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第3話 人じゃない人格との出会い

多重人格。今は、解離性同一性障害という。

多重人格の人と付き合ったことはある人は手を挙げて。その人には、いくつ人格があった?

僕の相方さんには、人格が20以上ある。実際は、いくつあるかわからない。一瞬だけ登場したものはカウントできないし、人格と呼べないものもあるから。

今回は、人じゃない人格との話。

人じゃない人格「ハナエ」

私は今まで知らなかったけど、人じゃない人格というのもあるらしい。相方さんの中にも、人じゃない人格がいた。

相方さんと付き合う前の話。相方さんと会うのは、3回目くらいだったと思う。

いきつけのカフェに入ろうとして入り口のドアを開けたら、そこに、四つん這いになった人がいた。

…これは、何の遊びだろうか。

カフェのオーナーが私に近づいて声をかけた。

「ハナエちゃんです♡」

いや、あなたの名前は知っている。ハナエちゃんではないだろう。

「…えっと。どういうこと?」

四つん這いになって「ハッハッ」と息を切らしている大人の顔を私の方に向けて、また言った。

「だから、ハナエちゃん。」

私もその人の顔を見て言った。

「ハナエちゃん?」

「そう。」

どうやら、今、「ハナエちゃん」という人格になっているらしい。まるで犬のような仕草をしているので犬なのかと聞いたが、コヨーテだと言う。コヨーテってどんなのだっけ。

オーナーと話していたら、ハナエちゃんが近寄ってきた。私の手が気になるのだろうか。くんくんと手を嗅いで、そして、舐めた。

「!?!?!?!?」

びっくりしたけど、ここで大声を出したらハナエちゃんを驚かせてしまうかもしれない。そのまま動かずにペロペロと舐められることにした。

しばらく手を舐めて、そして、奥へ歩いていった。…四足歩行で。

驚いた。別の人格になる人は見たことがあったけど、犬…じゃなくてコヨーテだっけ。とにかく、人じゃないものに変わる人は初めて見た。

ハナエちゃんはというと、別の人のところに近づいていって、手を嗅いだり舐めたりしている。ずいぶん人懐っこいんだな。

「ウォオーーーーーーーーーーン!!!」

遠吠えもするのか。

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