愛について2本映画

見た映画の話。ネタバレ壮大にしているのでこれから見る方は気をつけてね!


「人間失格 太宰治と三人の女たち」


見始めて3分、後悔した。私、太宰治の文章は好きだけど太宰治の人となりはビタイチ好きじゃなかった。これ、2時間耐えれんのかって劇場に座ったばかりなのに不安になった。結果から言えば全然オッケ!!だったけど。
もーーこれが応援上映(あるわけない)だったら何回も太宰を怒鳴りつけて叱り飛ばしてた。というか本当に舌の真ん中辺りまで「うるせえ!」「てめえいい加減にしろ!」という言葉が来たけど前頭前野の働きにより寸止めに成功。映画館の静けさは保たれました!!
編集者の佐倉が良かった。「太宰の作品が好き。でも人となりや生活はどうかと思う。でも作品が凄いから書いて欲しい」という、冷静さともどかしさと憧憬の混じった、読者(というか私)に一番近い目線が佐倉だった。佐倉が富栄に暴行したシーンだけは謎だったけど。
坂口安吾として藤原竜也が出てきたときは笑ったし嬉しかったw 藤原竜也の坂口安吾をもっと見たいな。競輪場で大喧嘩する藤原竜也とか見たい。笑
演出は蜷川実花ワールド全開で、これがハマるかどうかでこの作品の評価が分かれるとおもう。私は好き。ヘルタースケルターよりも派手さは抑えてあるけど、印象的な色彩、サイケデリックな効果、腹を刺されるような音楽。祭りのお囃子のシーン、渦巻く感情を掻き立てられてここが好きだ。
そりゃぁー太宰治なんだもの、感情の波もデカいよな。私が太宰治作品で一番衝撃を受けたのは「駈込み訴え」で、これを読んだ時、文章で頭を殴られるっていう初めての体験をした。こんな文章、逆立ちしても絶対に自分には書けない、やっぱり太宰って凄えよと思ったのが「駈込み訴え」。まさに愛憎をリアルタイムで行き来する情緒不安定な短編なんだけど、コレを書けるような人間なんだから、そりゃ、平穏な心の内な訳がないよな。
三人の女性も三者三様で、誰派かで別れそうで面白い。浮かれポンチな静子にはちょっと笑っちゃったし、美知子はもう本当哀れだし、富栄は全体的に気持ち悪くて流石だし。三者三様のラストシーンが印象的。一番愛していましたと言われた美知子、欲しいもの全て手にした静子、一緒に死んだ富栄。最後に笑ったのは誰だ!??
蜷川実花が好きな人、太宰治のことが気になる人は是非劇場へ。



「おっさんずラブ劇場版」

おっさんずラブのドラマは私史上唯一の「見てて涙が飛び出たドラマ」。映画も期待に胸をはち切れんばかりにして劇場へ行きました。
まあストーリーは「壮大な茶番」。みんなでワイワイやって〜爆発とかあったら面白いんじゃね!?みたいなカンジ。細かいお笑いポイントなんかもあって頭空っぽにして楽しめます。
ラストが賛否両論みたいですね。結局牧がシンガポールに行って離れ離れじゃん!?指輪しているとはいえ一緒になれないじゃん!!??みたいな。
私は距離的には離れていても心が一緒(その象徴として揃いの指輪)ならもう一緒ってことじゃん!?と思うのであのラストで良かったと思ってます。
どっちかが自分のやりたいことよりも距離的に一緒にいることを優先させて、シンガポールについて行くとか、シンガポールに行かないで日本に残るとかだったら釈然としなかった。あの二人は、お互いをお互いの個人として、ニコイチじゃなくて二人のindividualとして、尊重して愛しているんでしょ!?だったらあのラストで納得。
これは自分の話になるけど、私はパートナーとは最初から遠距離だし、自分の両親もずっと海を越えて遠距離だし、でも絆というものは強く感じるし大切な人たちだから、親しい関係に距離は関係ないと思ってる。むしろシンガポールとか直行便あるしアジアだし近くじゃん!て感じ。だからあのラストは私としては疑問の余地なくハッピーエンド。お互いを個人として尊重し愛している結果だと思った。


愛 というものをテーマにした二本とも全く異なる映画でありました。来週は「惡の華」公開じゃん。これも絶対見なければな………

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