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トゲピーのホンネ(その組織に「尖った人材」を受け入れる器量と覚悟はあるか?)

キャリアに関していろんなことを発信してると、いろんな学生の方から連絡がきたり、相談の依頼がきたりする。

そんなもんで、最近いろんな学生の方と話す機会がある。みな素晴らしい才能を持った学生ばかりだ。彼、彼女らは賢い。今もすごいことやってるし、新しいこともたくさん知ってるし、鋭い。目の前の大人のこともよく観察している。世にいう「尖った人材」という類の才能たちだろう。

テクノロジーの進化やジョブの多様化で、仕事の経験年数自体ははかつて程大きな差分を生み出すものではなくなった。ちょこっと歳上だから、社会にちょこっと早く出てるから自分の方ができるなんてことは、間違っても思わない方がいいな。

自己開示して等身大で対話すると、それぞれのいろんな悩みを打ち明けてくれる。

耳が痛い。すごく痛い。


トゲピーのホンネ

「ブロックチェーンについてすごく興味がある。人事の方にその話してもいいですか?もし知らなかったら嫌われるかもと思って。」

「いわゆる就活をやったけど没個性的でやめようかと思っている。面接であった人も楽しくなさそうで。今は、知り合いの社会人に楽しく仕事をしているおもしろい社会人の方の紹介を個別に相談しています。」

「就活支援会社の面談で、やたらこじつけ気味に勧められる企業があるんですけど、やっぱり高いお金もらってるとこに勧めてるんですか?」

「大手ナビサイトのDMは多いし、最初はしばらく見てたけど興味ない情報ばかりなのでもうゴミ箱に直行する設定にした。」

「スカウトが大量にくるけどコピペっぽくて正直ウザいです。あれってやっぱり一斉送信なんですか?」

「Facebookは周りはオワコンとかいってるけど、ベンチャーの人たちとコミュニケーションとる上で必須なので自分はそのために使っている。友達とはもちろんインスタですけど。」

「最近どこも新規事業のインターンですけど、ほんとに新規事業関われるんですか?入社したら既存事業にも配属されると思うけど、実際何するかイメージわかないです。」


「学生のくせに生意気」と思うか、真摯に受け止めるか

これが現状だ。

前者が頭によぎったら要注意だ。まず「学生のくせに」という時点で無意識に年下という理由だけで見下している。「生意気」というのは、自身の立場が脅かされるという恐怖と紐付く感情であることを認知できているだろうか。

「尖った人材が欲しい」という話をよく聞くが、尖ってるってことはどこか凹んでるってこと。とてもレアな経験をしてる反面、既存社会の枠組みに当てはめたら「生意気」に見えたり、不器用だったり、ゴマすることに興味がなかったりするが、それはそれでいいのではないか。最低限の礼節なんて、組織に入ってからでもそっこーで身につけられる。それに、彼、彼女らは「やる意味」に納得すれば素直に受け入れる。「やる意味」をわからないまま「いいからやれ」と言われると一気に萎えるのだ。これを「社会不適合」というのはナンセンスの極み。

「自社には必要ない」と思うのであれば、多分必要ないのだろう。トゲピーが偉いわけではない。金太郎飴もある意味では「トゲがない」という個性だ。適材適所がある。


問いは、「どうすれば尖った人材が自社で活躍するか?」で、「どうすれば採れるか?」ではない

それでもトゲピーを取りたいとなったとする。

入り口だけ綺麗にしてだまくらかしても、トゲピーはすぐ辞める。理由はつまんないからだ。

自社にトゲピーの活躍の場がないために、組織に強みを活かすカルチャーがないために、もしその凹みを徹底的にツメて、トゲを丸くしてしまうのなら、その学生のためにも、社会全体のためにも、採るのはやめたほうがいいなぁ。

もし尖った人材を採りたいのなら、その尖った部分は要は何で、自社のどの事業でどう活かしてもらうか、どういったキャリアのコンテンツを用意できるかくらいは、自問して答えをもっておいたほうがいいなぁ。じゃないと新しい才能を殺してしまう。


あなたはトゲピーか?金太郎飴か?

自身は今、「少なくともここに関しては誰にも負け(たく)ない!」という要素があるから、ぎりぎりフラットに話ができている(はずだ)けど、一昔前までの直径ばかり長くなった平べったい金太郎飴みたいな自分だったら、しょーもないプライド守るためにマウントとったり、クソ生意気だなと思ったり、そういった才能との接点を避けたりしてただろう。

尖った人材に振り向いて欲しいなら、まず自分も尖ったところを伸ばしたほうがいい。そしたら、「おぉ、そこで尖ってるんだ、そこ僕凹んでるから教えてよ」とか、「経験上、これくらいまでは凹んだとこ埋めとかないと損するかもよ」とか、強みを活かすための建設的な対話ができる。

逆に自分が金太郎飴のように満遍なくステータスあげをやってきた場合、自分の成功体験に固執して彼彼女らをマネージすると、たちまちエゴ研磨機能が働いて、トゲピーをミニサイズの金太郎飴にしちゃうってこと。それは彼、彼女らにとっても社会にとっても罪であることを自覚しないといけないなぁ。

ほんと、人の才能に向き合うって難しいし、覚悟のいることだ。


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