<活動紹介>非常勤講師として教えている女子大での「女性と起業」の講義

2015年度から都内の女子大で「女性と起業」の授業を担当しています。
2018年度は秋学期の15コマを担当しました。だいたい9月中旬から1月の下旬ぐらいまで週に1回、90分の授業を行っています。2019年度も秋学期に同じ講義を担当する予定です。ここでは、どんな講義を行っているのか、学生からの反応はどうなのか、今後の展望についてご紹介したいと思います。

(目次)
(1)「女性と起業」のねらい
(2)「女性と起業」の講義内容
(3)ビジネスプランの内容
(4)学生の反応

(本文)
(1)「女性と起業」のねらい

講義名は「女性と起業」ですが、ガチガチの起業家育成講座ではなく、卒業後の長いキャリアに備え、起業(株式上場を目指すスケールの大きい起業というよりも、個人単位で始められるニッチで小規模な起業に力点をおいている)もキャリア選択の一つとして意識できるようになることを目標としています。

講義前半は、「女性が働くこと」について幅広い目線で客観的にとらえるための講義内容となっており、講義後半では、ビジネスプランを作成するための基礎知識を身につけてもらい、講義の集大成として、自分で考えたビジネスプランを発表してもらいます。

(2)「女性と起業」の講義内容

講義の内容は、その時々のトレンドを反映して毎年アップデートしています。2018年度は、わたしが専門とするテレワークや、メルカリなどに代表されるシェアリングエコノミー、AIやRPAによる働き方への影響、起業に活かすためのキャリアデザインのワークを新規に盛り込みました。

①オリエンテーション(講義説明、講師自己紹介、アンケートなど)
②世界における女性の”働く”(DVD視聴、ジェンダー・ギャップ指数などの男女平等の状況、クオータ制、ダイバーシティー推進、SDGS等による改善に向けた取組みなど)
③日本における女性の”働く”(男女雇用機会均等法、女性活躍推進法、働き方改革法案などの法改正を中心とした女性の働くを取り巻く歴史と現状、典型的日本企業と外資系企業の比較など)
④働き方改革やテレワークによる女性の働き方の変化(働き方改革やAI、RPAの導入による影響、政府によるテレワーク・副業の推進、テレワークの導入事例、テレワークによる女性の働き方の選択肢の拡大)
⑤インターネット革命やシェアリングエコノミーによる新たな起業・働き方の広がり(インターネット革命とは、シェアリングエコノミーとは、インターネットやテレワークを活用した個人でできる様々な働き方の登場)
⑥女性起業家によるご講演(学部OGの女性起業家をお招きしています)
⑦起業して働く(会社の作り方、会社の社長になるメリット・デメリット、個人事業主のメリット・デメリットなど)
⑧キャリアデザイン①~自分のことを知る~(起業にあたり自分のことを知る意義、様々な自己分析ツールの紹介、ペアワークなど)
⑨キャリアデザイン②~自分の働き方を考える~(スティーブ・ジョブスの人生論、偏愛マップの作成、30歳のなりた自分を描くワークなど)
⑩中間テスト
⑪ビジネスプランの作成(1)(ビジネスプラン作成の基本、ビジネスプラン発表会の説明)
⑫ビジネスプランの作成(2)(ビジネスの差別化、ポジショニング、マーケティングの4P、4Cなど)
⑬ビジネスプランの作成(3)(クラウドファンディング等の資金調達の方法、PRの方法、オフィスの考え方)
⑭ビジネスプラン発表会(1)(一人5分ずつ発表、採点、講評)
⑮ビジネスプラン発表会(2)(一人5分ずつ発表、採点、講評)

(3)ビジネスプランの内容

ビジネスプラン発表会は人数の関係で2日に分けて実施しました。学生たちが考えたビジネスプランについて、テーマのみ簡単にご紹介します。

・プチ留学を体験できるシェアオフィス
(留学したかったけど費用の関係で断念した学生さんが多い模様)
・映画「パルプフィクション」の世界観を体現した長時間滞在型カフェ(AirPodsを借りてモニターでいろんな映画を見ることができる)
・デパコス・プチプラコスメを両方ともお試しできるサロン
(百貨店の化粧カウンターは買わされそうで近づきにくい、という声は毎年多い。プチプラも一緒に試したい。3D AR(拡張現実)も活用したい。)
・健康的な食生活を支援してくれるアプリ
(ダイエットではなく、栄養のバランスをアドバイスしてもらいたい)
・出張ネイルマッチングアプリ
(ネイルサロンでは2~3時間かかることがあるし、イスが固くて疲れることがある。できれば家から出たくない)
他にも、ユニークなプランが沢山発表されました。

今年度は、自身の経験から、親の不和などから家庭に居場所がない10代向けのカウンセリングルームをNPOとして立ち上げるプランを作ってくれた学生もいて、胸を打たれました。

わたしにとっては全くピンとこなくても、学生の間では評判のよいアイデアが幾つもあって、世代間の価値観の違い、という決定的な現実を突き付けられました(笑)

(4)学生の反応

①入学前から講義を楽しみにしてくれていたAさん
4年目となった2018年度の受講生の中には、入学前から「女性と起業」をすごく楽しみにしていました!と熱くアピールしてくれた学生がいました。学部のホームページで講義紹介の動画が表示されるようになったので、それも見てくれたのかもしれません。これは純粋にうれしかったですし、授業への気合が高まりました。彼女のビジネスプランの発表は、独自の世界観が表現された魅力的な内容で、大勢の受講生が彼女の熱量とプランのオリジナリティを高く評価していました。

②卒業後に起業の相談をしてくれたBさん
これまた初めてのことでしたが、今年の1月には社会人1年目になった2016年度の「女性と起業」の受講生から、起業の相談に乗って欲しいとの連絡がありました。当時、大学1年生だった彼女は、起業を検討するなか、「女性と起業」の講義を思い出し、勇気を振り絞って株式会社ルシーダのホームページの問い合わせフォームから連絡をくれました。週末に近所のカフェまで来てもらって起業相談に乗ったわけですが、大学で受けた授業で一番面白かったと言ってもらえて胸アツでした。この講義がこれからも続くようであれば、いつか彼女を女性起業家のOGとして講義にご招待したいです。

相談のお礼にと、手土産を持参してくれました。(なんて気が利く・・・)かわいいだけでなく、とてもおいしいミルフィーユでした。2歳男子(手のみ登場)と奪い合いながら美味しくいただきました。

③大学のアンケート結果
大学では授業の質向上のために、学生へのアンケートを実施しています。そこに書かれたコメントを紹介します。(アンケートはビジネスプラン発表会の開催前に実施されました)

・学生一人ひとりについてきちんと理解しようとしてくれている。
・私語が多かった時に席を指定してもらえてよかった。
・将来何が起こるか分からないので、起業に関する知識を学ぶことができてよかった。
・キャリアデザインの授業で、先生が生徒一人ひとりにその人の印象のコメントを書いてくださったのはすごいと思ったし、嬉しかったです。※
・ほとんどの回で事例の映像があり、理解しやすかった。
・実際に大学OGの女性起業家の話を聞くことができてよかった。
・今まで受けた授業の中で一番楽しかった。
※今回は受講生全員に、一人ひとり、その人から受ける印象や素敵だと思うことを文章にしてフィードバックしました。

④ビジネスプラン発表会の感想
・皆、個性が爆発していてすごくおもしろい授業だった!本当にあったら利用したいなと思うビジネスばかりだったし、プレゼンもいろいろな人の色々な考えが聞けてすごく勉強になった。
・みんなの発表を聞いて、自分の好きなものや夢を話す人って、こんなにいい表情になるんだな、と思いました。
・色々な人の発表を聞いて、十人十色で誰もかぶっていないのが面白いと思った。
・それぞれの好きなモノ、得意なもの、悩みをビジネスプランにしていてよかったと思いました。
・みんなクオリティーが高くてびっくりした。実際に起業できるのではないかと思うプレゼンもあり、すごいと思った。

⑤2018年度の受講生への感謝
2018年度の講義は最初のうちは私語が多く、頭がプッツンしそうだったのですが(苦笑)、前の方の席で熱心に聴いてくれる学生の存在にかなり励まされました。講義開始よりも早く教室に来て、ぐちゃぐちゃになった机やイスを整え続けてくれた学生もおり、心から感謝の気持ちを送りたいです。

(5)今後の展望

2019年度の「女性と起業」については、2018年度の学生の反応なども踏まえながら、シラバスをアップデートして、映像多め、参加型、役に立つ、面白い授業を目指したいと思います。

現在は、非常勤講師として週1回の「女性の起業」のみの担当ですが、受講生からは就職相談から人生相談、他の科目のプレゼンテーション指導の依頼などもあります。学生への指導やコミュニケーションは、大変やりがいがあり、もっと関わりを深めていきたい、という想いがあります。

ただ、非常勤という立ち位置ではかなり限定的な関わりになってしまうので、常勤に挑戦するために、まずは修士課程を修了するべく孤軍奮闘するべきか悩ましいところです。

あくまでも個人的な願望ですが、「女性と起業」の講義のみならず、ジェンダーやフェミニズム視点での講義や研究も行ってみたいと考えています。興味の関心が、国内外の企業や個人の様々な働き方、テクノロジーの活用、女性(フェミニズム、ジェンダー)、アート(写真や映像)による問題提起など、分野横断型で、確立されていない新しい分野に目を向けることが好きなので、大学院で学ぶとしても、どの学部のどの先生に師事するのか悩ましいところです。今年は、自分の興味関心に身を任せて、新しい分野の本や美術展、人との出会いなどから、次の展開に向けた着想を得ていきたいと考えています。


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