UZABASE写真

ユーザーベースのマーケティングトレース


今回は、あの「NewsPicks」で有名な株式会社ユーザーベースをマーケティングトレースしていきたいと思います。

ユーザーベースの概要

株式会社ユーザーベースは、創業2008年4月1日から2016年10月に東京証券取引所マザーズに上場し。今年12期目を迎え連結会計年度の売上高約93億円、従業員数は567人となりました。

株式会社ユーザベースは梅田優祐、新野良介(UBS証券での同僚)、稲垣裕介(高校の同級生)の3人の共同経営者が存在します。代表取締役社長 梅田優祐さんへのインタビューで、『起業の発端は、自分自身の経験からです。過去に、コンサルティング業界や投資銀行業界に所属していたのですが、・・・情報収集だけで多くの時間を費やしていました・・・そこで、いまは様々な形態で世界中に散在するビジネス情報を一箇所に整理し、アクセスさえすれば欲しいデータが一瞬にして手に入る、そんなプラットフォームを作れないだろうか・・・と思い立ったのです。』とあるように、BtoB領域で企業情報や業界情報の収集、データ加工、分析をワンストップで行えるように開発された「SPEEDA」から、株式会社ユーザーベースははじまりました。

ユーザーベースのビジネスモデルと事業構造

ユーザーベースの事業としては5つあります。2009年に「SPEEDA」、2013年「NewsPicks」、2017年「entrepedia」「FORCUS」、2018年に「Quartz」とそれぞれリリースしてきました。ただ、売上としては「SPEEDA」「NewsPicks」「Quartz」で、大半を占めています。

①SPEEDA事業:世界200ヶ国以上、600万社以上の上場・未上場企業データの他、180万件以上のグローバルM&Aデータ、グローバル統計データなど業界の市場規模や動向、 企業情報や最新ニュースまで、ワンストップで取得できる。ビジネスモデルとしては、契約ID数に応じた月額の定額利用料金となっており、国内で2276、海外で295のIDが発行されています。
②NewsPicks事業:ソーシャル機能も兼ね備えた、経済ニュースメディア。(1)100以上の国内外のメディア、専門メディアの配信ニュースを読める(2)ニュースにコメントを投稿することができ(ピッカー)、ピッカーをフォローしてユーザーは独自のタイムラインをつくれるほか、ピッカー同士のイベントも開催され「コミュニティ」ができている(3)編集部によるオリジナルコンテンツの提供(4)ユーザーは「NewsPicks」に自らニュース記事を投稿することができる。ビジネスモデルとしては、(1)有料課金ユーザーから受領する月額利用料(2)法人向けブランド広告サービス(3)リクルーティング広告サービス(4)法人向けソリューションサービス、の4つがあり会員数は国内380万人海外95万人となっている。日経新聞のデジタル購読数が65万、紙面での朝刊購読数が234万であることを考えると、かなり会員数を伸ばしていることがわかる。

③Quartz事業:2018年に合計7500万ドル(約82.5億円)相当のユーザベース株および現金でユーザーベースに買収された米国のオンライン経済メディアQuartz。Quartzは2012年に設立された経済メディアで、共同創業者のKevin J. Delaney氏とJay Lauf氏はQuartzの共同CEOとして今後も経営を続けていく。Quartzは米国版NewsPicksのコンテンツ運営も引き継ぐ。広告・ソリューション事業は黒字化したが、有料課金については赤字。

ユーザーベースの財務状況

BSとPLを図解してみます。

(バフェットコードから作成)

売上原価については、「SPEEDA」、「entrepedia」及 び「FORCAS」の 開 発・運営費用並び に「NewsPicks」「Quartz」の編集に係る人件費・外注費が増加したこと。

販管費については、Quartz社買収での増加と「SPEEDA」事業及び「NewsPicks」国内事業について事業規模が拡大し、人件費、広告宣伝費等が増加したこと、また国内本社のオフィス移転により支払家賃が増加したこと等によるもの、が挙げられていました。「SPEEDA」の売上が39億円で営業利益率が14.3%、「NewsPicks」の売上が53億円で営業利益率4.9%であることを考えると全体的にコストが高い構造になっていることもわかります。

固定資産の割合が大きい印象があったのですが、これは「主にQuartz社の買収、NewsPicks USA, LLCの完全子会社化により、のれんが9,144,195千円増加したこと、株式会社UB Venturesの運営するファンドによる投資活動等により投資有価証券が216,539千円増加したことによるもの」であるようです。たしかに、買収額(取得原価)が80,085 千米ドルおよそ80億円なので割合が大きくでてくるのも頷けます。

ユーザーベースのマーケティングトレース


ユーザーベースの課題感・方針の整理

既存戦略:(1)「SPEEDA」事業において、国内に加えアジアで確固たるポジションを築いた後に、欧米を含むグローバル展開を加速(2)「NewsPicks」事業において、リクルーティングやブランディングプラットフォームとしても活用できる経済インフラの役割を拡大
新規戦略:Quartz事業において、有料課金ビジネスの立ち上げ

わたしがCMOだったら

2つのことを提案します。

①セカンドキャリアサロンの立ち上げ②副業マッチングメディアの開設

①学生とセカンドキャリア習得を目指す社会人、が協働して学ぶことのできるサロンやコミュニティを、ユーザーベース主体で創設します。学生としては、学術的な内容から一歩出て、実務的な内容を教わることができ、かつ新卒一括採用が薄れてきた今、このサロンを通してスキルを習得し、希望通りの企業の選考を即戦力として受けることができます。長期インターンでは基本的に1社のみでしか実務を学ぶことができませんが、このサロンであれば実務を所属企業に依存しない形で学ぶことができます。また、異業界からの転職を考えている社会人の方にも門戸を開き、転職前にスキルセットを学ぶことができます。

②副業、フリーランスの方をマッチングするプラットホームを作れると思います。メディアを通して、より具体像が明らかになった課題感についてピンポイントで解決できる人材を募集することができ、会社に依存しない新しい働き方を実現できると思います。

最後まで読んでいただきありがとうございます!わたしの心の栄養はスキボタンです ぜひお気軽に話しかけてください ツイッター@telltotell20 です!