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在日中国朝鮮族運動会 in 朝鮮高校

そのタイトルを聞くだけでなんとも胸が熱くなるイベントが8月3日開催されたことをほとんどの人は知らない。

”在日中国朝鮮族運動会 in 東京朝鮮中高級学校”

板橋区十条にある東京朝鮮中高級学校で開催された中国朝鮮族の運動会では、猛暑の中、サッカー、バレー、陸上競技、綱引きに子どもたちの競技まで開催された。さらに運動会後には文化公演まであるという充実ぶり。

会場には飲食店の出店もあり、もちろんそこにはありきたりのメニューはない。とうもろこし冷麺、羊肉串焼き、ヨンチェキムチにマッコルリ、トラジまで。

2015年から開催されているこの運動会は、在日中国朝鮮族の現在地を知り、そのパワーに圧倒されるムネアツなイベントなのだ。

ちなみに当日は朝鮮学校のイベントに、運動会後のグラウンドではラグビーの試合?まで開催されていて、もはやコリアンフェスタと言っても過言ではない熱気に包まれていた。

そんなアツいイベントが在日コリアンの民族学校で開催されるということは、実は在日中国朝鮮族の未来を予感させることでもあるのだ。

政治的なことは語らないが、日本における朝鮮学校とは在日コリアンの民族教育の歴史を知る上で重要なポイントだ。
在日コリアンはその歴史の中で、教育、金融、経済、文化などの分野で自分たちのコミュニティを形成してきた。

日本に10万人いるとされる在日中国朝鮮族は、すでに日本の地で家族を築き、その世代は2世、3世へと移りつつある。
そんな在日中国朝鮮族にとっても、自分たちの民族教育をはじめとした新たなコミュニティを作り、自分たちのアイデンティティを受け継いでいくというということは重要な課題となっているのだ。

しかしここで混同してはいけないのは、在日コリアンと在日中国朝鮮族の持つ民族や国籍に対する意識、アイデンティティは違うということだ。

在日コリアンは日本の地で韓国・朝鮮人としてのアイデンティティを受け継ぐために民族教育をおこなってきた。よって特に朝鮮学校出身の在日コリアンは日本で生まれ育っていても自分は韓国・朝鮮人だというアイデンティティを持っている。

しかし、中国朝鮮族のアイデンティティはその移動の歴史から朝鮮半島と勘違いされるが、彼らの多くは自分を中国人だと認識している。
※この認識は朝鮮族の世代によってもだいぶ違うようだ。

多くの中国朝鮮族の若者は、知識としてルーツが朝鮮半島にあると知っているが、中国で生まれ育った自分は当然中国人だと考えている。

この点が、特に民族教育を受けた在日コリアンとの決定的な違いなのだ。

多くが日本に定住していくであろうこれからの在日中国朝鮮族にとっての未来を思い描くと、朝鮮学校の歴史とあいまって、それはそれはムネアツな運動会だっというわけなのだ。
※より良い環境を求めてさらに移動するのが朝鮮族の強みなので定住しない可能性もあるのか?!

延吉の再開発も進みそうで、これからの中国朝鮮族がどのような未来を描いていくのかますます目が離せない。

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