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枯れた技術について検討する

テクノロジーの潮流を観測していると、つい最新の技術に目を奪われがちです。

しかし、最新の技術は十分な検証ができておらず安定性が今ひとつだったり、コストが高いといった問題があります。そのため、ある課題に対する解決策を考える時、そもそも最新技術をあえて採用せず、ずっと昔からある、いわば「枯れた」技術を使えば、安定性が高く、コストも削減することができることがあります。

このように、テクノロジーを利用して何かしらの課題を解決しようと臨む時、最新技術だけではなく、枯れた技術をニュートラルな目線で参照することも時には重要です。

今回は、THE TECHNOLOGY REPORTメンバーが今注目する「ほどよくこなれた技術」を「あざやかに転用しているモノ」、「忘れられているけど、実はすごかったモノ」、題して「ヴィンテージ・テクノロジー」について考えました。


「枯れた技術」とは何か?そして、「枯れた技術」の英訳として、あえてよく使われる「Mature Technology」よりも「Vintage Technology」とするほうが、「らしさ」が伝わるのではないか?という提案がなされています。

90年代後半から2000年代のビジュアル表現のリバイバルに注目しながら、今みると独特に映るその味わいの原因を、その時代におけるテクノロジーの限界によって生まれた「アジ」であると分析しています。

製造分野における究極のヴィンテージテクノロジーともいえる「鋳造」に注目。テスラのギガファクトリーも導入して話題になったダイカストマシンなどを紹介しながら、一見枯れた技術も、着実な精度の向上と、最新技術との組み合わせによって時として驚くような進化が起こることを紹介しています。

カセットテープの再評価や、Lo-Fiヒップホップの人気で再評価が進む「テープ」に注目。ノスタルジックな楽しみ方とは別に、実は記録媒体として様々な優位点があり、長期間安定的なデータの保存として魅力的な選択肢の一つとなっているそうです。

80年代に電卓の液晶画面から「ゲーム&ウォッチ」が誕生したように、現在においてほどよく技術を枯れさせる鍵を握っているのはスマートフォンではないか?という仮説が様々な事例を交えながら提案されています。

ある一時期ウェブ上のリッチなコンテンツ開発で大活躍したFlashクリエーター(通称Flasher)。当時Flasherたちが追求していたアニメーションのチューニングやインタラクションの気持ちよさの演出技術は、最近の環境ではなかなか得難い今でも重宝されるスキルなのではいかという提案がなされています。


今回は記事執筆に先立って行われた編集会議の様子がYouTubeにアーカイブされています。ぜひあわせてご覧ください!

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