300万人のファン抱える欧米人気配信者の、YouTubeじゃ教えてくれないYouTube論

アニメ系YouTuberのGiggukはチャンネル登録者数280万人を誇る欧米アニメコミュニティの代表的な存在だ。現在では「KADOKAWA BOOK☆WALKER」傘下のタレント事務所GeeXPlus社のサポートを受け、Netflix Animeのホストを務めたり、日本のアニメ関連企業をスポンサーにつけながら活躍の幅を広げ続けている。

前編では、彼自身のアニメ史とチャンネルの成長に照らし合わせて、世界のアニメ受容の変遷について存分に語ってもらった。


海外トップアニメYouTuberが語るアニメの現在地 「Shonen」ジャンルと日米ヒーロー比較論

「やっと、アニメがクールになった」 KADOKAWAの市ヶ谷ビルで、そう沁み沁みと語るのはアニメ系YouTuberのGigguk(ギグーク…


後編となる今回は、彼のYouTube論にフォーカス。2007年から活動を続ける最古参YouTuberのGiggukが現在も勢いを増し続ける秘密に迫った。

インタビュー・執筆:LIT_JAPAN 撮影・編集:和田拓也


目次僕にはなかった子ども時代を提供したいクラウドファンディングの間違った使いかた日本に欠けた、「フェアユース」の視点海外YouTuberからみた、日本アニメのロリ・エロ表現海外YouTubeシーンのトレンド欧米のアニメオーディエンスが抱える問題


僕にはなかった子ども時代を提供したい



──アニメYouTuberの最古参として13年近く活動されてきたGiggukさんのモチベーションはどこにあるんでしょうか?

Gigguk 僕がYouTubeの動画をつくるのが好きなのは、僕がアニメを好きだからです。クサく聞こえるかも知れませんが、アニメが好きじゃなくなったら、僕はアニメについての動画はつくらなくなると思います。

その確信は日本に移ってきてから、強くなっています。日本で「Trash Taste」というポッドキャスト番組を始めて、アニメに関係ない色々なコンテンツづくりも試しているんですが、それで改めて気付いたんですよ。僕は「Anime Guy(アニメのヤツ)」で満足なんだって。

The Worst Anime Podcast Has Arrived | Trash Taste #1

同じくGeeXPlusに所属しているTheAnimeManとCDawgVAと共にホストを務めるTrash Tasteポッドキャスト。チャンネル開設からわずか9ヶ月で登録者数は80万人を突破している。

Gigguk だから、アニメへの情熱が冷めてしまうまで、アニメに関する動画をつくり続けても構わないと思っています。なぜなら、僕の動画づくりの根幹には「皆がアニメについて話せる場所をつくりたい」という気持ちがあるからです。僕にはなかった子ども時代を提供したい

今のキッズたちがアニメへの愛を普通に共有できて欲しい。その根幹にある気持ちが僕の動画づくりを後押ししてくれているんです。

──なるほど。皆がファンダムの一部であると感じられるように。

Gigguk その通りです。皆がコミュニティの一部だと感じられるようにしたいんです。その感覚は僕には与えられなかったものだから。

クラウドファンディングの間違った使いかた

──Giggukさんは、そんなコミュニティづくりを、ご自身が活動を続けるためのマネタイゼーションにも上手く繋げられていますよね。まだ日本では馴染みのないサービスですが、サブスクリプション型の支援サイト「Patreon(*1)」の活用がその良い例かと思います。

Gigguk Patreonがなければ、今日の僕は存在していなかったと言っても過言ではありません。

Gigguk 僕がBBCを辞めてYouTuberを再開した時(前編参照)、支持者はいたものの、数は今より少なかった。4年間活動を休止するというのは、YouTubeやネット上においては非常に長い時間なんです。

だから自分の貯金などに頼る必要があった。でもPatreonのおかげで、僕のことを信じてくれているコアな支持者に自分をマーケティングして、セーフティネットをつくることが出来たんです。当時の僕にはスポンサーシップだけで十分なお金を稼ぐことは出来なかったし、広告収入で食べていくことも出来なかったので。

*1 主にYouTubeコンテンツ製作者、ミュージシャン、ウェブコミック作者向けのクラウドファンディングプラットフォーム。自身のファンから月額の寄付を募ることが出来る。読み方は「ペイトリオン/パトレオン」。

──Patreonの強みはどこにあるんでしょうか?

Gigguk Patreonが可能にしているのは、少ない支持者でも、持続可能なインカムを稼げるということです。当然、自分のマーケティングの仕方を分かっていればの話ですが。

Patreonやクラウドファンディングは、マスにアピールする必要がないんです。非常に限定されたニッチだけを気にすればいい。そのニッチから裾野を広げていってもいいですが、少ない人数に対して訴えかけることで、持続可能な生活を送ることが出来る。

僕はおかげさまで、今ではPatreonがなくてもYouTubeを仕事に出来るところまで来ています。十分な視聴数と登録者がいますから。でもPatreonがなければ、BBCを辞めた後の1〜2年の間、仕事としてYouTuberに専念することは出来なかったでしょう。

──そういったファンからの直接的な支援は、Giggukさんにとってプレッシャーになったり、クリエイティビティに影響を及ぼさないのでしょうか?

Gigguk 端的に言ってしまえば、答えはノーです。なぜなら、これはアプローチ次第だから。Patreonをビジネス的観点から見ると、「何でも売ることが出来るお店」なんです。これが正しい捉え方だと僕は思っています。アートを売る人もいれば、声優として声を売る人もいる。

僕のPatreonのマーケティングの仕方は、物理的な商品を売る代わりに、自分自身を売ることでした。もしPatreonで支援してくれたら、もっと動画を提供できますよ、と。もし十分な支援がなければ、BBCに戻りますよ、と。

だから、ファンが「僕の活動を信じて支援してくれている」という前提があるので、僕は特定のコンテンツを無理してつくるような必要はなかったんです。彼らは僕のことを信じてくれていて、僕は必要以上のことを彼らに約束する必要がなかったんです。

──ある意味で、Giggukというパーソナリティーを人質に取るようなマーケティングとも言えますよね。

Gigguk そうですね。ただ、Patreonやクラウドファンディングを「寄付」のためのプラットフォームとして捉えている人もいます。僕はそれをPatreonの間違った使い方だと思っています

クラウドファンディングでもPatreonでも、そのキャンペーンを成功させるためには様々な戦術やアプローチがあるんです。だからこそ、Webマーケティングやブランディングが大事になってくる。

僕はYouTubeやコンテンツを情熱をもってつくることと同時に、ビジネス面についても同じくらい手間暇をかけています。コンテンツもたしかに重要ですが、ビジネス面を無視して活動を続けることは出来ませんから。

──たしかに、目的もなく寄付を募るようにPatreonを立ち上げているアーティストも沢山いますよね。

Gigguk 人々がお金を払ったり、支援しようと思うのには、絶対に理由があるんです。僕は無事成功していますが、同時に、他の10人中9人はPatreonの運営とマーケティングに失敗しているんです。

日本に欠けた、「フェアユース」の視点



──これも収益化に関わる話ですが、約2年前、Giggukさんのチャンネルが「再利用されたコンテンツ」を理由に非収益化されたこと(撤回済み)がありましたよね。ただ、Giggukさんは、多くの米YouTuber同様、著作者の許可がなくても著作物を利用できる「フェアユース(*2)」の考えに則った上で、アニメ作品の映像なども引用されています。日本ではほとんど馴染みのないフェアユースという概念についてGiggukさんのご意見を聞かせて下さい。

Gigguk 是非の判断が難しい問題だとは思いますが、フェアユースは認められるべきだと思います。でも、その線引きは難しい。このシステムを濫用する形で著作物をまるごと投稿して、その広告収入が違法投稿者の手に渡ってしまうもある。それは誤ったフェアユースの使い方です。

同時に、僕はフェアユースが、業界にマイナスよりもプラスの作用を果たすという考えとともに育ってきました。商品や作品について多くの人が話したりシェアしたりすることは、長期的に見ればプラスの影響のほうが大きい。それを禁じてしまうのは古い考え方だと思います。日本ではフェアユースの観点はあまり浸透していないんですか?

*2 「批評、解説、ニュース報道、教授、研究または調査等を目的とする著作権のある著作物の使用は、著作権の侵害とならない」とアメリカ合衆国憲法が定める著作権の例外規定

──あまり議題になりませんし、一度フェアユースを認めてしまえば、濫用されてしまう危険があるという認識のほうが日本では強い傾向にありますね。

Gigguk それも大事な考え方だと思うんです。フェアユースについて慎重になるのは理解できますし、それは日本文化において著作物に対する「敬意」が重要視されているからでもありますよね。でもビジネスの観点からも、文化の発展という観点からも、フェアユースの導入を避けるのは、間違った方法論だと思います。

特にネット時代においては、「ネットがネットであること」を規制することは出来ません。人々は作品や商品について必然的に語るし、シェアもしますから。だから業界側には2つの道があります。時代に合わせて進化をするか、皆の反感を買うか、です。

──ただ、フェアユースという法理自体にも曖昧なところが多いですよね。

Gigguk そもそもフェアユースはメディアの隆盛に合わせて40〜50年前に形が定まった法律なんです。でもインターネットは、ずっとその先を行っている。だから、現代や現代の仕組みに合わせて調整されるべきだと思います。

でも日本のようにフェアユースという概念があまり浸透していないというのは、大きな機会損失だと思います。日本では、どんな簡単なことでも実行に移すためにいくつものお役所仕事をクリアしないといけない。これは僕が日本に来て驚いたこのひとつでもあるのですが、これでは物事の進みは当然遅くなりますよね。

海外YouTuberからみた、日本アニメのロリ・エロ表現


──これもYouTubeのコンテンツ規制に絡む話題ですが、Giggukさんの投稿された『異種族レビュアーズ』のレビュー動画にYouTube側から年齢制限が掛けられたことがありました。件に関しては猥褻なコンテンツという理由で制限が掛けられたかと思うのですが、YouTubeのコンテンツ規制全般に関するGiggukさんの考えを教えて下さい。
Gigguk まあ、YouTubeはクリーンなイメージを保たないといけないという建前もありますし、そこについては理解しています。僕の信条としては、「出来るだけYouTubeのルールに従う」です。
当然、僕のコンテンツはその一線を越えてしまうこともあります。そのガイドラインを越えることで、コンテンツが良くなる可能性があったとしても、その枠内に収めないといけないんですよね。それが分かっていても、『異種族レビュアーズ』の動画のように、その一線を超えてしまうこともある。
──作品としてすごくユニークだと思いましたし、非常に的を射たレビューだっただけに残念ではあります。
Gigguk たしかに少し残念ではあります。まあエッチなアニメだったので、年齢制限が掛かる可能性があることは十分に承知していたのですが、その「負け」を飲み込まないといけないこともありますよね。
だって、どんなに抗議しても、僕も結局はYouTubeに何百万人といるコンテンツクリエイターの1人に過ぎないわけですから。だからYouTubeと戦うときは90%の場合、負けてしまう。彼らのルールに従うしかないんです。
──これもコンテンツの「(自主)規制」というトピックに繋がると思うのですが、アニメとが世界に広まるにつれて、いずれアニメ産業がポリティカル・コレクトネスと衝突する時が来ると思うんです。
Gigguk 正直に言うと、ポリコレはすでにアニメ業界と衝突していますよね。特に欧米の言論空間では、これが顕著です。Twitterでもたびたび議論が巻き起こっていますし。
──アニメ産業はこの状況に対して、どのような対処をするべきだと思いますか?
Gigguk それは「ポリティカル・コレクトネスの観点からの批判が、どれだけ日本のアニメ産業自体に影響を及ぼすか」という1点に尽きるかと思います。なぜなら、Twitterで怒る人がいるのと、それが業界に金銭的な影響を及ぼすかは全く別問題だと思うからです。


Gigguk もし影響が及ぶのだとしたら、ジャンプ系のアニメ作品などはポリコレ的な配慮に気を配るようにはなると思います。でも同時に、日本アニメの「めちゃくちゃ」な部分はなくならないと思いますし、変わることもないでしょう。たとえ人々が文句を付けたとしてもね。
──対処するとしても、金銭という実利的な側面が大きな要素になってくると。
これまでのアニメ業界の収入は国内からが大半でしたが、アニメが世界中で人気になったことで、国際市場の収益源が大きくなってきています。これは年々加速しているし、この国際市場の収益源に影響が及ぶかどうか次第でしょうね。
──日本の作品は様々なタブーも取り扱っていると思います。成年コミック/アニメはもちろん、一般作品でも、キャラクターが必要以上にロリータ性をまとっているものや、過度に性的な表現を作品内で消費しているものが数多くあります。こういった状況にも影響は及んでくると思いますか?
今の時点では待ってみるしかないと思いますが、成年コミック/成年アニメが変わることはないと思いますね。HentaiはHentaiで、独自に存在しているものですし。一般アニメとHentaiは別物だというのが僕の考えです。
ただ、一般作品にも『回復術士のやり直し』のような、非常に際どい描写がされている作品もありますよね。だから、そういった作品には影響が及びやすいかも知れないです。

海外YouTubeシーンのトレンド

──Giggukさんはチャンネル登録者数280万人以上を誇るインフルエンサーです。ただし、SNSにおけるユーザーの影響力の度合いが、マーケティングをはじめとした様々な局面で重要視される一方で、長期的に見れば、実際の影響力や視聴数が伴わなくなることも往々にしてあります。Giggukさんがご自身をアップデートしていく中で、意識していることはありますか?
Gigguk 僕のコンテンツづくりの信条として「時間とともに変化していきたい」というものがあります。たとえば、自分が1年前につくった動画を見て、今つくっているものと全く同じだったとする。そうしたら、それは僕にとって失敗なんです。
だから常に新しいことに挑戦して、コンテンツを変化させてきました。僕が影響を受けているのは、その時にYouTubeで面白いと思って観ていた動画なんです。もし1年前と今の僕の動画を見比べても、あまり違いはありません。でも僕の5年前の動画と比較すれば、今つくっている動画とはだいぶ違いがある。

─たしかにGiggukさんは多くの人気シリーズをあえて手放してきましたよね。

Gigguk よくYouTuberが数字や再生数のことは気にしていないと言っていますけど、それはある程度までの話ですね。仕事なんですから、当然数字や再生数のことは気にしています。数字や再生数を稼がなければ、お金も入ってこないわけですから。ただ、彼らが言っていることも理解は出来るんです。

彼らが言っているのは「自分のつくりたいコンテンツは数字や再生数のみには支配されないぞ」ということなんですよね。やはりYouTuberというのは、自分のつくりたいものと数字や再生数を稼げるものの間のバランスを見つけることが肝になってきます。それが人気YouTuberになる本当の秘訣なんです。



──具体的にどのようなコンテンツに影響を受けているんでしょうか?

Gigguk YouTuberのSuper Eyepatch Wolfは大好きですね。彼のコンテンツは素晴らしいです。でも実は、友達の動画は除いて、あまりアニメYouTuberの動画は観ないようにしています。悪い意味で影響を受けてしまいそうで。

だから幅広いYouTubeチャンネルを観ていますね。ゲーム系YouTuberでいうとvideogamedunkeyNakeyJakey。エンジニアリング系YouTuberだとMichael ReevesStuff Made Here。ドキュメンタリー系だとFredrik KnudsenのDown the Rabbit Holeとか。

彼らの扱うトピック自体も面白いんですが、純粋に面白いコンテンツをつくれるクリエイターの存在は本当にありがたいですね。誰かがつくった良いコンテンツを見ると「自分のコンテンツでも似たことが出来ないかな?」と思わせてくれるので。それが僕自身のコンテンツを進化させていける秘訣なんだと思います。

──今挙げられた中だと、ストーリーテラー系のYouTuberが目立ちます。少し前まではいわゆる「カルチャー分析」系のビデオ・エッセイが流行りでしたが、今は良いストーリーテラーが求められている傾向があると思います。

Gigguk その通りだと思います。だから全体的なトレンドも少しずつ変わってきているんですよ。時とともにゆっくりと。そのトレンドの変化は、説明しようとしても説明できるものじゃない。どんな動画が人気が出るかという点に注目して、見守るしかない。

あと3年経てば、また新しいトレンドが生まれているだろうし。常に変わり続けているんですよね。

──今のYouTubeシーンは、様々なニッチやYouTubeのアルゴリズムによって、細分化されている印象があります。GiggukさんはそんなYouTubeシーン全体の中で、ご自身をどう位置づけていますか?

Gigguk 現状、僕はアニメというニッチの中にいますね。僕はそのアニメ・ニッチの中のトップ帯にいることに満足しています。この閉鎖的な空間の中に留まるのは簡単ですし、そこから抜け出そうとする人たちもいます。でもそれには3〜4年スパンでの計画が必要です。

一晩で変わることは無理なんです。実際に、このニッチから抜け出せる人もいる。でもすごく時間が掛かるし、徐々に歩を進めていくかたちになる。僕自身はアニメのニッチにいることに満足しています。僕がアニメに本物の情熱を抱いているということ自体がラッキーだったのかも知れないですね。

欧米のアニメオーディエンスが抱える問題



──Giggukさんは、アニメYouTuberの10年後はどのようなものになっていると思いますか?

Gigguk 僕が1年後にどうなっているかも分からないので、なんとも言えないですね(笑)。

言えることがあるとしたら、現在のアニメYouTuberシーンはトップヘビー、つまり一部のYouTuberたちが人気を独占する形になっている可能性があるということですね。

いま現在、アニメYouTuberを仕事に出来ている人は少ない。僕は幸いにも仕事に出来ていますが、将来的には、アニメYouTubeシーンにコンテンツクリエイターが増えてほしいと思っています。

──たしかにトップ層とその他の格差が大きいですよね。

Gigguk 今僕たちがGeeXPlusとやっていることが、次世代のアニメYouTuberたちが業界と密に仕事が出来るような基盤づくりになればいいと思っています。今までは考えられなかったことですから。

──「GeeXPlusの最終的な目標は、日本国外のYouTuberを、日本を拠点にしているライター(漫画家・脚本家など)、ディレクター、プロデューサーとつなげることで、日本のポップカルチャー産業の”顔と名前を一致させる”こと」とありますよね。これはどういった意図があるのでしょうか?

Gigguk 欧米のオーディエンスが抱える問題として、彼ら/彼女らが「アニメ作品の裏側にいる人たちのことを知らない」という問題があります。「アニメ業界」というもの自体について知らないんです。もちろん、業界の多くの人達が(仕事を失うリスクがあるので)多くを語らないという要因もあります。ただ、もっとアニメYouTuberがアニメに携わる方々の話や知識を人々に届けることで、アニメ業界の裏側にいる人たちの顔と名前を一致させたい。そういった意図があります。

──これは海賊版対策としても有効だと思います。自分の知っている人からは盗まないですよね? でも彼らのストーリーを知っていると、罪悪感が生まれる。顔を知っている農家の人たちからは野菜は盗みにくいというか。アニメ業界の方々をゲストに迎えている「Trash Taste」にも、そういった意図があるんでしょうか?

Gigguk そうですね。海外であまり話題に上がらないアニメ業界の人々の話は、非常に「リアル」だと思っているんです。だから、長期的な目標としては、そうしたリアルな日本の文化にもっと光を当てたいということですかね。良いところも悪いところも

僕たち以前にも、たとえばvloggerとかが日本について取り扱ってきたと思うんですが、ポジティブな面にばかり注目して扱ってきたと思うんです。それはそれで良いんですが、完璧な国なんて存在しないんですよね。僕は色々な国に住んだ経験があるので、それは断言できます。

だから僕たちのポッドキャストでは、良いも悪いも含めて、よりリアルに日本の文化を伝えることで、日本に来てもらいたいと思って欲しい。そのために、堅苦しい「インタビュー」では話せないことも話せるような、カジュアルなおしゃべりの場をつくることを心がけています。そんな感じで、Trash Tasteでは色々なことをやりたいですね。

──なるほど。そうした知識を届けることで、アニメYouTuberのみならず、アニメを志す次世代の人々の基盤づくりに繋がると。

Gigguk 次世代のコンテンツクリエイターたちが日本の業界と一緒に仕事を出来る基礎になれば嬉しいです。また、それにインスピレーションを受けて、アニメ系のコンテンツをつくりたいと多くの人に思ってもらえるようになって欲しい。

なぜなら、僕は仕事としてYouTuberをやっているけども、第一にアニメファンだからです。どちらも愛しているんです。

──ちなみに、Giggukさんはいま一番誰にインタビューをしたいですか?

Gigguk チャンスがあれば様々な方に話をうかがいたいとは思っています。ただ、1人挙げるとすれば、夢物語かも知れないですが、諫山創さんですね。なんて言ったって『進撃の巨人』の作者ですから。



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