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「データ提供への配当金」は、データに対するユーザーの考えをどう変えるのか

このnoteを見て初めて知ったけど、おもしろい動き。

1. 記事の内容をざっくり解説

書かれていることを補足も交えて説明すると

・かつて石炭や石油が重要な資源だったように、これからはデータが重要な資源になっていく。米中のIT企業(GAFA・BATなど)はユーザーからのデータを囲い込み、欧州はGDPRでそれを阻止しようとしている

・カリフォルニア州の知事に1ヶ月ほど前に就任したギャビン・ニューサム氏が、データ配当金のアイデアを提唱

・データ配当金というのは「企業がユーザーから受け取ったデータを利用する場合、データ提供者に配当金を支払うべき」という考え方

・労働者が「労働組合」を作ったように、データ提供者は「データ組合」を作って、自分たちのデータ提供に対する権利を主張していくべき

といった内容。

2. データ配当金は欧州のGDPRの発展版?

このニュースを読んで、最初はGAFAをはじめとしたデータを好き勝手利用している企業に対する牽制かと思った。欧州が始めたGDPRの緩いバージョンというか。

実際、GDPR導入以降、既にGoogleがフランス当局からGDPR違反として5000万ユーロ(60億円以上)の罰金を科せられている。このお金はユーザーに分配されないと思われるが、分配するようになればデータ配当金と同じではないかと。

でも、「データ提供」を「労働」に見立てて考えようという元記事を読みながら考えてみると、実はまったく逆なのではないかと思い始めた。

3. データ配当金は、むしろデータ提供へのインセンティブになる

配当金というと、株や投資信託を持っているときに四半期に一度くらい配られるお金のイメージがある。銀行に預けているときの利息も似たようなものだ。データを資源(資産)じゃなく労働と捉える、という考えからすると、むしろ配当金というよりは給料の方がしっくりくる。(が、この後も元記事の記載に従って配当金という表現で話を続ける)

同じ考えでデータ提供に対して配当金が配られるのであれば、むしろ一部のユーザーは積極的にデータを提供するようになる。なぜなら、データを提供すればするほど、受け取る配当金が多くなるからである。

これまでは、「ユーザーの提供するデータを利用することで、サービスが改善して(あるいは自分に最適化されて)、自分が便利になる」ことがデータ提供のインセンティブだった。

データ配当金の仕組みが整ったら、データ提供のインセンティブがより直接的になる。配当金の分配がデータ提供の貢献度と紐づく制度ができたなら、よりたくさんのデータを提供し、より重要なデータを提供するようになるだろう。そして、そのデータを使ってGAFA(そしてまだ見ぬITベンチャー)はさらに成長していくことになる。

4. データ配当金の提案者は「カリフォルニア州の新知事」

こう見てみると、この制度を提案しているのがシリコンバレーがあるIT企業の聖地・カリフォルニア州の知事というのが気になってくる。

欧州のGDPRに追従する「データ保護」の姿勢ではなく、むしろ「データ利用による社会の発展」をよりアグレッシブに進めていくつもりなのではないかと思えてくる。

この動き、今後も引き続き追っていきたい。

※元記事内で紹介されていた書籍


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