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【MBTI】自分のタイプが分からなくなった人への特定法

 今日も今日とて考え続けるさんのこちらの記事を読みまして、ENTPをはじめとして、ペルソナを使いがちな人は自分の性格タイプを見失いがちになるよなー…と共感しました。
 同様な悩みを持つ人はもしかしたら多いのかなと思い、自分の特定に至った方法について、記事にして共有してみます。

 以下、(誠に何様なのですが)「今日も今日とて考え続ける」さんのことを相談者さんと呼ばせてもらいますね。


そもそも真のMBTIタイプとは

 さて、「自分は本当はどのタイプなのか?」という問いの前提に、そもそも「人は真の性格タイプをもつのか」、という問題がある。

 実際、ここらへんが曖昧なために性格タイプ分けは批判される。殊に16perは人の性格を16タイプに分けるに際して、対立している(と思われる)4つの指標【E/I,S/N,F/T,P/J】がどちら寄りかという分類である。しかし、その分類の境界線は、「問いに対する回答ポイントの和が50%を超えたか超えないか」という判定である。50%を超えるかどうかは問いの仕方にもよるし、問題を答える人が主観的に決めることでもあるから、客観的に明らかではない。

 そもそも、人の性格は流動的である。ある気分の時はこっちを選ぶが違う気分の時はそっち、という事は容易に起きる。どちらが真の性格を表しているのか、というのはなかなか判定しづらい。
 環境によって役割を考えて選択を変えてしまうし、「こうなりたい」という自分の理想が、回答に対して影響を大きく与えるだろう。

 更に、100分率で別れる要素を2分して性格を規定している以上、どこかに矛盾が出てくることは当然である。たとえば、
 E 55% N 100% T 55% P 55%の人は、
 E 100% N 100% T 100% P 100% のENTPに共感できるのだろうか。
 E 45% N 100% T 45% P 45% のINFJに共感できるのだろうか。
 プログラム上の二分法で考えればENTPに共感すべきなのだろうが、数値だけ見ればINFJと共感できる要素が多くても全くおかしくないのだ。

 結局、そういう流動的であいまいな人々の性格の集合が16タイプであって、「あるある」とは二分法で無理やり16種に分類された人たちの、ふわっとした共通認識でしかない。共感できたりできなかったりするのは当然である。

 つまり、性格タイプ分けに対して、(誰かによって語られる)「各タイプの傾向」のどれに自分が共感できるかによって、「自分の真の性格タイプ」を模索することに、本質的な意味はないのである。

真の性格タイプを見つける意味は?

 となると、「結局性格のタイプ分けには意味がない」という話に帰着するのだろうか?(確かに、これはMBTI批判派の論拠の重要な柱である。)

 しかし、僕はそうではないと考えている。
 そもそもMBTIは、あるあるを語るサロンではない。MBTIは人がどの心理機能を重視しているか、という心の利き手を特定する道具であって、それにより何が得意か、何をやっているときに輝けるのか、ということを導き出すツールだと考えている。あくまで主役は心理機能なのだ。
 自分の利き手である心理機能を仕事で活かせれば、仕事にやりがいを感じて生き生きと働けるし、その愛情表現を大切にしてくれるパートナーと出会えれば幸せな家族を築けるのだから。
    ということで、16タイプのうち診断上の分類がどれになるか、ということは重要ではなく、心理機能の利き手を特定する事が、MBTIで目指すべきことである。この認識を持つことが、この問いに対するスタート地点となる。

自分のタイプを考えるための方策

 さて、多分今まで僕の記事を読んでいただいてくれた方には伝わっていると思うが、僕も特化型ENTPではない。 性格診断では昔INTPと出ていたが、最近は色々感化された結果、ENFPと出てくる。彼女にも同僚にも、珠音は内向っぽいしINTPだろう、と言われる。その上でENTP友と話したら、明らかにENTPだよとも言われる。
 うーん、結局自分のタイプって何やねんと思い、色々考えた。その時に自分が心理機能の観点から特定した流れがこれからの話である。

※心理機能を説明なしに使いますので、理解できてない方は、BPLさんの以下の記事を参考にしてもらえれば!

 まず前提として、性格タイプの決定は「心の利き手を特定する」ことであることであって、それは本人が自然に身につけていった心理機能の順番を特定する作業である。今この瞬間に強い心理機能の順番ではない。左利きの人が矯正した結果右のほうが器用になったとしても、生来はあくまで左利きといえる。

 ENTPであれば心理機能は、Ne➡Ti➡Feという風に身についていくので、あくまで第一の利き手はNe、第二はTi、第三がFeである。これは「過去の事実」であるから、変わらない。
 しかし、環境的にFeが強く求められる状況にさらされ続ければ、TiよりもFeの方が強く発揮され、表面的にFe>Tiになってしまう事があり得る。これが、ENTPが時にENFJっぽく(おそらくその延長でINFJっぽく)なってしまう理由であり、ペルソナと本質が切り分けられなくなってしまう理由だ。
 恐らく相談者さんも、何らかの環境圧によって利き手以外の心理機能を積極的に用いた結果、強さの順列が決定的でなくなっているのだと思われる。

 さて、それでは利き手を特定するための具体的な方法を、僕がどうしたかを踏まえながら共有していこうと思う。

価値観による特定

 一つ目が、割と明確に二分しやすい価値観による分類である。価値観とは持っている判断機能のペアが、Ti-Feか、Fi-Teか、という違いだ。

 前者のタイプは、個人の感情は押し殺しつつ集団の感情を重視し、その媒介として論理を用いる。論理はフェアであり、論理的に正しいことのためには、自分が犠牲になることも厭わない。敗者を切り捨てず助けようとする一方、他者に対してべき論で考える。
 後者のタイプは、集団より先に確固とした個人(自分)の感情があり、論理は自分の願いを現実に具現化させるための道具である。他者に対してべき論で押し付け自由を奪うことはしないが、自分が競争に勝った結果に敗北した人に対しては、仕方がないと切り捨てる。

 この価値観はなかなかぶれることはない。そのため、自分が生来どちら側の価値観かを考えることで、基本的に1/2に絞れると思う。どちらも理解できる場合は、より幼い時に思っていた時の価値観を採用してほしい。
 自分の場合は明らかに前者なので、TPかFJタイプである。(➡僕が16perでENFPと出てくる結果はノイズ)

第三機能からの特定

 もしかしたらこれだけで特定できる人もいるかも。第三機能という、物心がついてから発現する能力の発現の経緯を思い出す特定法だ。
 中学~高校あたりの自分の記憶を遡り、どう考え方を変えたおかげで子供から大人になれたか、生きやすくなったのかを特定してみてほしい。

 相談者さんの場合は、ENTPかINFJで悩んでいる。つまり、共に強く持っているFeとTiのうち、どちらかが第二機能でどちらが第三機能かで悩んでいるという事だ。
 であれば、自分の記憶の中で、どちらが補完的に身に着けていった能力かを特定すればよい。

 ENTPであれば、
「自分が正しいと思う論理的なやりかたを一方的に人に説いていたけど、なかなか人に共感されずに違和感を感じてきた。しかし、徐々に相手の感情や空気に配慮するようにしてみると、自分の主張も受け入れられるようになってきた」
 というような体験をしているはずだ。
 一方INFJであれば、
「周囲の感情を大切にして、できるだけ多くの人が笑顔になれるように行動してきたが、自分の思惑は漠然としており、成功につながらない。しかし、辻褄が合うよう論理的に考えをまとめると、理想がブラッシュアップされ、抽象的ながらも人に理解されるような、実効性がある形にまとまってきた。」
 というような体験をしているはずだ。
 これが、TiとFeのどちらがより後天的(第三機能)なのか、という違いである。

 僕の場合は明らかにFeが思春期に発現して行動をサポートしてくれた。そのため、第三機能Feを持つTP型と思われ、これに明確にN型であるという事実を加えれば、ENTPに特定される。

 これら二つの特定法だけで概ね特定できるのだが、それだけでは自信が持てない場合が以下の特定法だ。これらが矛盾がない結果であれば、より自信を持って良いと思う。

第四機能からの特定

 MBTIの2,3,4文字目は比較的特定しやすいが、1文字目のIorEは割と特定しづらいと考えている。第一機能と第二機能という、自分にとって特に身近な二つの機能のうち、どちらが生来の機能なのかを特定する必要があるからだ。

 この時に使えるのが、第四機能の特定である。自分がNTPと確信できる場合、第四機能の候補はFeかSiの2つである。自分が、どちらかに苦手意識を持つかというのを考えてみよう。

 第四機能がFeの場合は、「みんなのために」とか「協力」とか「寄り添う」みたいなフレーズに対して苦手意識があるはずだ。
 一方、第四機能がSiの場合は、「証拠」とか「伝統」とか「ミスなく」みたいなフレーズに対して苦手意識があるはずだ。

 こうみえても僕は協力とかボランティアとか嫌いじゃないので、多分Feは第四機能ではない。一方で、ミスするなって言われると、失敗は成功の母だろ!って言い返したくなる。INTPかENTPかはENTPのほうが軍配が上がりそうだ。

第一機能へのダイブ

 最後の紹介になったが、恐らくこの方法が最も王道なのだとは思う。8つの心理機能のうち、生まれた時から最も身近にあったのはどれなのか、ということを過去にダイブして釣りあげてくることだ。

 ここでは、幼児期の自分がどんな思考で世界を見ていたか、という記憶を遡ることになる。

 細かく分析して法則を発見することに親しみを感じた(Ti)のか、心のアンテナを無限に広げてワクワクしたかった(Ne)のか。
 自分の幼少期の最もあてはまる心理機能がどれなのかを、記憶の底から引っ張り出してくると良いだろう。

 例えば、ENTPはENFJに擬態はできるが、明らかに幼少期にみんな楽しく(Fe)なんて発想は持っていない。故に、ENTP⇔ENFJの誤診っていうのは第一機能へダイブするだけで簡単に解決できてしまうだろう。

 僕の場合は、本を読んだり外を駆け回ったりと情報のウィングを広げることが大好きだったし、大人に対して(今では信じられないほど)めちゃくちゃ人懐っこかった。幼児期のビデオを見てもかくありなんという感じ。
 こういうのを考えると、まあ恐らくNe第一機能なんだろうな、と推定ができる。

 上記四つの特定に矛盾がないため、僕の性格タイプはENTPだろうと自分の中で確定したのである。

まとめ

 現在の自分が、表面的にどのタイプのあるあるに共感できるか、ということはMBTIの本質ではない。真に重要なのは心理機能の利き手を特定することであって、それにより自分にとって良質な環境を構築する事である。
 心理機能の利き手とは、生まれてから発現してきた心理機能の順番を意味しており、それらは記憶を遡ることで特定できるのだ。

 …最後に、相談者さんの記事で書かれたことに対する感想です。
 「内向寄・感情寄ENTP的」には、共感できることが多かったです。ただ、全てをいちいち共感できるのかと言われるとそうではなく、Pが強い自分からすると、相談者さんはJが強いように見えます。
 ここらへんは濃度の問題でENTPの範疇なのかもしれないし、もともとはJ型なのが環境圧でP型っぽくなってるのかは、わかりません。
 ただ、複数回診断して過去の診断もNT型が主軸になっていたことも踏まえると、どちらかというとENTPがペルソナによってJっぽくなっているのかな、と想像はしてしまいます。

 ただ、やはり正しくは自分の過去を遡ることによって診断されるので、よかったらやってみてください!

    最後にもう1点。相談者さんの、「タイプがわからない」=「心理機能の利き手がわからない」というのは、恐らく悪いことではないです。どれかに特化していないという事は、本来利き手ではない心理機能も十分に使いこなせているという事であって、人として多様性を内包できているということの裏返しと言えと思いますよ。

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