てれまこし

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自分の書く文章は役に立つ情報とか簡易なアドヴァイスは含まれていません。自分の文章が提供するのは問いです。私が出した答えなんてものは一蹴してくれて結構です。問いを持ち帰ってください。

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  • 恐れない女(「恐れる男」から見た)

    知っているがために生きることを恐れ死に憧れる男。知らないがゆえに(あるいは知っても仕方がないゆえに)死をも恐れず生きかつ生かせる女。なんだか女をバカにしたような話なんだが、人類の生命力を裏で支えてきたのはこの「恐れない女」たちであったかもしれない。そういう記事をまとめてみた。

  • 講座 教養としての国際政治経済学

    国際政治経済学という学問。名前が示唆するほど欲張りな学問ではありませんが、これを学ぶと巷で行なわれてる多くの論争の根底にある本質的な争点が見抜けるようになる。自分が生きている時代をグローバルな視野で眺められるようになる。そんな学問を、専門としては学ばない一般の人向けに講義したものです。

最近の記事

学生さんの「何を学ぶべき?」と「どう生きるべき?」

新入生の期待と幻滅ちょっと出遅れましたが、入学シーズンです。つらい受験勉強をくぐりぬけて、新しく学生生活に期待を膨らませている方々がたくさんいると思います。三十数年前の自分がまたそうでありました。高校までのクソみたいな労働ではなくて、自由に学問ができる。最高学府ではどんな面白い話が聞けるんだろう。たいして勉強熱心でもなかった自分でさえ、ちょっとワクワクしてました。 ところが、この期待が幻滅に変わるのに半年もかからなかった。確かにいろいろと教えてもらって学んだことはあるのです

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    • 「知性はぼくにもあるが、君にもある」に潜む差別意識(?)

      別の話を用意しておいたんですが、最近世上をにぎわせたある事件を眺めていて、いろいろと考えるところがありました。そこで、今回はそちら関係の話を先にしてみようと思います。 表題のとおり差別に関する話で、戦争の話と同様、誰か他人を公開処刑するのでもなければ、避けて通られがちな話題です。たぶんこの記事も閲覧数ががくっと減ると思われます。新しい商売を始めたばかりの自分にははなはだ都合が悪いんですが、そういうことを言っているから差別がなかなかなくならない。ここは私益を犠牲にして公共善の

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      • 女と社会

        芥川龍之介に雌蜘蛛の生を描いた短篇がある。庚申薔薇の陰に潜んで、何も知らずに蜜を吸いにくる蜂に背後から襲いかかり、その体液をチューチューと吸いとる。見るからに醜くいやらしい、悪の権化とも呼べそうな蜘蛛。 ところが、その蜘蛛は母でもあって、自らの体液をふり絞って巣をつくり、そこに卵を産み付け、子らが生まれるまで、弱った体で飲まず食わずでじっと番をしてる。そのうちに、蜘蛛の子がうじゃうじゃ生れてきて、弱った母のことなど振り向きもせずに、花々に散っていく。それを満足げに眺めながら

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        • 読書家たちの反読書主義

          なにかの専門家としては自分はもう終わった人間であるが、それゆえにか、読書家としては脂がのり切っているらしく、読めば読むほど得るものが多いし、だからいろいろ読むのが楽しい(他にやることがないからでもあるけどな)。 昔から平均よりは読んでいた方だろうけど、勉強や仕事のためにいやいや読まされてるようなところもあった。それが、いまではいくらでも読める。それなのに、もう眼が弱ってきて、思うように読めないのが憾みである。「みんな、読書は五十前にしとけよ」と言いたいところだけど、若いとき

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        学生さんの「何を学ぶべき?」と「どう生きるべき?」

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        • 恐れない女(「恐れる男」から見た)
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          11本
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          学生さんの「何を学ぶべき?」と「どう生きるべき?」

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          新入生の期待と幻滅ちょっと出遅れましたが、入学シーズンです。つらい受験勉強をくぐりぬけて、新しく学生生活に期待を膨らませている方々がたくさんいると思います。三十数年前の自分がまたそうでありました。高校までのクソみたいな労働ではなくて、自由に学問ができる。最高学府ではどんな面白い話が聞けるんだろう。たいして勉強熱心でもなかった自分でさえ、ちょっとワクワクしてました。 ところが、この期待が幻滅に変わるのに半年もかからなかった。確かにいろいろと教えてもらって学んだことはあるのです

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          学生さんの「何を学ぶべき?」と「どう生きるべき?」

          「知性はぼくにもあるが、君にもある」に潜む差別意識(?)

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          別の話を用意しておいたんですが、最近世上をにぎわせたある事件を眺めていて、いろいろと考えるところがありました。そこで、今回はそちら関係の話を先にしてみようと思います。 表題のとおり差別に関する話で、戦争の話と同様、誰か他人を公開処刑するのでもなければ、避けて通られがちな話題です。たぶんこの記事も閲覧数ががくっと減ると思われます。新しい商売を始めたばかりの自分にははなはだ都合が悪いんですが、そういうことを言っているから差別がなかなかなくならない。ここは私益を犠牲にして公共善の

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          芥川龍之介に雌蜘蛛の生を描いた短篇がある。庚申薔薇の陰に潜んで、何も知らずに蜜を吸いにくる蜂に背後から襲いかかり、その体液をチューチューと吸いとる。見るからに醜くいやらしい、悪の権化とも呼べそうな蜘蛛。 ところが、その蜘蛛は母でもあって、自らの体液をふり絞って巣をつくり、そこに卵を産み付け、子らが生まれるまで、弱った体で飲まず食わずでじっと番をしてる。そのうちに、蜘蛛の子がうじゃうじゃ生れてきて、弱った母のことなど振り向きもせずに、花々に散っていく。それを満足げに眺めながら

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          読書家たちの反読書主義

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          なにかの専門家としては自分はもう終わった人間であるが、それゆえにか、読書家としては脂がのり切っているらしく、読めば読むほど得るものが多いし、だからいろいろ読むのが楽しい(他にやることがないからでもあるけどな)。 昔から平均よりは読んでいた方だろうけど、勉強や仕事のためにいやいや読まされてるようなところもあった。それが、いまではいくらでも読める。それなのに、もう眼が弱ってきて、思うように読めないのが憾みである。「みんな、読書は五十前にしとけよ」と言いたいところだけど、若いとき

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          「人格」は人格者のものか、みんなのものか?

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          「人格」って何よ?最近(?)あまり聞かなくなった言葉に「人格者」というものがあります。人を褒めるにしても、なんだか古くさくて、使うのがためらわれます。だけども、いったいこの「人格者」というのはどういう人たちのことをいうのだろう? 自分はそういう疑問を抱いて、いろいろと注意して見ていたんですが、いまだにわかった気がしません。しかし、他に話したいことも思いつかないので、今回はこの話をしてみようかと思います。 なぜそんなつまらない疑問を抱いたかと言いますと、今でこそ「そんなこと

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          世界に裏切られ続けないためのその一

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          学問で幸せになれる?ひとは幸せを求めるものであります。幸いなことに、ひとを幸せにしてくれるものはたくさんあります。一杯のコーヒーや一本のタバコでさえ、幸福をもたらしてくれます。残念ながらしかし、こうしたものがもたらす幸せは束の間のものです。 おカネでさえそうです。足りないときは、「ぼくはカネさえあればほかになにも要りません、どうかおカネを授けたまえ」と祈りたくなるんですが、いざ満ち足りてみると、これほどつまらないものもない。カネのありがたみは他のいろいろなものと交換できるこ

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        記事

          「人格」は人格者のものか、みんなのものか?

          「人格」って何よ?最近(?)あまり聞かなくなった言葉に「人格者」というものがあります。人を褒めるにしても、なんだか古くさくて、使うのがためらわれます。だけども、いったいこの「人格者」というのはどういう人たちのことをいうのだろう? 自分はそういう疑問を抱いて、いろいろと注意して見ていたんですが、いまだにわかった気がしません。しかし、他に話したいことも思いつかないので、今回はこの話をしてみようかと思います。 なぜそんなつまらない疑問を抱いたかと言いますと、今でこそ「そんなこと

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          世界に裏切られ続けないためのその一

          学問で幸せになれる?ひとは幸せを求めるものであります。幸いなことに、ひとを幸せにしてくれるものはたくさんあります。一杯のコーヒーや一本のタバコでさえ、幸福をもたらしてくれます。残念ながらしかし、こうしたものがもたらす幸せは束の間のものです。 おカネでさえそうです。足りないときは、「ぼくはカネさえあればほかになにも要りません、どうかおカネを授けたまえ」と祈りたくなるんですが、いざ満ち足りてみると、これほどつまらないものもない。カネのありがたみは他のいろいろなものと交換できるこ

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          戦争と文化(外から取ってくるか、内にあるものを育むか)

          戦争は文化の母?人類の歴史は戦争・闘争の歴史でもありまして、ひとはとにかく互いに争い、奪い合い、殺し合い続けてきました。主体は異なれども、歴史と呼ばれるもののかなりの部分はまさに戦争・闘争の歴史でありまして、これがなくなってしまえば暗記させられるものがだいぶん減って嬉しいんですが、そのかわり人類の歴史がなんだか薄っぺらくもなってしまう。そういうありがたいのかなんだかわからないのが人間のあいだの争いであります。動物の闘争なんかとはちょっとちがいまして、「歴史」というものと深く

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          1950年代の女子大生

          年末年始に、娘と一緒に『この世界の片隅に』という映画を見た。戦争加害者としての自覚が欠けてるという批判もあるようだが、当時の一般人があの時代をどのように見たかを、外からではなく内側から理解するのに役立つ内容がたくさんあったから、非常に興味深く見られた。 それで思い出したのが、うちの母のことである。母は敗戦時には十歳だったので、映画の主人公すずさんよりもいくつか年下で、彼女の青春時代は戦後である。今はしわだらけのばあさんも、1950年代前半には花の女子大生であった。やはりすず

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          ピカチュウやロリコンが増殖する社会はどんな社会か

          昨年末の新聞の書評欄に『キツネを飼いならす』という翻訳本の書評が掲載されていて、興味深いことが書かれていました。自分も長いこと「家畜化」や「かわいい」の美学に関心をもっていたんですが、その二つはつながってなかった。それがつながるような話だったんです。本を買う金がないので図書館で借りられるようになるまでは読むことができないんですが、とりあえず短い書評を読んで考えたことを今回の話のネタにしようかと思います。 家畜化と「かわいい」さて、野生のキツネというのは元来人になれないものら

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          言論の正味の力

          ここ数年間、自分の生活はあまり変わり映えしないんですが、昨年ひとつ変わったことといえば、SNS 活動への自分の興味は低下の一途を辿っていて、よほどのことがないともう覗く気がなくなっていることです。以前からほとんど一方的に発信するだけの状態だったんですが、今では発信もすっかり億劫になってしまいました。 noteも始めた頃は毎日、その後はあんまり多すぎても読者がついてこれないかなと思って三日に一回くらいにしたんですが、ともかく毎日のように考えてた。昨年は年間33記事という勘定ら

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          暴力に「耐える」ための政治学

          耐える学問マックス・ヴェーバーというエライ学者さんがいます。仕事のしすぎで心を病み、仕事してないと生きてけないのに体が仕事を拒否するようになるという拷問のような苦しみを味わったんですが、まさにこの悩みを深くするような問いをとことん追求しつづけ、巨大な仕事を遺した鋼鉄の意志の持主です。精確な引用ではないんですが、どうしてそこまでして学問をやるかと問われたとき、「自分が(この世界を)どこまで耐えられるか知りたいから」と答えたと伝えられています。 ふつう学問というのは、飯を食う

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          耳を傷める話

          ネット政治のダイナミクス「一体、人民が集合して騒動が持上る際は、必ずといってよいほど次のような人間が何人か混る。その種の人間はすぐかっとする気質のせいか、狂気のせいか、それとも邪悪な底意(そこい)や、混乱のための混乱、破壊のための破壊を望む性のせいか、事態を出来るだけ悪化させることに全力を傾注する。火が消えかかるたびに必ず煽り立て、およそ容赦仮借ない提案を次々と行うばかりか、どしどしそれをけしかける。この連中にかかっては、いくらやってもやり過ぎるなどということは絶対ない。騒

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          あるプチ教養主義者の肉体体験

          血なまぐさいニュースが紙面・画面をにぎわしている昨今、自分の思索も政治と暴力の問題に占められがちです。マキャヴェリとかホッブズの言ったことの現代的意義を考えさせられてるんですが、我ながら重たい話になりそうで、今のタイミングでやるのは気が引けます。今度だけは誰でも気軽に共感できる話を書いてやろうなどと思ってるうちに、もう二週間、三週間と経ってしまいました。 それなのに、まだ何を書くかが決まりません。ネタはいくつか抱えてるんですが、興に乗れなくて面白くならない。どうも読む方の気

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          もう一つの靖国問題

          もう十数年前の話だが、新聞の夕刊に会津藩の藩主であった松平家の末裔に関するコラムが出ていたことがある。そこに、誰にもふり返られない「もう一つの靖国問題」みたいなことが書いてあった。 靖国問題と言えば、一般には戦犯が合祀されたところに公職に就く人たちが参拝すべきかという問題である。でも、靖国神社はもともと戊辰戦争の戦死者を祀るために新政府によって建てられた、宗教的というよりは政治的な施設である。新政府軍と戦って死んだ者は祀られていない。会津では女子供も含めてたくさんの死者が出

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          デモクラシーにおける「多数」

          一人で何票ももってる人たちデモクラシーとは「多数による支配」の意である。どこの社会でも、たいがい物持ちが少数で貧乏人が多数だから、それはほぼ貧乏人による支配と同じ意味であったが、近代のデモクラシー観ではこの社会経済的な含意は薄れてる。少数意見より、なるべく多くの人の賛同を得た意見が優先されるべき。そういう多数決原則との結びつきが強くなって、より抽象的、形式的になってる。人間の平等を信じるかぎり、そう簡単には否定できない原則である。 だが、昔読んだインドの小説に、こういう話が

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          オールド・マン(・アンド・ウーマン)・ブルース

          あなたから久しぶりに便りを受け取ったのは (その手紙がわたし宛のものであったらもっとよかったのですが)、 明け方の四時でした。 わたしはちょうどそのとき、 あなたのことを考えていました。 この旅先で、 朝の四時にです。 このごろ、わたしの思考は、 最後にはきっとあなたのところに戻ってきます。 行き先を探してる人と、 帰る場所を求める人が、 出会って結ばれるのが物語ですが、 それが物語になるのは、 そういう二人が、現実には、 いつもどこかですれちがっているからなのでしょう。

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