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今、キャリアセンターだからできること


キャリアセンターの価値ってなんだろう。

ここでの価値は、他はできなくて、かつ学生ニーズのあるものと考える。

この問いについて考える機会が増えた。

学生に、キャリアセンターについて聞くとなかなか辛い反応が返ってくる。以下は、キャリアセンターに対する印象と利用した感想について、今まで聞いたなかで、特に多かったものを抜粋したものだ。辛辣だ。
※文句を言ってとは言っていない。印象と利用した感想、周囲の声を聞いた。

【全体】
就活が不安だから、とりあえずいっておくという場所。

就職率ばかり追っている印象がある。

不要なメールが多い。大手ナビサイトのメールと同様に未読のままアーカイブにしている。
【キャリア相談】
親身に相談に乗ってくれたことがよかった。業界や就活の情報を聞くよりも、心の拠り所として利用している。周りの就活生も同じことを言っている人が多く感じる。(自動車大手)

キャリアアドバイスをするだけの情報をカウンセラーが持っていないと、話題になっている。企業の公式サイトに載っているような情報すら知らなかった。専門家だと思っていたのに残念に思う。他の友人や先輩からも同様の声を聞くので、相談に乗る人が減っているように思う。(コンサル)

就職活動や業界の動向についての知識がない。何をすればいいかわからない学生を対象にしているイメージ。とはいえ、大学にあるからには、いい利用方法を考えたい。(メーカー)

某有名メーカーに行くか迷っており、キャリア相談をしたが、そもそも社名を知らなくて残念だった。企業の内容について説明したあと、アドバイスをいただいたが、当たり障りない内容で、相談した意味がなかった。(メーカー)
【OB/OG紹介】
OB/OGの連絡先が紙面での保管になっており、ファイル閲覧に100人以上並んでいた。パソコンで検索出来るようにしてほしい。(商社)

OB/OGの連絡先が少なく期待はずれだった。最近はVISITS OBやビズリーチキャンパスなどOB訪問サービスがあるので、周りはみんなそちらを使っている。(自動車)
【ES添削】
ESを持っていった際に、よくできているねと言われ、ほぼフィードバックがなかった。後日志望企業の内定者の先輩に同じものを見せたらほぼすべて赤入れされた。修正して提出したものは通過したが、内定者の先輩に見せなかったらどうなっていたかと思うとこわい。(コンサル)
【面接練習】
失敗しても良い場として利用出来たのは良かった。(コンサル)

アウトプットの場としてはよかった。発言内容に対するフィードバックがほとんどなかったので、他の人に相手をしてもらっても一緒ではないかと思った。(自動車)

非常に、耳が痛かった。

利用しない理由は「先輩や友人が行って微妙だといっていたから行かない」「何となく期待していない」が多かった。

利用した感想は、大別すると「カウンセラーが情報を知らない」「フィードバックのクオリティが低い」「OB/OGリストが充実していない。紙で不便。」がほとんどであった。

まずはこの声を、受け入れないといけないかもしれない。

なぜこうなったか。


以下3点について考える。

なぜカウンセラーより就活生の方が就活に詳しくなったか。

企業や就活に関する様々な情報がオープンになった。今では、情報収集のアンテナを張れば、就活メディア、SNS、スタートアップでのインターン、社会人学生交流イベントなど、学生の方が情報収集において機会に恵まれる状態になっている。

なぜフィードバッククオリティが低いか。

これは上記の通り、逆情報格差が生まれているため、フィードバック自体が浅いものになってしまうことが原因のように見える。また、そもそも自分より知識がない人から受けるフィードバックは、少し心配である。

なぜOB/OGリストについて満足度が低いか。

OB/OG名簿は元々キャリアセンターにとって伝家の宝刀だった。しかし、民間で利便性が高く、内容が充実したOB/OGリストが出てきたため、紙の名簿の差別化要素がなくなってしまった。

かつての武器だった「社会の情報」と「紙のOB/OG名簿」の両方が、ツールや競合サービスの出現により、差別化要素がなくなってしまった。


では、キャリアセンターは不要なのか?



きっとそうではない。


学生が、口を揃えて言ったことがある。

「キャリアセンターで先輩の生の声を直接聞きたい」

「縦と横の信頼出来るつながりの場を、大学につくって欲しい」



言い換えると、彼らは、きっと以下を求めている。

利害関係のない、近しい属性の人からもらう確からしい情報

信頼できるリアルでの繋がり


背景はおそらく、こうだ。

利害関係が発生する色のついた思惑付きのアドバイス(よくある就活コンサルタントが成果報酬が高い方の企業をゴリ推ししていたことがバレ始めた。)に対する不信感が強まっている。
※事実、キャリアセンターの方には、フェアに話を聞いてくれて安心したという声が多く上がった。

友達や先輩などとの心理的安全性が担保された繋がり。SNS等でつながっているようで、キャリアの悩みを打ち明けられるような信頼関係のある繋がりを持っていない学生が増えている。


きっと今後キャリアセンターの存在価値はシフトしていく。


かつての武器、「社会の情報」「名簿」は民間に任せてほしい。むしろ、民間のサービスをうまく使ってほしい。「その企業の情報ならこのサイトに載っているよ。」「その業界のOB/OGならこのツールにたくさんいたよ」と。

そのかわりに、キャリアセンターにしかできないことを進めてほしい。

情報過多の中で不安になり、人の人生を自分の財布に入れたい就活アドバイザーに騙されそうになり、自分は社会にとって必要なのか?と悩んでしまうくらい追いつめられてしまう今の就活生が、大学のキャリアセンターに求めること。

それは、アドバイスよりも、名簿よりも、もっと大事なこと。金や思惑が絡まないピュアでリアルな繋がりを作れる場所。自分のキャリアの悩みを安心して相談出来る場所。

今の学生は、情報は自分でたくさん得ることができます。

ただ、安心出来る場所、キャリアを前向きに語れる仲間、キャリアの相談を安心してできるコミュニティは、ビジネスが絡むとどうもできにくいのです。安心出来る場所、ピュアにつながれる場所を、作ってあげてください。

それが、今、キャリアセンターにしかできなくて、学生がキャリアセンターに求めていることなんじゃないかなぁと思います。

守ってあげてください。

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