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ブルーBlue

書名:ブルーBlue
著者:葉真中顕
出版社:光文社
発行日:2019年4月18日(単行本)
読了日:2019年4月22日(単行本)
ページ数:475ページ
備考:書下ろし

光文社:https://bit.ly/2GAOVSM
amazon:https://amzn.to/2Zp7r7R

<こんな作品>

平成を生き抜き、平成の終わりと共に
死んだ青年の壮絶な人生。
名は青、母親は彼をブルーと呼んだ。
平成15年12月、青梅で教員一家5人の刺殺事件が発生。
次女が犯人として”解決”になった。
しかし、浮き上がる第三者。
平成31年4月、あと少しで平成が終わる時
多摩ニュータウン団地の空き室で
血まみれの男女の死体が発見される。
平成15年の事件と繋がりが?!

<感想> 読み終えて

重厚で読み応えあった…。
クライムノベルなんだけど
以前読んだ「絶叫」と同じような読了感。
登場人物がみんな負を抱えてる。
鬱屈とする世界観…。
愛情を受けずに育つ子供がどうなるか。
子供は親を選べないこの不平等感。
誰も不幸になりたくはないし
殺人なんかしたくない
けれども、その裏には絶対理由がある
犯罪はどんな事でも許されないけれども
同情してしまうくらいである。
リアルでも突如現れる殺人鬼を作り出してるのは
社会だったり親だったりする気がする。

令和はもっと平和な時代になるといいな…。
平成が終わろうとしている4月下旬の
タイムリーな時に読めたこそ
色々実感できるものがありました!
平成31年が凝縮された1冊
おすすめです!

<感想2> 時代背景

貧困、虐待、援助交際、留学生、技能実習生
無戸籍時、外国人労働、低賃金労働、搾取
ネットカフェ、デートクラブ、売春、格差社会…。

社会が抱える問題、歪みが子供に
どれだけ悪影響を与えているか
考えさせられるノベルである。
全てがフィクションの世界とは思えない
それくらいのリアル感がある。
平成という31年間はそれだけ色々な事があった。
普段光が当たらない部分に光を当てる。
そんな作家だなって感じる!

<感想3> 平成

平成に起きた様々な出来事が随所に出てきて
事件を通して描かれています。
政治、災害、芸能界…。
平成は一般的に平和だったと言われるけれども
バブルの崩壊、山一証券破綻、氷河期
リーマンショック、地下鉄サリン事件
複数の大震災などがあった事を考えると
非常に苦しい時代でもあったのかなって思った。
物理的な豊かさに満たされても
心理的な豊かさは高まっていない
って個人的には思います。

<以下ネタバレ>

ラストに藤崎司が
「30だけど誰とも付き合った事がなくて
誰に対しても恋愛感情がわかない。
(中略)
私も欠陥人間です」


という場面があるのだけれども
この時の司の心情が綾乃に同情しての発言なのか
本心なのかがあんまり理解できなかった。
両親は離婚しているし、家庭をないがしろにしてたけど
虐待を受けた過去はなさそうだし
少し気になりました。
みなさんのご意見も伺いたいな。

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