見出し画像

緑内障の人への白内障手術は要注意ということでお願いします。

最初に断わっておきますが、わたしは医学や眼のことは全くの素人です。
ですが、家族の眼科の通院に同行するようになり、少しずつ理解を深めてきたので、マニアックな話になりますが、ここにメモしておきたいと思います。

【このnoteのまとめ】
(ア)緑内障の人に白内障手術のなかでも多焦点眼内レンズ手術(保険適用外/100%自己負担)を勧めてくるクリニックは要注意。
 ⇒公益社団法人 日本眼科医会のサイトでも「多焦点眼内レンズは誰にでも合うわけではありません。白内障以外の病気、例えば緑内障や網膜の病気がある方は、多焦点眼内レンズの適応になりません。」と明記されています。

(イ)緑内障の人は、信頼できる緑内障の専門医にかかりましょう。
 ⇒緑内障は眼圧上昇による視野の欠損(欠損が進むと失明)を、投薬(目薬)中心の治療で進行を遅らせる守りの治療。一方、白内障は目にメスを入れて、白濁した水晶体を人工の水晶体(眼内レンズ)に交換する攻めの治療。緑内障の人に白内障の手術のためにメスを入れると眼圧上昇による緑内障の進行や、角膜内皮細胞の減少による視力低下のリスクがある。緑内障の人が白内障の手術(単焦点眼内レンズに限定しておく)を検討する場合、かならず緑内障専門の医師に相談してからにすべき。

(ウ)クリニックのWEB広告には要注意!
⇒クリニックのサイトに掲載されている、一般人にとっては信頼度やレベル感を計りがたい海外の学会での講演実績、海外の大学への客員教授就任などの情報には惑わされないように。少しでも胡散臭さを感じたら、厚生労働省の『医療広告ガイドライン』に照らし合わせながらサイトをチェック。NG表現のみならず、グレーの表現を放置しているクリニックは要注意。開業医の場合、経営を成り立たせるため患者(顧客)の気を引くような情報をてんこ盛りにしたくなる気持ちは分かるが、名医ほど宣伝せずとも口コミや専門医からの紹介で患者が集まてくることも知った。

上記の理解に至ることになった、治療の経緯を以下に記します。

<治療の経緯>

①【2017年春/東京都中央区の某クリニック】
緑内障によって右目がほぼ失明している家族が、比較的見えている方の左目(緑内障で視野の2分の1が欠損)が白内障でまぶしさを感じるようになったということで、インターネットで検索して見つけた、中央区にある某クリニックを訪問。

医師からは、緑内障だと分かった上で、左目に先進医療(保険適用外)である、白内障の多焦点(3焦点)眼内レンズの手術を勧められる「手術後は、眼鏡がいらなくなり、世界が変わりますよ!」と希望に満ち溢れた話をされたことで手術を決意。この手術によるリスクの説明はほとんどなかったらしい。

ところが、術後から1年以上たっても、スマホや本など近くのものが極端に見えにくく、日常生活に支障が出始めた。多焦点眼内レンズを入れたことで、遠くは見えやすくなったが、近くが見えない。眼鏡がいらなくなるどころか、拡大鏡なしでは新聞も読めなくなった。わたしも心配してハズキルーペをプレゼントしたけど、家族の目には合わなかった。

さらなる問題は、視界に白いモヤのようなものがかかるようになったことだ。これにより、白いお皿の上にある白いおかず(お豆腐、大根のつけもの、もやしなど)なんかはほとんど見えない。白い壁に貼ってあるカレンダーの端が白色の場合、境界が分からない。グレーの文字もかなり読みにくい。白内障の手術をして、濁った水晶体を取り出して新品の眼内レンズを入れたことで、世界がクリアに見えるはずなのに、なんで白いモヤがかかるのか疑問が湧く。

このクリニックでは、白いもやは、ドライアイが原因じゃないかといわれ、目薬(ジクアス点眼薬)を処方されるが全く効果なし。何度も通院して相談するが、このままで埒が明かないと判断して、他院にてセカンドオピニオンを求めることを検討。

※今だから分かるが、緑内障が進行している人に多焦点眼内レンズの手術をすすめること自体間違っていたのだ...。緑内障は眼圧の上昇によって視神経にダメージが加わり、視野の欠損が進む病気であるため、眼圧の上昇につながるような手術は極力避ける必要がある。手術の翌日、眼圧の急上昇が確認されており、この手術によって緑内障が進行してしまったことが考えられる。さらに、白内障の手術をした左目の角膜内皮細胞が極端に少なくなっているのはこの手術が影響していると後に診て下さった医師の発言などから推測される。角膜内皮細胞数が正常範囲を大幅に下回ったことで、比較的見える方の左目の失明リスクが高まってしまった。

②【2018年春/白内障手術で有名なG医大】
G医大にてセカンドオピニオンを求めたところ、(症状を改善するために)できることは何もないと言われ途方に暮れる。

③【2018年秋~/白内障手術で有名なS病院】
近所の眼科の先生の紹介で、②に続き白内障の手術で有名なS病院に行ってみることになった。白内障の権威の先生は「緑内障が進行している状態で、多焦点眼内レンズの手術をするなんてあり得ない!」と驚愕される。
苦渋の選択の末、再度目にメスを入れ、多焦点眼内レンズを取り出して、単焦点眼内レンズに入れ替える白内障の手術を受けることになった。

多焦点眼内レンズをスムーズに除去することができず、手術が難航。結局、この手術のために、2回入院して手術を受けることになった。失明のリスクもあったが、それは免れる。しかし、単焦点になったことで近くは見えやすくなったが、白いモヤは取れない。さらなる手術の話もあったが、緑内障専門のS眼科をご紹介いただけることになる。※ここからやっと、本来の緑内障の治療に入れることになる。かなり難しい手術をしてくださったS病院の先生方には大変お世話になりました。

④【2019年3月~/緑内障専門のS眼科】
緑内障専門のS眼科のS先生の話を聞き、緑内障と白内障ではアプローチが全然違うことを知る。ここでもお医者さんも看護師さんも「緑内障の人に白内障の多焦点眼内レンズの手術をするなんてどこの病院?」と驚いていらっしゃった。S先生の説明は明快で分かりやすく、やっと家族の目の状況にフィットした治療のスタートラインに立てた、という安心感を得ることができた。

とはいえ病状は深刻で、白いモヤは緑内障が進行し、視野の欠損が影響している可能性があること、さらに網膜に水が溜まっていることが分かり、それも見えにくさに拍車をかけているらしいことが分かる。

比較的よく見える左目の角膜内皮細胞の数が極端に少なく、網膜には水がたまり、眼圧が高い状況で打てる確実な策がないということで、治療の方向性を決め難いようだ。角膜移植の話も出るが、成功する確率は低そうだ。

S先生の紹介で、網膜に水がたまっている件については、網膜治療の名医と言われるH先生に紹介状を書いていただけることになった。おそらく手術はリスクが高すぎてやってもらえないだろうということだが、5月の初診への同行に向けて、もう少し目に関する理解を深めておこうと思う。

※このnoteは、緑内障患者の家族が書いた素人の記述です。緑内障の方が白内障の手術を検討される場合は、まずは信頼できる緑内障の専門医にご相談下さい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?