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「양꼬치엔 칭다오(羊の串焼きには青島ビール)」の聖地から見る中国朝鮮族

中国朝鮮族が韓国社会においてどのような存在であるかは、ソウルの飲食店データからチャイナタウン=大林中央市場を見ることでその一面を知ることができる。

「ソウルの開かれたデータ広場」のデータによると、ソウルにおよそ15万店(2019年1月現在)ある飲食店のうち、外国籍の居住しているオーナーの飲食店は1,800店舗あるらしい。

内訳は中国が68%、アメリカ・カナダが13%、台湾が4%で日本は4%。
この中国籍68%の中に朝鮮族が含まれている。

ソウルで飲食店が密集している地域は、だいたい以下のとおり。
チョンノ(鐘路)ーミョンドン(明洞)エリア、ハプチョン(合井)-ホンデ(弘大)-シンチョン(新村)エリア、カンナムデロ(江南大路)-テヘラン路エリア。

そのうち、外国人オーナーの飲食店がある地域はコンデ(建大)に少しあるが、ほぼテリム(大林)駅周辺に密集している。

テリム周辺の飲食店では特に羊の串焼き、青島ビール、延辺冷麺などが人気だがこれは中国東北地方でもよく食べられているものたちだ。

最近は麻辣鍋ブームもきているようで、チャイナタウンの麻辣鍋のお店は大盛況。他にも훠궈、깐궈、관탕바오、찹쌀순대、꽈배기などあるのでどんな料理か気になった方はコピペでgoogle検索を。
スンデに関しては春雨の代わりにもち米を使っているのでこれはぜひ食べてほしい。

そんな外国人オーナーの多いテリム駅周辺はヤンコチ(羊肉串)の聖地とされていて飲食店が密集しているが、実はフランチャイズの飲食店が少ない。

流動人口も多く人が少ないわけではないのにフランチャイズが少ないのには理由がある。人はよくわからない地域には飲食店を出したがらないのだ。

ここからも韓国人にとってテリム駅周辺が飲食店を出店するのに一般的でなく、この街にどのようなイメージを持っているのかが垣間見える。

マイノリティ中の一部の人間の悪い行いによってその集団全体が一括りに悪と定義されてしまうように、韓国社会でも中国朝鮮族に対して暗いイメージを持たれている。

たとえばトッケビにも出演したキム・コウン出演の映画「차이나타운(邦題:コインロッカーの女)」やマ・ドンソク出演のドラマ「나쁜 녀석들(悪いやつら)」などで登場する朝鮮族は常に裏社会の人間で、詐欺や残忍な犯罪を犯し、とにかく悪いやつらとして登場する。

2017年8月に公開された映画「청년경찰(青年警察)」にいたっては在韓朝鮮族のグループが制作会社に損害賠償請求の訴訟をおこすほどの問題となった。※2018年11月原告敗訴判決

しかし実際に仕事や勉強のために韓国に住んでいる中国朝鮮族の人たちといえば、陽気で家族愛に溢れ情に厚く、朝から白酒を飲んじゃうくらいお酒が好きだけどインテリで、地元延吉には延辺大学という自分たちの大学まで建てちゃう三国志で例えるなら曹操なみに魅力あふれる人たちなのだ。

それどころか中国朝鮮族は韓国社会の多様性にも貢献している。
大林中央市場のある大林2洞の大洞初等学校では2018年度新入生70名中54名が多文化家族の子弟として入学し、多文化共生の進む韓国にとってもその理解と共感を促す大切な役割を果たしているのだ。

さて、どう締めたらいいのかわからなくなったので、以下あとがきでおしまい。

私が中国朝鮮族について発信しようとした目的は、日本での中国朝鮮族の認知度向上の他に、韓国社会においての中国朝鮮族に対するイメージを変えたいという目的がある。

ソウル特別市永登浦區大林洞にある自称大林中央市場広報大使として、朝鮮族に対する勉強と並行して発信も続けていきたい。




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