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「手刻みによる家づくり」考

私たち羽根建築工房は「大工による加工(手刻み)」にこだわっています。その理由を以下に述べます。

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1“大工魂”がさらにこもる家づくりになると思うから

家づくりにおいて「棟上」という工程は、竣工と並んで最大のイベントであり、とくに大工にとってはもっとも“意気”を感じる作業です。その棟上に使う構造材が、自分の手で刻んだものであることで、大工の意気は大いに上がります。私たちは、大工の意気と腕を最大限に発揮してもらう家づくり「良い家」をつくる最大の条件だと考えているので、よほどの理由がない限り構造材は大工自身の手で刻んでもらうことを大事にしています。

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2.木を見せる家づくりにこだわっているから


私たちがつくるのは、日本の木の優しさ、美しさ、香り、そして迫力を存分に感じられるような家です。木を見せることを「現し」などと呼ぶのでが、そうした「現しの家づくり」を繊細に、緻密に、かつ豪快に行うために、大工は目の前にある木材をじっくりと見て、それをどこに、どのように使えば「最良の木づかい」になるかを見極めます。完成したときの映像を頭に思い浮かべながら、木を選び、木を刻んでいくのです。だから、大工の「構造材をじっくりと見る時間」を大切にしています。

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3.設計に制限を与えないことにつながるから


「美しい木組みや空間」といった感覚的な話に限らず、「どうやって組むとさらに強い構造になるか」ということも考慮しながら木組みをつくります。つまり、手刻みによる施工の可能性は、設計の自由度を担保することにもなります。これは、設計する立場にある人が「性能のことも含めた、理想的な木組みや空間」を追求できることにもつながります。

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4.日本の優れた大工技術を絶やしたくないから


最近まで、「棟梁」と呼ばれる人はレベルの高い手刻みができることが当たり前でした。それは日本の家づくりにおいてはごく日常的なことであったからであり、その技術は進化しながら受け継がれてきたことによって美しい日本の木の家はつくられてきました。
現状では、きちんとした手刻みができる大工は高齢化がすすみ、若い大工にはその修行をする機会がなく、日本の高い大工技術は消えつつあります。日本人のDNAには「日本の木」の様々な情報が刻み込まれていると感じています。そしてそれには「木の家での暮らし」が果たした役割は極めて大きいと思います。大工技術が変化し、日本の木の家が失われてしまえば、日本人の精神文化に大きな影響を与えてしまうと私たちは感じています。せめて、まだ間に合ううちに、手刻みの技術を残すべきだと考えているのです。

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5.木の家のリフォームに不可欠な技術だから


すでに住宅は「ストックの時代」に入っています。質の高い新築住宅を少しずつ建てながら、膨大にある既存住宅について、質を向上させるリフォームを進めていく時代が今ここに多く存在します。実は、新築よりリフォームのほうが圧倒的に高い技術が必要です。現在の既存住宅の多くは木造ですから、建物の(木組)骨組みの適切さをしっかりと読み取ることが求められます。耐震性を向上させるような本質を改善するリフォームにおいては特に「手刻みによる応用力」が必要になってきます。今後の日本の住宅を考えていく上で、木を熟知している大工の手刻みの手技は、とても重要な技術だと感じています。

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6.日本の森を残していきたいから


ずっと長い間、日本では「森や木」に尊厳を持ち感謝し、その恩恵を有難く頂戴するという文化が育まれてきました。その循環や関係性の中に大工があり、木の家がありました。これらがすべてつながることで、日本人は森や木とうまく付き合ってきたのです。現在はこのつながりが様々な形で途切れてしまっているように感じます。日本の森や木を残し、うまく付き合っていくためには様々な知恵を絞らないといけないと思います。そしてその中に「手刻みの大工技術を継承し、美しい日本の木の家をつくる」ということが不可欠だと思います。私たちだけでは微々たる動きですが、同じ問題意識を持った工務店や建築家が少しずつ、つながりはじめ、大きな動きになってきました。私たちはこの活動をこれからも続けていきたいと考えています。

http://www.hanebou.com/ 有限会社 羽根建築工房 

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