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2021年 年間ベストアルバム 25

この時期がやってきた。
もう年末だなーはやいなーとも思うけど、去年の年間ベストアルバムを選んだのがすごく前のようにも思う。
コロナ禍で完全に違う世界線に来たと思っているけど、今年夏の日本の最悪なムードの時期に更に別の世界線に来た感があって、違う世界線に来るたびにそれより前のことはすっっっごく前のような気がしてしまう。

そんなすごく前の世界のような2010年代後半は日本以外の国々、主に欧米ではヒップホップ、ラップシーンが全盛期。
ただそのシーンにおける方程式みたいなのが出来上がってしまった結果、サウンドの均質化も進んだ。
すごく低い音域の音に細かく刻むハット、これは完全に2010年代後半の方程式になった。
その方程式でポップミュージックをやったBillie Eilishというスターも生まれた。
そこからコロナ禍に入った2020年はTaylor Swiftの2作品が象徴するようにライブを意識しない作品も出てきた。

そして今年2021年、日本はまだ規制をしつつライブを開催しているが、欧米は入場するための規制さえクリアしてしまえば規制のないコロナパンデミック前のフェスに戻っている。
そういうこともあり、今年はライブを意識した作品をリリースしたアーティスト、ライブ以外の別の形でヒットしたOlivia RodrigoやPinkPantheressのような新人アーティストなど出てきていて面白い一年だった。
まだ2020年代のサウンドというものは分からないが、ギターサウンドの復権、ドラムンベース、レゲトンなどこれからを作る兆しとなりそうなサウンドは出てきている。

今回年間ベストアルバムとして25枚に絞ったが、今年デビューしたアーティストなど若手アーティストがトップ10に多く入っている。
完全に2020年代に突入しこれからの10年間を作りうるアーティストが出てきたということでもある。
トップ10のアルバムには簡単にコメントも残したました。
それでは年末年始のお時間あるときにでもチェックして聞いてみてください。


25.Flor  - Gretchen Parlato

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24.bb u ok?  -  San Holo

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23.If i could make it go quiet   - Girl in red

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22.Editorial  -  Official 髭男Dism

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21.Bright Green Field  -  Squid

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20.Vanitas  -  (Sic)Boy

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19.A Daze In A Haze – DYGL

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18.DONDA -  Kanye West

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17.音楽 - 東京事変

origin東京事変


16 .Mood Valiant  -  Hiatus Kaiyote

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15.CALL ME IF YOU GET LOST  -  Tyler, The Creator

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14.THE MILLENNIUM PARADE  -  Millennium Parade

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13.Happier than ever  -  Billie Eilish

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12.Californian Soil  -  London Grammar

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11.無限のHAKU - Roth bart baron

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10.to hell with it - PinkPantheress

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彼女はTikTokでバイラルヒットしレコード会社と契約した新人。
BBCが毎年発表しているSound Ofの2022年版に選出された彼女だけど既に知っている人も多く大ブレイク前夜という感じ。
なんでこんな上位に入れたかと言うと、ドラムンベースだよ。ドラムンベース。笑
最近やっている人はいなかった、というか彼女が生まれる前のトレンドだったドラムンベースを取り入れている曲が多く面白い。新鮮。あと歌声がキュートでメランコリックな音楽に仕上がっている。
10曲で19分弱という非常に短いアルバムでいろんな側面から考えても聞きやすい作品。聞きやすいけど聞きごたえもあって最高。


9. 20, Stop it. -  Kid Fresino

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Apple MusicのインタビューでBon Iverのライブを見て「良い音楽が何なのか分かった気がした」という話もあったが、生音と打ち込み、エレクトロを共存させ気持ちよく聞かせるというBon Iverがやっていることを今作で挑戦したと思われる。
それを達成させるために招聘された豪華なバンドメンバーの最高のサウンドと言葉の意味よりも響きを重視したような彼のラップの素晴らしいバランスで傑作と呼ばれた前作『ài qíng』から更にステージを上げた。
『大豆田とわ子と三人の元夫』の主題歌に参加したことで知った方にはこちらの作品もぜひ聞いてほしい。


8. Cavalcade -  black midi

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ここ数年ずっと熱いサウスロンドンから出てきたBlack midiの2ndアルバム。4人組だがマット(Vo/Gt)が活動休止中で作曲には絡んでいるがレコーディングは残りの3人を中心にサックスや鍵盤のサポートメンバーを入れ制作された。結果的に彼らの音楽の幅を広げることに成功した。
緻密に暴力的なサウンドを作ると美しくなる、圧倒的な情報量の音を緻密に積み上げると気後れするわけではなく気持ちいい。数秒聞いてガチャガチャしてると思って消すのは勿体ない。


7.ゴーストアルバム - Tempalay

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まだメジャーデビューしてなかったんだアーティストの一つのTempalayのメジャー1stアルバム。メジャーになろうと彼らのスタンスは何も変わらない。摩訶不思議という言葉がここまで似合うバンドはいない。
1回聞いただけでは理解できない世界観で多くの人が沼と表現するがまさしく沼のようにハマるとなかなか抜けられない中毒性。
ボーカルの小原の歌は上手い訳ではないが旨い歌であり多様な歌い方で摩訶不思議ワールドを体現している。
前作の方がポップのような気もするが完成度はこちらの方が上。
今年必聴のアルバムである。


6.SOUR - Olivia Rodrigo

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こんなに良いとは思わなかった。こんなにハマると思っていなかった。
まだ1年経ってないが今年最大のサプライズかもしれない。
彼女の代表曲「drivers license」はバラードソングだが、アルバムには2000年代前半を彷彿とさせるギターサウンドが特徴の「Good 4 u」や「deja vu」などはビートミュージック、ラップがヒットしているここ4,5年を考えると新鮮に聞こえる。
2010年代後半ギターサウンドは死んでいたが彼女の存在、彼女のこのアルバムを機にギターサウンドが盛り返し来るかもしれない。それくらい素晴らしい作品で転換点になる作品にもなるかもしれない。


5.No moon  - D.A.N.

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1曲目の“Anthem”の一音目からもう最高だよね。
D.A.N.のリスナーの要求にも応じ結果的にそれを軽く超えたアルバム。
まず何より音が良い。ここまでサウンドプロダクションに力を入れている日本のアーティスト他にいるのか?と思うくらい音への拘りが強い。
ハットの鳴り、キックの鳴りなど一つ一つの音に拘りを感じる。
そしてそこに前作で見せたメロウな櫻木大悟の歌も今作に活かされ、根本にあるクラブミュージックなど彼らの活動を総括しネクストステージに辿り着いた今作。文句なしの最高傑作。


4.Chemtrail Over The Country Club - Lana Del Rey

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今年本当に何度も聞いた作品。Lana Del Reyはデビュー当時から良くも悪くも目立っていて知っていたがそこまでハマることなくここまできていて。
前作の『Norman Fucking Rockwell! 』で良いなと思い始め今作でドハマり。今作もアメリカのバンドFun.のメンバーであり今はプロデューサとして引っ張りだこのJack Antonoffと殆どの曲が共同作曲された。彼がプロデュースした最近の作品の音は音の輪郭がぼやけているような、録音した場所の空気も含めて全てキャプチャーするようなそんな音作りだと個人的には思っている。音一つ一つのアタックは弱い、低音域は効いていないなど現代のトレンドは完全に無視しているが彼女の音楽には最適なサウンドに仕上がった。Jack Antonoffが描くサウンドと彼女の音楽が最高にマッチした今作は最高傑作だと思う。


3.Collapsed In Sunbeams -  Arlo Parks

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Arlo Parksの音楽の音が大好き。大好物。一生聞いてられる音楽。
R&Bのアーティストだとは思うが、アメリカのそのジャンルのアーティストとは異なり楽曲は打ち込みは少ない気がする。
Radioheadが2008年にリリースした『In Rainbows』の音像に近く自分が大好きな「Caroline」という曲は一番それが感じられる曲である。
このアルバムは時間帯、場所、自分の状態など選ばない、どんなOccasionでも聞けるそんな作品。
完全に自分の生活の一部になったアルバム。


2.30 - Adele

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彼女のアルバムで一番良いと個人的に思う。
今までの作品も間違いなく良かったが個人的にアルバム通してめちゃくちゃ良いかと言われると何とも言えなかったが、今作は最初から最後まで最高。自分の耳がようやくAdeleに追いついたということかもしれないが。。。
映画『TENT』で劇伴を担当したルドウィグ・ゴランソンがプロデュースした1曲目はアルバムでは少し浮いているが一気にアルバムの世界に引き込むのは最適だし、その後はグレッグ・カースティンや今人気になってきたプロデューサー、インフローなど人選も絶妙で楽曲、プロダクション共に最高だ。


1.Sometimes I Might Be Introvert -  Little Simz

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最高傑作。今年ベストの作品。今年一番衝撃を受けた作品。
タイトルにもあるとおり内省的のアルバムだがサウンドは全く内向きではなく全方位に外向きだ。
これは個人的に2010年代の最高傑作だと思っているyeことKanye Westの『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』的なスケール感にも似ている。
ラップを中心に置き多ジャンルの音楽を取り込み次々に景色を変えていく。壮大なミュージカル映画のような感覚。
内省的な気持ちに向き合うことは弱さではなく、強さの表れ、それを体現したのかもしれない。


結果的に英国アーティストがトップ3に入る結果に。
自分はやっぱり英国の音楽が好きなんだなと思う。

そしてトップ10に女性アーティスト、ソロアーティストが多いことは今っぽいなと思う。
日本ではバンドが今でも人気があるが、海外はバンドが低迷し続けている。
インディーミュージックっぽいサウンドが復権したりする可能性はあるが、バンドが復活するかはまだ分からない。
少し希望があるとすればエモやパンクの復権がありそうな兆しなのでMy Chemical Romanceが復活後コロナの影響で動けていないので彼らが動きだしたり、Avril Lavigneサウンドを今やっているアーティストも多く出てきているのでAvril Lavigneが来年リリースするアルバム次第ではエモやパンクがヒットする時代もあるかもしれない。

いろいろと妄想は膨らむが、コロナパンデミックの状況も大きく影響するのでまずは来年普通に海外アーティストがいろんな国を移動できるようになると良いなと思う。
フジロック、サマソニも海外アーティストを呼んで開催できることを願う。

それでは来年もよろしくお願いします!

Telkina


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