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世間様との「年度」のズレ

体当たりNPO運営記(21) 2017年3月記
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NPO森ノオトの事業年度は1月〜12月。世間様の事業年度4月〜3月とはずれがあるため、毎年1〜3月はNPOの決算と補助金の決算、両方との追いかけっこです。まあ、2つ同時なぶん、逆に集中してできるとも言えましょうか。

そんななか、いわゆる世間的な「平成29年度事業」も着々と決まり、特に行政協働が今年は増えてきます。本当にNPOとして根付いてきたんだなというのがわかりますね。
一つは、青葉区のこども家庭支援課と一緒におこなう、「私らしい子育てツアー」。地域をよく知る森ノオトのママライターが、青葉区で子育てを始めたばかりの新米ママ(パパ)、あるいは青葉区に引っ越して間もない転入ママ(パパ)に向けに、ベビーカーを押してのお散歩ツアーをおこなうというものです。

森ノオトでは、子育て世代の女性を主な読者ターゲットとして記事を編集しています。その理由は、運営しているわたしたち自身と同じ世代であることはもちろんですが、実は人生のなかで環境や食の安心・安全に向き合う大きなきっかけが、妊娠・出産・育児にあるのではないかという仮説を立てているからです。こどもに食べさせるごはんは安心なものでありたい、こどもを異常気象や災害から守りたい、そうした自分以外の「守るべき存在」が生まれた時に、環境が、社会が持続可能であるかどうかに関心が向くのではないだろうか。ライフスタイルが一変するこの機会に、エコという価値観を伝えていきたいと考えているからです。

それには、子育て世代の方々に、森ノオトを知ってもらい、記事を読んでもらうことが最初の入り口になります。これまで7年間活動を続けてきて、青葉区で森ノオトを知る人は増えてはきているけれど、一方で「公園で出会ったママ友に森ノオトのことを話しても、知らない人が多い」というリポーターの声もあります。じゃあ、さらに認知度を高めるためにはどうしたらいいだろう? 

・チラシをつくってまく?(→すでにしている)
・これ以上SNSをがんばる?(→でもSNSを使っていない人はいるよね)
・イベント増やす?(→ママ向けお茶会は集客が難しい、価格設定を相当下げると人件費が出ない、フリマは一定数の認知を得て人が入りきらないくらいに)
・森ノオトをいろんなメディアで紹介してもらう?(→結構メディア露出はしています)

「みんなで話そう!横浜での子育て ワイワイ会議」のように、子育て世代の声を集めて行政と一緒に考えるフォーラムも開催してきました。子育て世代向けの地道なイベントも発信も広報も、多方面からおこなってきて、ある程度飽和してきています。

そこで考えたのが、子育て中の人が確実に集まるのはどこだろう、ということ。それは区役所です。青葉区に引っ越してきた人は必ず区役所で、青葉区の地図や防災情報などが一式入った封筒をもらうし、小さなお子さんがいる保護者は乳幼児健診に一定期間で訪れます。もちろん小児科もありますが、区内各地に分散していますし、一軒一軒との折衝はなかなか大変です。そのぶん、区役所ならば情報も施設も集約しているので、区の子育て担当と何か一緒にやることで、そこに足を運ぶ人たちに森ノオトのことを知ってもらえる可能性もあるだろう、と考えました。

ただ、「森ノオトのことを知ってもらいたい」が目的になってしまうと、行政は公平性を重視するので、話が通るはずはありません。行政ニーズと受益者ニーズ、森ノオトがもっているシーズ(スキルや得意分野)を掛け合わせて、社会課題を解決できる企画を考え抜くことで、道は拓けるだろうと。育児相談などでは子育てに関わる情報を伝えることはあっても、地域のことを伝える機会は少ないということに着目しました。地域にどんな施設やお店や公園があって、どこへ行けば子連れでも居心地がよいのか、など、森ノオトが普段の取材活動や、それこそママさんライターが日常生活で集めている情報をまとめて、新米&転入ママパパにお伝えすることで、地域デビューの子育て世代が地域に愛着をもって子育てできて、結果的に森ノオトのことも知ってもらえるようになるのではないか、と。

NPO会員のお力添えもあり実現したこの企画、さっそく春からの本格始動に向けてこども家庭支援課の方々と準備を進めています。青葉区役所地域振興課とのタイアップイベント「3R夢なクッキング講座」も継続となり、今年度の最終追い込みで区政推進課と一緒に青葉区の地産地消小冊子づくりもおこなっています。

行政の仕事の一部を「協働」という形で、市民の目線を入れながら展開していく。NPOらしい働きがようやくできるようになってきたのかな、と感じています。

(神奈川県のボランタリー活動補助金については、次号でお話しします!)

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