(雄貴)が
不良に絡まれた事から人生が一転する。
生きがいを見出し、連続殺人鬼のジャック
接点が出来て、奇妙な関係が続く…。
偶然出会った家出少女の沙耶を助け
自分の存在意義を感じながら
ジャックと対峙していく…。

<感想>

末期癌に侵された主人公。
その病が徐々に進行していく様を
リアルに描写していて読者にも痛みが
伝搬するような感じがした。
作者の知念さんは現役の医者という事を知り
なるほど…って思った。
最近、お医者さんが小説を描かれる事も多いけど
やっぱり専門性あるから、リアル感はすごい。
(中山祐次郎さんの作品など)
少女沙耶、警察、記者、ヤクザなど
登場人物も多いですが、それぞれが深く関係し
壮大な物語になっていて非常に面白かったです。
読了感は嫌ではなかったです!

<以降、ネタバレ有>

<感想2>

愛する者が出来てそれを守るために
最後に戦うシーンは心を打たれるものがあった。
沙耶との出会いが主人公に生きがいを与えて
守るものができた事で余命が少しは伸びたのかな。

ラストの殺人鬼・ジャックとの闘いは
末期癌で死を恐れない雄貴だったからこそ
対峙できたのかなって思った。
それに加えて守るものがあるって強いな。

個人的には真琴にもっと寄り添って欲しかったなぁ。
多分、真実を話す事で真琴に危険が及んだり
余計な心配をかけたくないとの事だとは思う。
けれども、あそこまで心配してくれる真琴を思うと
もう少しオープンになっても良かったんじゃないかな。

全ての真実を知ったジャーナリストの宇佐美
雄貴が犯した罪を公表しなかった。
それは同情ではなくて敬意。
ジャーナリストの特権。
既に亡くなっているわけだし
真実を公表したところで裁きはできない。
公表する事で真琴沙耶が悲しむのは目に見えてるからね。

真実を詳らかにする必要があるかどうかは
人によって違うのだろうけれども
私がジャーナリストの立場だったら
宇佐美と同じ判断をしていたかな。

悪人であっても家族がいたり、その子供(高校生)に
殺害現場を見られた場面などがあるので
やっぱり、正義をふりかざしてはいけないのでは?って
読了後に冷静になってから思いました。
殺人鬼ジャックに肩入れするのではなくて
ジャックを命がけで倒しにいくという
ストーリーでも良かったかなぁと後から思ったり。

でも、そんな事を読書中は感じさせないくらい
主人公に肩入れ(感情移入)してしまっている
自分がいましたし、とても面白かったです!

知念実希人さんの他の作品も読んでみようと思います。

<単行本との違い>

検索して知ったのだが
ラストのシーンが違うっぽい。
単行本では沙耶が子供(勇気)を抱えているみたいだ。
文庫本には改題・改稿とあるので少し変えたのかなぁって思った。

<レゾンデートルって何?>

私はこの言葉の意味を知らなかったです。
どうやら哲学用語、フランス語で「存在意義」「存在理由」との事。
他者との比較、他者からの認められた意義ではなくて
自分が認める存在意義との事。
本書の表題にはぴったりである。

<登場人物> 自分メモ

柴田真琴(雄貴の同僚、元恋人)
岬雄貴(32歳、青陵医科大学外科医、豊島区在住)
南波沙耶(シンガーソングライターを夢見る18歳、A型、11/8)
上松恵美(23歳、沙耶の友人、飲食店勤務)
明美(15歳)
宇佐美正人(記者)
松田公三(捜査一課)
田中(捜査一課、松田の2歳年下)
石川良太(所轄刑事)
佐川陽介(カメラマン)
坂本光男(栃木生まれ)
瀬川遼子(順平の妹)
瀬川順平(遼子の兄、練馬区在住)
川原丈太郎
興梠圭介(移植コーディネーター)
楠木真一(北川会系若頭)
楠木優子(真一の妹)
益田勉、皆本信彦、山田浩一、鎌田貞夫(被害者)

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