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プライマリーバランスとは何か?

今回は、財政論などでよく言われたり、公約等で言われているプライマリーバランスとは何かについて話を展開していきます。

そして、政治関連ではプライマリーバランスの黒字化と言われていますが、それはどのようなことか見ていくことにしましょう。

プライマリーバランスとは

プライマリーバランスとはネット上ではこのように書かれています。財務省のサイトから引っ張ってきました。

プライマリーバランス(PB)とは、社会保障や公共事業をはじめ様々な行政サービスを提供するための経費(政策的経費)を、税収等で賄えているかどうかを示す指標です。
現在、日本のPBは赤字であり、政策的経費を借金で賄っている状況です。この日本の財政の状況を家計にたとえると、毎月、新たな借金をして、給料収入(税収等)を上回る生活費(政策的経費)を支出している状況です。
                                引用元:財務省

つまり、プライマリーバランスとは借金をしないでもらった分だけを同じようにお金を出すということです。それ以上の出費をしないようにすることです。

収入と支出を同じ額にするということです。

企業と家計の場合

家計を例に考えるとわかりやすいと思いますが、家計の場合は収入以上のお金を使うことはできません。なぜなら、お金がその場にないからです。

例えば、毎月20万円をもらっている人がいるとしましょう。その毎月20万以上の出費を毎月することはできますか。現実問題できませんよね。

これは企業でも言えることです。売上高が毎月100万しかない企業が毎月120万円のお金を使い続けることはできません。なぜなら、赤字になってしまうし、借金が毎月20万円ずつ増えてしまいますから。

このようにプライマリーバランスを調節する必要があるということです。そして、これは通貨発行権のない家計や企業での話なのです。国になるともっと複雑化します。

国の場合

国の場合、家計や企業とは多少異なってきます。国の場合は家計や企業のように収益という形でお金が入ってくるものでもありませんし、減ったり増えたりがそこまでしないのが特徴的です。税金が国にとっての収入となります。

そして、国の場合は家計や企業と同じように収入と支出をそろえることによっての弊害が生まれます。それは、お金が回らなくなることです。

それは税金と自国通貨発行権が絡んできます。

税金

税金とは何か。

私もこれに関してずっと疑問でした。確かに税金は日本国憲法で納税の義務という形で定められているので、納めるのが当たり前です。

税金とはあくまでも国を運営するためのお金であるのには変わりません。

インフラ事業や生活環境の整備など、利益にはならないけどとても重要なことに使われるために徴収されているわけです。

税金で回していないと救急車や医療、教育(義務教育)などが高額になるわけです。それを防ぐために誰でも一定の生活ができるようにというので納めているものなんです。

そして、重要な役割として3つあると言われています。とある本から引用いたしますね。

人の生活に不可欠な公共サービス
国や地方公共団体が整備する道路や上下水道、教育や警察などの公共サービスは、私達の生活を安全で快適なものにしてくれます。税金はこの大きな役割の資金源になっています。

所得の再配分機能
ご存知のように、世の中には経済的に豊かな人とそうでない人がいます。これを放置しておくと、その差がどんどん広がっていってしまうことになります。
そうした経済的格差は社会不安を招き、場合によっては暴動も起こりかねません。それを回避することも、税金の役割なのです。
相続税や所得の累進課税により、豊かな人たちからその富を税金として徴収し、豊かではない人には社会保障をより多く給付します。
このように税金の徴収によって所得を再分配することで、社会の富が豊かな層からそうでない層へ還流することになります。

景気の調節機能
景気を調節することも税金の果たす大きな役割のひとつです。
自動安定化機能とは、景気のいいときには資金を吸いあげることで景気の過熱を防ぎ、不景気のときには資金を供給することで景気を刺激することが望ましいものです。
また、政府は好況時には税負担を増加させ、可処分所得をへらすことで景気を抑制し、不況時は減税によって可処分所得を増大させることで景気を刺激します。
参考:図解わかる税金 2020-2021年版 茶川靖彦 篠崎雄二

この本を見る限り、税金は景気を調整するための装置と、所得の再分配なども含まれています。

しかし、現状ではそれが行われていないというもの事実です。2018年ごろから不況と言われているのにも関わらず、間接税である消費税の増税や、他の税金の増税も行っております。

税金につきましては、また違う記事で詳しく解説していきたいと考えています。

自国通貨発行権

この自国通貨発行券ですが、日本で生活をしている中では最も重要な話になります。

自国通貨発行券とは自国である国が通貨を発行できますよという制度になります。日本(円)、アメリカ(ドル)、EU(ユーロ)、中国(元)、韓国(ウォン)など自国で通貨を持っています。

ここでギリシャ危機について触れていきましょう。ギリシャの財政破綻した話がよく展開されていますが、なぜギリシャが破綻したのでしょうか。

それは国債が多すぎたということですね。日本でも同じように国債を発行しています。

しかし、ギリシャと日本では大きな違いがあるわけです。それは自国の通貨を使用しているかどうかです。ギリシャはヨーロッパ連合に属していますので、通貨はユーロです。これはヨーロッパと言う連合により発行しているので、ギリシャには発行券がありません。

逆に日本は通貨は円です。これは日本銀行によって発行されているので、日本の通貨になります。そのため、日本独自の通貨といえます。

つまり、政府によって通貨を発行するか否かを決定することができるということです。ニュースで見てもらればわかりますが、政府が何か財政的なことをする場合に日本銀行が取り上げられるかと思います。

それこそが、政府と日本銀行がつながっているということです。したがって、政府は日本銀行にお金を発行するように言うことができます。

こちらの東洋経済でも財政破綻することがないということが示されています。


プライマリーバランスの黒字化とは

プライマリーバランスについて見てきたように、プライマリーバランスの黒字はもっと削減をするということです。

例えば、10万円もらっても、8万円しか使わなければ、プライマリーバランスの黒字化に成功したと言えます。なぜなら、2万円残っているから。

これを家計と企業で考えることにしましょう。

10万円を給料または融資などで頂いたとします。そして、その10万円の中から8万円を支出しました。

収入:10万円 - 支出:8万円 = 残高2万円

ここで2万円の余裕があり、それを貯金にすることができるからです。これは家計や企業とすれば、利益になります。これが一般的な考え方です。

しかし、国単位で考えるとこれでは良くないのです。なぜなら、政府の黒字は国民の赤字になるのです。

政府の黒字と国民の赤字

政府の黒字が国民の赤字とはどういう事か説明していくことにしましょう。

政府の黒字というのは会社や家計で考えれば、利益がある状態のことになります。政府で考える場合、税金が主な収入源となります。

その収入源がある中で黒字ということは、入ってきた金額よりも税金を使わないということです。

つまり、税金が余っているような状態が政府の黒字化となります。全体とかで考えるとややこしいので、ここでは1回の収入と支出の話をしています。

これは会社で例えてもらえるとわかりやすいですが、会社も収益よりも支出が低ければ利益が上がるわけです。

だから、人件費などの固定費を下げたり、原価を下げて利益ができるように努力をするわけです。

しかし、これが政府の場合だと問題となるわけです。政府が黒字になれば、国民は赤字になります。

なぜなら、政府がみなさんから徴収をした税金が丸々使われないからです。

世の中に100万円の通貨が流通しているとします。そこで、税金として60万円徴収したことにしましょう。

そうすると、市場には40万円しか残らないことになりますよね。政府が流通している通貨を税金として国民から徴収したわけですから。

そして、政府はその税金から30万円しか所得の分配をしなかったとしましょう。そうすると、

現在の市場に流通するお金:40万円 + 使用した税金:30万円 = 流通するお金70万円

となります。これで政府の黒字化に成功しました。税金として残り30万円あるわけですから。政府の使用できるお金として。これこそがプライマリーバランスの黒字化に成功したと言えることです。そして、国民の赤字にもなりました。

流通するお金が30万円も減ったのですから。実際に会社や個人で使用できるお金が少なくなったと言えるでしょう。

逆に、税金を60万円徴収したものから、通貨発行権を使用し20万円を税金にプラスして、所得の分配等を行ったとすれば、

40万円 + 税金:60万円 + 発行した通貨:20万円 = 流通するお金:120万円

となります。

この状態が、国民の黒字化、政府の赤字となります。そして、プライマリーバランスの赤字化にもなりました。

つまり、国民が使えるお金が増えれば増えるほど、プライマリーバランスの赤字化に進むわけです。逆に、国民が使えるお金が減れば減るほど、プライマリーバランスの黒字化になるのです。

これが会社や個人と異なる点で勘違いされやすい点です。政府は私達の感覚とは逆に動くのです。

なぜなら、お金を供給している側だからなのです。政府の動きは個人や会社ベースで考えてしまうと問題となるのです。

会社や個人は削減すること自体が良いことになりますが、政府は公的な立場であり、マイナス点をきることで問題が起きる場合はそんな事はできません。

公共性が必要となるというわけです。それを私用として考えるとおかしいことになるというわけです。

もっとわかりやすく書かれているのは下記のリンクだと思いますので、一度読んで見ることをおすすめします。


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