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ゲームライターに「基礎教養」は必要か

 カワチさんのゲームライターラジオに呼んでもらってから、「ゲームライターは『基礎教養的ゲーム』をどれくらい遊んでおくべきか」についてずっと考え続けていて、配信では「基本的には必要ないんじゃない?」みたいなことを言ってたんだけど、考えれば考えるほど「やっぱり必要なんじゃないか」と思うようになってきた。

 で、自分でもちょっと面白いテーマだなと思ったので、ここらで一度考えを整理しておこうと思ってこれを書いています。あくまで僕の個人的な意見であって、特に一般論でも、このマガジンの総意というわけでもないのであしからず。でもこれ、ゲームライター間でもけっこういろんな考えがあると思うんですよね。


そもそも「基礎教養的ゲーム」とは何ぞや

 本題に入る前に、まず「基礎教養的ゲームとは何ぞや」という部分について説明しておくと、ざっくり言えば「マリオとかドラクエとかゼビウスとか、そういう古典とか有名ゲームってみんな履修してる?」ってことですね。あと別に古いタイトルに限らず、MinecraftとかFGOあたりも今では「基礎教養的ゲーム」に数えていいんじゃないかと僕は思います。記事タイトルだと「基礎教養」にしちゃったけど、最初から「基礎教養的ゲーム」って書いた方がよかったかな……。

▲スーパーマリオブラザーズ(任天堂/1985)

 でも、じゃあゲームライターはみんなそういうゲームで遊んでいるのか、というと案外そうでもない。ゲームライターラジオの第2回では「FFシリーズを語る」がトークテーマだったんだけど(僕はこのときは未参加で見てただけ)、意外にみんな初期作品遊んでねえ! でも確かにFFってナンバリングごとに全然違うゲームだったりするし、必ずしも過去作品を押さえてないといけないってわけでもないんですよね。

 んで、そんな流れを受けて次回のトークテーマについてLINEでチャットしていたところ、ワニウエイブ(文章書く彦)さんがこんなことを言った。

「個人的に『基礎教養的なゲームとどう向き合ってるのか』って話は興味あります。たとえばドラクエやったことなくてゲームライターはじめたとして、『やっぱドラクエぐらいは』っつって後から全部やんのか? みたいな(中略)どこまで文脈を踏まえるべきなのか、時間が経てば経つほど踏まえるべき文脈が倍々ゲームで増えてくので難しい問題だなと思っています」

 これは確かにそうで、FFDQなんか過去作だけで10作品以上あるし、ダークソウル遊んでないのにSEKIROのレビュー書いていいのかとか(僕だ)、シリーズものでなくても、マリオとかゼビウスとかのいわゆる「古典」は押さえておいた方がいいのかとか、いろんな視点がある。

▲SEKIRO(フロム・ソフトウェア/2019)

▲ゼビウス(ナムコ/1982)

 あと若いライターだとインベーダーどころか、ヘタすりゃスーファミでさえ「生まれる前」だったりもするわけで、そういう場合どこまでさかのぼって遊ぶべきなのか、そしてみんな実際のところどうしてるのか。これはみんなで話したら面白いんじゃないか、ってことで「ゲームライターは基礎教養的ゲームとどう向き合っているか」が第3回のテーマになった。

 で、みんなの意見についてはアーカイブを聞いてもらうとして、ここでは「僕自身はどう考えているか」というのをまとめておこうと思います。長い前置きだった。

 あと最初に断っておくと、今回は「じゃあ具体的にどのタイトルを遊んでおくべきなのよ」というところまでは踏み込みません。例えば「ゲームライターが最低限押さえておくべき基礎教養タイトル100」みたいなリスト作ったらそれはそれで面白いと思うんだけど、それこそ相当気合い入れて作らないと、まず間違いなく「これが入ってない、やり直し」とかいう人出てきて燃えるだろうし、今回はあくまで「そもそも必要なのか」がメインテーマということで。誰かヒマな人いたら代わりに「最低限押さえておくべき100本」作ってくれないかな。僕が読みたいです。お金出します。

「基本的には必要ない」と考える理由

 さて。ではここからが僕の意見。

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