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TGS2019雑感:「eスポ賞金問題」におけるJeSUの誤算、空中戦を制した「アクション対魔忍」とか【今月のトークテーマ】

今の媒体(Nとしておく)に移ってからは「ゲームメディアの人」ではなくなってしまったんだけど、なんだかんだで東京ゲームショウ(TGS)には毎年欠かさず行っています。大学を卒業してメディアクリエイトに入って、その年の秋に取材したのが初TGSだったから、たぶん2001年かな~。思えばもう20年近くになるんだなあ。

もっともここ2~3年は、パブリックデーに知人のインディーブースを回ったり、Twitterで話題になったブースを覗いてあわよくば記事にしたりするくらいで、取材半分・プライベート半分みたいな感じです。TGSはどうしてもゲーム専門メディア向けの情報が多くて、うちみたいな遊撃隊ポジションだとなかなか扱いづらいんですよね……。

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びっくりするほど小さかった「対魔忍」ブース

――で、そのくらいの距離感から、今回のTGSで話題になったできごとを振り返ってみると、だいたいこんな感じだった気がします(★が特に印象に残った話題)。

★アクション対魔忍
★eスポーツ賞金問題
・サイバーパンク2077
・デス・ストランディング
・セガのあれこれ(龍が如くとかサクラ大戦とかバーチャロンとか)
・桃鉄キャラデザ変更

実際現地で見た人は分かると思うんですけど、「アクション対魔忍」ブース、めっちゃ小さかったよね。公式の会場マップを見ても、「サイバーパンク2077」の20分の1もないくらい。それであれだけ話題をさらったんだから、今年の空中戦は完全に「アクション対魔忍」が制したと言っていいんじゃないでしょうか。僕も最初素通りしそうになって、「あ、これがウワサの!」って二度見したほど。

ちなみに下は公式の会場マップからの引用なんだけど、ピンクで囲ったところが「対魔忍」ブース。マジで小さい。

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パブリックデーのダンス・撮影会イベント中止もますます話題に火を付けた形になっていて、今年の「怒られ枠」としては立派に役目を果たしていたと思います(TGSって毎回どこかしら「怒られ枠」があるよね)。ブースの人に聞いたら、実際ビジネスデーの時点で人だかりがものすごくて、向かいのブースから怒られるなどのトラブルはあったみたい。

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JeSUの誤算が招いた「eスポーツ賞金問題」

あと開催期間中はそんなでもなかったけど、後になってじわじわ火がついたのが「スト5」「パズドラ」の大会で起こった「eスポーツ賞金問題」。これについてはライターの岡安学さんに解説してもらった記事をねとらぼで出したので、詳しくはそっちを読んでください。

https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1909/19/news114.html

僕もeスポーツまわりについては、それこそ「日本eスポーツ協会設立準備委員会」とかあのへんが立ち上がったころ(確か2007年くらいだったと思う)からゆるっと追いかけ続けてはいたんだけど、JeSUについては正直「もっとどうにかならなかったのかな~」という思いが強いです。

ただ、JeSUやプロライセンス制度そのものを全否定したりするつもりはなくて、少なくとも、誰がいつ景表法という名の地雷を踏んでもおかしくなかった荒れ野に、「プロライセンス制度」という線路を敷いて、まがりなりにも堂々と高額賞金を払えるようにした功績はもうちょっと評価していいんじゃないかと思っています。JeSUがこの問題に踏み込まなかったら、日本のeスポーツシーンはもうしばらく「賞金10万円」のまま停滞していただろうし、プロライセンス制も過渡期の試みとしては一定の価値があったんじゃないか、というのが自分のスタンス(ただ、それが本当に最適解だったのか、もっと早い段階からもう少しちゃんと検討できなかったのか、という点については大いに疑問がある)。

今回JeSUにとって誤算だったのは、よりによってノーアクションレター制度を使って「プロライセンスがなくても大会が興行として成立していれば賞金出してOK」という消費者庁のお墨付きを引き出した(これももっと褒めていいと思うんですよね)その直後に、「スト5」「パズドラ」という2つの大きな大会で、賞金を支払えないケースがほぼ同時に出てきてしまったことでしょう。しかも合計なんと990万円。さらに付け加えるなら、その「支払えないこと」が、まさかこれほど「第三者」の反感を買うことになるとは想像していなかったんじゃないか。

そもそもプロライセンス制というものを設けた時点で、JeSUも全てのプレイヤーがこれに賛同してくれるとは思っていなかっただろうし、当然そうなれば将来的に「賞金を支払えないケース」も出てくると想定はしていたはず。……なんだけど、たとえ本人(この場合はももち選手、ゆわ選手)が賞金を受け取れないことに納得していたとしても、そのことについて「第三者」がこれほど怒るというのは、JeSUにとっても予想外だったと思うんですよね。そういう意味では「最悪のタイミングで、ももち選手・ゆわ選手が優勝してしまった」ことと、それについて「第三者がビックリするくらい怒った」という2つの誤算が、今回の炎上の根底にあったのではと感じます。

さっきも書いた通り、僕はJeSUのこれまでの動きにそこまで大きな落ち度や悪意があったとは思っていませんが、実際こうして賞金問題を巡ってマイナス方向で話題になってしまったのは疑いようのない事実で、その責任の一端はやはり、JeSUや主催メーカー側にあると思っています。図らずも、さっき自分で「優勝してしまった」という表現を使っちゃったんだけど、本来、すばらしい技術で観客を魅了し、全国数十万、数百万のプレイヤーの頂点に立った選手に対して「優勝してしまった」なんて言葉が出てきちゃダメでしょ。今のままの制度であれば、遠からずまた同じような「賞金支払えないケース」が出てきてまた炎上するのは目に見えているし、それはJeSUも、メーカーも、プレイヤーも、観客も、誰一人として望んではいないはず。

・・・・・

……しまった、対魔忍とJeSUについては冒頭軽く触れるだけにするつもりが、書き始めたらなんか長くなってしまった。

以下、僕が見てきたTGSの様子を駆け足でお送りします。大した内容ではないけど、ここからはマガジン購読者向けに有料にしておきます。

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