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ポケモンの御三家、「ほのお」「みず」ともう一つが「くさ」だったことに当時ちょっと関心したという話【ポケモンが教えてくれたこと】

ゲームライターマガジン、11月のトークテーマは【ポケモンが教えてくれたこと】。ポケモンにはいろんな人生の教訓が詰まっていますが、中でも大事なことといえば……そう、「くさはみずに強い」ということです。

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いや、ちょっと冷静に考えてみてほしいんですけど、例えば「赤青緑の三すくみ」があるゲームで、「青と緑」の関係って、みんなどれくらい納得してますか。

赤と青はシンプルに「火と水」だからわかりやすい。でも青と緑は……どうだろう。確かに木は水を吸って育つけど、それで「木は水に強い」はさすがにちょっと言いすぎでは……? あと「火」「水」ときてもう一つが「木」でいいのか、という問題もあるけどそこはとりあえず置いておく。

でも、今や実際に「木が水に強い」というのは、わりとゲーマー間では共通の概念として浸透しつつあるわけです。そして少なくとも自分の場合、「木が水に強い」をまあまあすんなり受け入れられているのって、20年以上も前に覚えた「くさはみずに強い」のおかげなんですよ!!!


上はTwitterで見かけて「そうそう!」ってなったツイートなんですけど、平成生まれじゃないけど)、これ確かに「昔のゲームあるある」の一つだと思う。

僕はポケモンで「くさはみずに強い」を見た時にちょっと感心した記憶があって、それはなぜかというと、それまでわりと混沌としていた、ゲームにおける「属性問題」がこの1つで一気に整理されたからなんですよ。

例えば当時、僕が一番モヤっていたのが「ファイナルファンタジー」シリーズでした。FFシリーズの基本魔法といえば「ファイア・ブリザド・サンダー」なんだけど、火と氷は相克関係にあるのに、サンダーだけ仲間はずれなのが子供心にどうもスッキリしなかった(子どもはそういうのが気になるんです)。

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https://www.nicovideo.jp/watch/sm30075298


あと氷とは別に「水属性」もあるのがややこしいとか、他にも作品によって、風、土、毒、重力などのイレギュラー属性が出てきたりして、強弱関係がバラバラだったりとか……要するにFFシリーズの「属性」って、単に「モンスターごとに特定の弱点が設定されている」というだけで、「属性間の力関係」という考え方はあんまりなかったんですよね。アンデッドは火に弱い、機械系は雷がよく効く、カメ系モンスターにはブリザド、とか。

ただFFシリーズの場合、「弱点設定にちゃんと理由があった」というのはすごく良かった。当時もっとハッキリした三すくみを取り入れていたゲームもあったけど、こっちはこっちで「ゴブリン・ハーピー・エルフ」とか、「剣・槍・斧」とか(これは厳密にはポケモンの後)、いまいちジャンケン関係に納得いかないものが多かった。「槍が剣に強い」はまあ分かるとしても、「斧が槍に強い」とか「ゴブリンはエルフに強い」とかになるとだいぶご都合主義感が漂ってくる。その点FFは、アンデッドは死体だからよく燃える、機械は金属だから電気をよく通す、カメは変温動物だから寒さに弱い――と、それぞれの弱点にちゃんと納得感があった。

……とまあ、ことほど左様に、当時の家庭用ゲームでは(少なくとも僕が触ってきた範囲内では)属性の概念って、まったくといっていいほど整理されていなかったと思うんですよね。属性間の相性はもちろん、基本となる属性すらバラバラで、ゲームによって火・氷・雷だったり、火・土・水・風だったり……火と水はまあ一軍確定として、残りを何にするかとか、そもそも「緑ポジション」は木なのか風なのか、とか。

そろそろ僕が言いたいことが分かってきたでしょうか。僕がなぜ当時ポケモンに感心したかというと、ここに「くさはみずに強い」というルールを1個ぶち込むだけで、それまで混沌としていた「属性関係」が、ものすごくキレイに整理されるんですよ。

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ほのおはくさに強いがみずに弱く、

くさはみずに強いがほのおに弱く、

みずはほのおに強いがくさに弱い。

「ほのお・みず・くさ(火・水・木)」という三すくみがこれで見事に完成するし、配色も赤・青・緑と「光の三原色」でバランスがいい。今でこそ当たり前に思えるけど、当時のあの混沌ぶりのなかで、「ほのお」「みず」ともう1つの主属性を、言ってみればややマイナーな「くさ」にするというのは、なかなか打てない一手だったと思うわけです。宮本茂さんの「アイデアというのは複数の問題を一気に解決するものである」という言葉をちょっと思い出したり。

一応、ポケモン以前に火水木の三すくみを取り入れてたゲームがなかったか、Twitterでも聞いたり自分でもいろいろ調べてみたりしたんですが、「これ以前にはなかった」と断言できるには至らなかったので、ここは「少なくとも当時の自分はそれくらい感動してた」くらいで読んでおいてください(ただ、調べたかぎりでは「火水木の三すくみ」があるゲームは出てこなかった)。

もちろん冒頭で書いた通り、三属性の中で「くさだけちょっとショボい問題」とか、「くさはみずに強い」の理由付けがやや強引とか、まあこの三すくみにも多少のキズはあります。あと赤緑色覚異常にやさしくない。とはいえそれらを差し引いても、この「ほのお・みず・くさ」という三すくみがそれなりに受け入れられたことで、ゲームにおける「属性問題」がかなりスッキリしたという側面は間違いなくあると思うわけです。

ついでにもう一つ、「ほのお・みず・くさ」のルーツについて調べていて、マジック・ザ・ギャザリングの「赤青緑白黒」があった、というリプライをもらった時は「確かに!」と思った(僕もMtGやってたのに忘れていた)。あれは相克関係こそないものの、ポケモン以前で「赤青緑が主属性に入っていて、なおかつ緑が木」というのはかなり「ぽい」ですね(※)。木が火や水と対等に扱われているというのも大きい。あと五行思想(木火土金水)も間違いなくルーツの1つだと思うんだけど、あれはそのままだと相克・相生関係がややこしすぎるので(火は金を溶かす、金は水を助ける、とか)、やっぱり「木火土金水」→「火水木」に整理した功績は大きいんじゃないかな、と個人的には思っています。

※追記:すみません、MtGにも「友好色」「対抗色」の概念があったと教えてもらいました(これは忘れていたというより、完全にただの不勉強でした)。


「ソード・シールド」発売楽しみですね。初期ポケモンはメッソンにするつもりです。


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