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ジャンヌ

書名:ジャンヌ
著者:河合莞爾
出版社:祥伝社
発行日:2019年2月13日
読了日:2019年4月12日
ページ数:320ページ

これはとても面白かった!
最近、人工知能関連の書籍・小説を
読む中でも抜群にスピーディで
ハリウッド映画にしても良いくらい
アクション・エンタメ要素もあります。

「私は、自律行動ロボット三原則に逆らう行動はできません」

人口が5,000万人まで減少した2060年代。
家庭にロボットは当たり前の世の中で
ロボットが使用人の主人を殺害する事件発生。
ロボットを検査するため刑事同行の上
製造元へ輸送するが…襲撃される!

レイ・カーツワイルが提唱した
シンギュラリティ(技術的特異点)の
2045年を過ぎた世界である。

<ロボット三原則>
第一原則:人間に危害を加えてはならない
第二原則:法令、国際法、条約を遵守しなければならない
第三原則:人間の命令に服従しなければならない

※一部略

★ここから先はネタバレありです★
(もし読もうと思ってる人は絶対読んではダメです)

・自動運転車
・スマート住宅
・家事ロボット
これらが”AoT三種の神器”
家事ロボットはまさにドラえもんの時代を感じる。

ロボットの三原則について深く考えさせられました。

ジャンヌは三原則に従って行動する。
しかし、人間に危害(殺害)を加える。
次第にジャンヌ自身がなぜロボット三原則があるのかを
考えるシーンはまさに強い人工知能を感じる。

本の表紙にも記載してあるが
ジャンヌが導きした答えは「バイスタンダー」
Bystander「人間を助ける存在」。

では、なぜ人間を殺害したのか?

殺害した主人は”人間”ではなかった。
これがジャンヌが出した答え。
これには正直驚きました。

人間とは何者かという定義次第で
変わってくるものなのか。

ジャンヌが膨大なビッグデータから学んだのは
「人間とは善き存在でなければならない」

個人的に思ったのは、誰が善き存在と判断するかである。
この物語の場合、ジャンヌ(ロボット)が判断してるが
ではロボットの判断は善と言えるのだろうか…。

最終的には「全てのヒトは、人間ではない」
という結論に達したジャンヌ。
確かに、私たちも凶悪犯に対して
「あいつは人間ではない」って使う時もある。
全てのヒトが絶対的に善かと言われれば
それはわからないからね・・・。
法律などの物差しで計るわけではなくて
まさに人が感じるような考え方である。

将来、ロボットがリアル世界と融合したら
どう人を定義するのか
法律的にどう扱うのか
色々な課題が出てくるなって思いました。

それともう一つ思ったのがロボットなのに
自然と人間扱いをしてしまうこと。
ラストのシーンでジャンヌが人間をかばって
自分が犠牲になるシーンなどは結構心を打たれました。

AI、ロボットが普及すると
本当にこういう世界、課題が出てくるのかなって
考えさせられる非常に面白い小説でした!

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