動画1サムネ

なぜ日本の女性の社会進出は進まないのか?

みなさん、こんにちは。Teizouと申します。
今回は、表題の件についてお話させていただければと思います。

同じ内容のものをYouTubeにもアップしていますので、長文が苦手な方は、ぜひ動画でご覧ください。
動画リンク
https://youtu.be/cexF7AmBIIE

note:4877文字+図表×9、Youtube:約30分
かなり長いので、だらだら見たい方はYouTubeがおすすめです。

⓪ 結論

まず、初めに私が考えた結論を述べたいと思います。

日本の女性の社会進出が進まないのは・・・
日本の労働環境が悪い!
です。
なぜこのような結論にいたったのか、順を追って説明したいと思います。

① Global Gender Gap Report から見る現状

みなさんは、世界経済フォーラム(WEF)にておそらく毎年発表されるGlobal Gender Gap Report2018 をご存知でしょうか?

このレポートでは、
「経済活動の参加と機会(Economic Participation and Opportunity)」、
「教育(Educational Attainment)」、
「保健(Health and Survival)」、
「政治参加(Political Empowerment)」
の4分野14項目において男女比などのデータを用いて男女間格差を指数化して評価し、国ごとの男女平等性についてランク付けをしています。

指数の計測にあたり、14項目の集計には、項目ごとの偏りを考慮し、重み付けしてあるようですが、そこまでその重みづけについては。今回は分析していません。全てのスコアにおいて、値が1に近づくほど男女平等に、値が0に近づくほど男女格差が大きくなる、と判断されるようです。

このレポートをみると、149の調査対象国のうち、全体110位という結果になっています。
端的に言って、低いと判断されてるようですね。では、なぜそのように判断されるのか?

教育分野ど健康分野は、上位陣と比較しても比較的高順位なので、どうも経済分野と政治分野が弱いと判断されているようです。
⇒今回は、経済分野に論点を絞って調べてみます。

② 統計調査から見る経済的男女格差

日本の男女間の経済格差を考えた際に、まず真っ先に思い浮かぶのが賃金格差だと私は思うので、そこについて考えてみます。

まず、賃金格差だと聞くと、正社員と非正社員の、男女のそれぞれの割合の差から生ずる賃金格差だと主張する人がいるかもしれませんが、それは誤りです。

これは、厚生労働省の賃金構造基本統計調査からも明らかです。Global gender gap reportから一年前のデータになりますが、グラフをご覧ください。男女別・雇用形態別・年齢ごとの賃金です。この賃金というのは、6月分として支給された現金給与額であり、残業代や深夜手当は含まれておりません。

上記のグラフをご覧いただくと分かりますが、
男性:20代から50代にかけて賃金が2.05倍増えそう!
女性:20代から50代にかけて賃金が1.46倍増えそう!

つまり、非正規労働者数の割合は関係なく、正社員で比較しても、その差は歴然なんです。

また、この男女間の賃金格差は、大企業の方が格差が大きかったりします。

③ 男女間の経済的格差はどこから来るか?

引き続き、厚生労働省の賃金構造統計調査を見ていきましょう。
まず、この表をご覧ください。

役職者における男女の年齢差ってほとんど無いんですよね。

一方で平均勤続年数は、
正社員・正職員の平均勤続年数 男性14.0年 ⇔ 女性10.2年
(厚生労働省「賃金構造基本統計調査(平成29年)」第2表より)
と4年弱差があるんです。

つまり、Teizouの推測は、こうです。

「日系企業で働く上で役職者になるためには、男女問わずほとんど同じ年齢、もしくは勤続年数が求められるが、女性の方が何らかの理由により勤続年数が短い。その結果、女性は役職に就きづらく、賃金格差が発生する。」

では、なぜ女性の方が勤続年数が短くなってしまうのでしょうか?
次から私なりに考えてみました。


④【推測】女性の勤続年数が短い要因-1

Teizouの推測:やっぱり日本は労働時間が長くて育児との両立が難しい!

労働時間の長さを私なりに概算で分析してみました。

1日8h換算で
フランスより59日相当
スウェーデンより29日相当
日本人は多く働いている計算になります。
(これ日本人の残業時間は、月あたり30時間想定ですからね。。)

ちなみにですが、Global gender gap reportの経済の分野19位と非常に高かったアメリカですが、アメリカに関しては、残業時間に関する客観的な数値データがぱっと見つからなかったです。よくあるOECDのデータは、パートタイマーも含んでしまっているので、一概に日本と比較ができないと思っています。
加えて、アメリカはホワイトカラーの労働者は、年俸制で残業代がつかないという方が多いようでそのせいか分かりませんが、残業時間をきちっと測ったデータが少ないのかもしれないですね。
ただ、直近のデータを見ていないんですけど、平均勤続年数は男女ともにアメリカは日本の半分以下の期間しか無かったと記憶しているので、日本よりも人材の流動性が高いことが、女性が社会復帰しやすい環境につながっているのかもしれません。(根拠のない推測)

何が言いたかったのかと話を戻しますと、日本は欧州等と比較して労働時間は長そうだが、単純に労働時間の長さだけでは、女性の経済的な面での社会進出度には直結しないのかもしれない、ということです。

ただ、労働時間の長さが実際どういった場面で悪影響が出ているのか、参考になりそうなデータがあったので、次のスライドをご覧ください。

独立行政法人 労働政策研究・研修機構が調査した「若年者の離職状況と離職後のキャリア形成」というものです。この調査は、この調査は2016年の2月~3月にかけて行われ、2007年3月~2017年3月までの間で学業を卒業、もしくは中退し、かつ調査当時は、21歳~33歳であった人が対象です。加えて、正社員として勤務したことが1回以上ある人を対象に絞っています。

上記のグラフは、すべての回答者に対して、「初めての正社員勤務先」で正社員として働き始めてから、離職者は離職するまで、勤続者は調査時点までに、会社で経験した職場トラブルを複数回答で尋ねたものに対しての回答を集計した結果です。

この調査で女性の離職者の遭遇トラブルは、
1位「人手不足で一人でも休むと業務が立ちゆかなくなる時があった」
3位「希望した日に有給休暇が取れなかった」
です。

これを直接的に女性の勤続年数が短い要因に直接結び付けるのは早計だとは思いますが、育児していると結構つらい場面が多いのではないでしょうか?

どうしても子供の都合で休まないといけない日って結構出てくると思うんですよね。
・お子さんの急な体調不良
・地域によっては台風で暴風警報出たら学校に迎えにいかなきゃいけない
・祝日なのに仕事があって、でも保育園は休み
・平日の学校行事
育児と仕事を両立させようと思うと、仕事側と折り合いつける必要がある場面が多々出てくると思うのですが、それが難しいってなると、やっぱり育児を優先してしまうのではないでしょうか??

この結果が影響しているか分かりませんが、次の推測をご覧ください。


⑤【推測】女性の勤続年数が短い要因-2

Teizouの推測:要因1(長時間労働)により、結果的に女性に家事・育児を押しつけてしまっている!

見ていただくと分かるんですが、労働にかける時間と家事育児にかける時間を各国ごとに男女間の比率を見ると、日本は家事育児を女性がほとんど担ってしまっているんですね。
ただ、労働時間と家事育児の時間の合計を見ると、男女間で3分しか時間差がありません。
合計時間を見る限り、男女でどちらかが大きく負担を強いられているという結果ではないが、他の国と比較して、日本は女性に家事・育児を押しつけてしまっている比率になっています。
⇒現状のままの日本において、女性が男性と同じように働こうとすると、
 その分の家事・育児にかける時間の行き場がありません。。

さてここでもう一度、Teizouが出した結論に戻ってみましょう。


日本の女性の社会進出が進まないのは・・・
日本の労働環境が悪い!

いかがでしたでしょうか??
皆さんが感じたことをTwitterなどで教えていただければ幸いです。

YouTubeでは、国・企業・夫婦それぞれに対して女性活躍のためのアイデア(超個人的意見)を話しております。
そちらもご覧いただければ幸いです。

動画リンク
https://youtu.be/cexF7AmBIIE
14:30~

それではまたお会いしましょう。Teizouでした。


-参考文献-

World Economic Forum 「The Global Gender Gap Report 2018 」
https://jp.weforum.org/reports/the-global-gender-gap-report-2018

厚生労働省「平成29年賃金構造基本統計調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2017/index.html

エクスペディア「有給休暇国際比較調査2018」https://welove.expedia.co.jp/infographics/holiday-deprivation2018/

VORKERS「約6万8000件の社員クチコミから分析した’残業時間’に関するレポート」
https://www.vorkers.com/hatarakigai/vol_4

独立行政法人 労働政策研究・研修機構
「若年者の離職状況と離職後のキャリア形成(若年者の能力開発と職場への定着に関する調査)」
https://www.jil.go.jp/institute/research/2017/164.html

OECD「Time use across the world」
https://stats.oecd.org/Index.aspx?datasetcode=TIME_USE

ニューズウィーク日本版 日本は世界一「夫が家事をしない」国 (2016/3/1 舞田俊彦)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/03/post-4607_2.php

東洋経済オンライン 「家事をきちんと」日本を悩ませる呪縛
なぜ夫が全然手伝わない社会になったか(2017/12/21 佐光紀子)
https://toyokeizai.net/articles/-/201299


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Teizou-ch.は、日本の平凡なサラリーマンが様々な社会問題について考察しております。客観的なデータ・文献を極力明示した上で現状を把握し、私なりの推測ともに動画に。参考になるデータ・文献があれば、教えてください。https://twitter.com/Teizou_ch