2021年秋ドラマ 前半メモ


秋ドラマもあっという間に折り返し。個人的な感覚では、第七話の中盤までが幸せのピークで終わる頃には地獄、さあ八話へ、のような展開が多いと思っているので、そろそろ来たる天国と地獄の瞬間を前に、今期チェックしている作品とこれまでの所感を。

『サムライカアサン』

笑って泣けると話題の漫画を原作とした、TOKIO・城島茂の初主演連続ドラマ。まず、城島茂のおばちゃん姿がしっくりきすぎていて驚く。ある意味で、実際のおばちゃんよりもリアルにおばちゃんである。私は、関西出身でもなければ、男性でもないのに、どこか懐かしさを感じるのは何故だろう。関西出身で男性の城島だからこそ、自分が見てきた「オカン」を踏襲しているのか。城島の後輩にあたる関西ジャニーズJr.の大西風雅。30年後に是非ともリアルな「オカン」を演じて欲しい。

『ラジエーションハウスⅡ』

前からある手法ではあるが、役者によるナレーションが最近のドラマのトレンドになっているように感じる。「ラジエーションハウス」は第一シリーズのナレーションを八嶋智人が担当していた。その八嶋が第二シリーズでは、役者としても出演している。正直、言われなければ気付かない人も多いと思う。いくら優秀な医者がいたとしても、正確な検査結果が無ければ正しい判断は出来ない。検査技師は、表に出ることはないけれども、その手によって解析された検査結果が彼らの存在を静かに知らしめる。八嶋の二足の草鞋とどこか重なる気がする。

『婚姻届に判を捺しただけですが』

OLが必ずハマると言っても過言では無い「火曜10時」枠。本作は、近年の中で言うと、実はあまり火曜10時ドラマっぽくないと感じている。個人的に火曜10時と言えば「自分にどこか自信がない、だから仕事を頑張る強気女子」に自分を重ね「素直じゃない男子の不器用さに不意打ちキュン!」というイメージがあるが、本作はその不意打ちのキュンが少ない気がする。というか薄い。清野菜名は、生田斗真との結婚や妊娠のニュースがあったせいか、何となく自分と彼女を重ねるには違和感がある。坂口健太郎も、朝ドラの菅波先生の方が不器用で可愛かったので物足りないと感じてしまうのかもしれない。「キュン」と「すれ違い」でもっと苦しませてくれ。

『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』

なんて新しいドラマ何だろうと思った。そしてまたこれが少女コミック原作というから驚いた。案内人として芸人の濱田祐太郎が起用されていることも話題となっている。普段目にしていても知ることのない盲者の世界をほんの少し覗くことができ、発見がたくさんある。やはり、新しい発見は楽しい。主演の杉咲花をはじめ、キャストの演技力がとにかく凄い。特に盲学校の友達である田辺桃子と細田佳央太の演技は圧巻。思わず泣いてしまいそうになる。意外にもめるるは演技が板についているなと思った。鈴木伸之もハマり役。『僕の殺意が恋をした』もそうであったように、好きな人への執着を感じる役どころがピッタリだ。同クールの「ラジエーションハウスⅡ』の硬派さよりもこっちの方が生き生きしている。

『アンラッキーガール!』

キービジュアルでバカリズム脚本かと思い見てみたらナレーターとしてのご出演だった。ほのぼのしていて良い感じ。特に大きな事件が起きる訳でもなく、何か考えさせられるようなこともないが、福原遥のとにかく明るくて明るくて運の悪いところとか、絶妙に変わった出演者たちが癖になって何となく見続けている。

『ドクターX』

こうやって並べてみると田口トモロヲのナレーションの大御所感が凄い。Adoのエンディングは、「ドクターX」ファンからは批判もあったようだが、私個人としては初めて第一話で流れた瞬間鳥肌が立った。「ねえ、あんたわかっちゃいない」と叫びたくなる。実は「ドクターX」をちゃんと見るのは今期が初めてなのだが、今までのシリーズを見ていなくても充分楽しめるし、何よりスカッとして気持ち良い。遠藤憲一は「ラジエーションハウス」でも「ドクターX」でもどこか頼りない上司役で、コミカルな演技に笑ってしまう。気付いたら完全にコミカル路線の人になっているよな。

『和田家の男たち』

完全オリジナルストーリーの本作。3話くらいまではそれぞれのキャラクターが掴みにくく、話の流れもイマイチな気がしたが、母親の死の真相に迫りはじめてからはテンポも良く、結末が気になってきた。最近、SNSやネットニュースの表現がしつこすぎるドラマを見ると萎えてしまうが「和田家〜」はマイルドな感じで見てられる。今後、バズとぴのメンバーがどう絡んでくるのか楽しみ。

『最愛』

洋楽チックでクールなオープニング、冷んやりと静かに進行する本編、宇多田ヒカルのエンディングが切なさを増す。吉高由里子の美しさやたるや。ただの美人ではなく、女性のしなやかさと強さを持った、現代のクールビューティーの代表とも言える立ち振る舞い。吉高由里子という存在だけでついつい見入ってしまうような魅力を感じる。考察好きなドラマファンによって放送後いろいろな憶測が飛び交うのも面白い。

『消えた初恋』

大人気コミックスの実写化。BL要素も含むが、その前に王道中の王道ラブコメといった感じ。最近は、意外とラブコメコミックス原作の連ドラは少なかった気がするので、ここまでキラキラだとある意味新鮮だ。(ラブコメはAbemaなどの配信プラットフォームがメインになっている気がする)
表紙になれば必ず重版が決まる通称「重版男」のSnow Man・目黒蓮と今年デビューを果たしすでに演技経験も豊富ななにわ男子・道枝駿佑の最強タッグ。ほとんどが道枝の顔芸。振り切っていてとても良い。部活仲間など脇を固めるメンバーもフレッシュなキャスティングだが、全員演技に定評のある俳優というイメージだ。

『二月の勝者ー絶対合格の教室ー』

これからの季節にはあまりにもセンシティブな話なのではないかと思ったが、受験の過酷さや勉強法はそこまで描かれている印象は無い。学校の教室とはまた違う世界で子供たちがどう自分の居場所を作り、どう守っていくのかを描いており、それがたまたま受験塾だった、というような内容。子供たちの心の動きや大人の反応が面白いと思う。原作絵と柳楽優弥がそっくりすぎて驚いた。

『真犯人フラグ』

「あなたの番です」スタッフが再集結したことでも話題の本作。放送開始前からHPのキービジュアルが変化したり、キャスト情報を一気に解禁して視聴者に犯人を予想させたり、考察合戦を促す施策が盛り沢山。「あなたの番です」はどんどん人が死んでいって恐ろしくて仕方なかったが、今度はジリジリと擦り寄ってくるような不気味さがある。「あなたの番です」の続編でもないのに、劇場版「あなたの番です」の宣伝とも重なっているので自然と相乗効果を生んでいるのが凄い。

『日本沈没ー希望の人ー』

この前クールに放送していた「TOKYO MER〜走る救急救命室〜」の大ヒットをプレッシャーに感じていると話した小栗旬。視聴率が全てとは言えないが、彼の本作への思い入れの強さを感じた。これまで映画やドラマで何度も取り上げられてきた「日本沈没」というテーマ。第一話放送後「もう怖くて見れない…」という感想をいくつも見た。ちょうど大規模地震が立て続けに起きたタイミングであったことも影響していそうだ。だからこその説得力もある。小栗旬と杏の真っ直ぐな姿勢に心打たれる。

『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし

木村多江と安藤玉恵が阿佐ヶ谷姉妹を演じるというニュースを見た時は、妙に実力派キャスティングだなと思っていたが、ドラマ始まってびっくり。そっくりすぎて二度見してしまった。最近ではファッション誌でも阿佐ヶ谷姉妹を見かけることも増え、二人の生き方に対する、世間の興味、憧れの強さを無視できない。NHKは本当に面白い題材を扱う。

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