始まりは絶望

特別な一年だった。

毎日、生きていることを確認しながら歩いているようだった。
少しでも感情の波が振れたら、全部ダメになってしまいそうで怖かった。

毎年誕生日には次の歳を無事迎えられることを目標としているけれど、今年は危なかった。
その日を終えること。
その週を終えること。
その月を終えること。
日々その繰り返しだけど、全然簡単なことなんかじゃなくて。
終わりが本当に終わりだったらいいけれど、その瞬間にもう始まりがきてしまうから。
終わりは希望だけど、始まりは絶望だから。

診察室でぼーっと眺めた先生の美しい手のほくろを、
全ての荷物が運び出されてがらんどうになった部屋を、
高速道路を走りながら見た、透き通るような景色を、
生きてさえいれば、ただちゃんと食べてちゃんと寝さえすれば、大抵の事は大丈夫だと気づいた日のことを、
きっといつまでも忘れない。

やっと26歳が終わって、ひとつの希望を見ました。
次は28歳目指して生きます。

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