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クライマキナ/CRYMACHINA 体験版感想

クライマキナの体験版が配信されたのでとりあえず行けるところまで行ってみた感想です。
ヘッド画像にしてもいますけど、このミッション開始時の演出は正にCRYSTARの系譜ですね。というかCRY=慟哭でいいんだ(今回のCRYは咆哮の意味もあるらしいですが)。


【BGMがFULLサイズで聴ける】

OPテーマソング「NotToNotice();」はフルで聴けます

いきなりBGMの話ですが、削除氏のBGMがめっちゃくちゃ気に入ってCRYSTARをプレイしていたのですから仕方ない。

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なおこのOPテーマ「NotToNotice();」は難産だった模様です。
というか、このインタビューでも触れているんですが、本作のボーカル曲は英語歌詞でプログラミング言語にもなっているという、世界観に添った凝った演出がされています。
日本語の方がわかりやすい、というのはMonarkやっていて思った部分なんですが、エノア=遠野ひかる氏の声で日本語のままボーカル曲やられるとBGMに徹さず、主張が激しすぎる形になっちゃうというのは予想がつくところですね。

エクレシアのテーマ曲の歌詞なんか超シンプルにストレートで脳筋なので、これを日本語でやったらアカンよなぁ……とか。

\\the order of Eden
(エデンに秩序をもたらす)
\\absolute enforcer of justice
(絶対的な正義の代行者)
\\the shield and sword of the chosen one
(さぁ、剣と盾を手に取って)
LoadEnemyInformation●ECCLESIA●▼
(敵情報を取得。エクレシア)

うん台無しだこりゃ。

Monarkのボーカル曲がエゴ丸出しでもOKだったのは、テーマが人間同士のエゴのぶつけ合いだから。
対して、CRYMACHINAのボーカル曲はどこまでもエノア視点。ようするにエノアの一人称。
そしてMonarkはいわば三人称。敵と相対する時、主人公は共感という権能もあるので、視点や心象を混在させても設定段階で矛盾がないのです。

総じて、英語でプログラミング言語風のボーカル曲というのは機械のエノアがたどたどしく感情や想いを表現しようとしている、という演出になっているのかと。

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ちなみに私が楽しみにしていた、前作との繋がりを色濃く感じさせる「Blue fairy」は一番最初に作られた曲だったとのこと。
そりゃCRYSTARにある程度引きずられるところもあるのは当然ですが、フルで聞くとやはり印象が変わりました。

体験版時点だとまだトランスやテクノ系を取り入れたSFらしさを出している曲が多い印象ですが。
ちなみにトリニティのテーマ曲は「Beat Beat Beat」だと思っていたのですが、これは汎用ボス曲らしく、トリニティのテーマ曲は「xtrinity」という、ちょっとアホっぽい曲。

まぁ初登場シーンでギニュー特戦隊のパロやっているくらいですし…

明らかにアホの子たち扱いなのですが、人格データ取得して生前の本人も覚えていない記憶を閲覧するとCRYSTARの系譜なのでガッツリ重いです。
考えてみれば人類期末期の頃に死んだ人間の生前記憶が重くないわけないだろうという。
なお、製品版では人間以外の人格データも存在するようです。

※※※

また3rdPVで第四神機アントロポスとの戦闘場面があり、上述のインタビューでも戦闘曲について触れられていること、公式ツイッターで7月20日に第三神機ノエインとの戦闘曲が公開されることを考慮すると、やっぱり神機皆ごろしは避けられないようです。

あと体験版時点ではエノアのテーマ曲と思しき「MakeFlowerCrown();」は流れませんでしたね。

【各キャラざっくり印象】

【レーベン】

この「ですます」口調は使っているけど、それは単に他人と距離感を置きたいだけで本質的にはただのコミュ障気味の残念系女の子……零ちゃんと同じですね。

序盤時点ではレーベンは生前の記憶が曖昧なので、どれほど残念なのかはわかりませんが、自分で妹を誤って殺してしまった帳消しのために泣いてわめいてイモしか食わず機嫌が悪くなると妹同然の愛犬に冷たく当たる零ちゃんの残念さはハードルが高いぞ!

あと「人間はクソ」が彼女の人間へのスタンスなので、もう少し口汚いキャラだと思っていましたが、先述通り結構零ちゃん寄りのキャラでした。
人間嫌いだと自称しているのも、他人に気を遣うのが嫌=ようするに他人と共感する能力が高くて傷つきやすいからというあたり、エゴが強い先輩E.V.E二人には無い要素です。

ただ、そんな風に厭世的で人間嫌いを自称するレーベンですが、その何もかも嫌な世界なのに「それでも死にたくない」「生きたい」というのが、本作のテーマになると思われます。

なお、彼女はエノアが「特別な存在」としているわけですが、果たしてエノアが期待するような意味での「特別な存在」なのかは非常に怪しいところ。
このあたりはエノアの所で後述します。

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ちなみに使ってみた性能所感は、近接攻撃も射撃攻撃もショート~ミドルレンジ特化型といった印象。
とはいえこのゲーム、どうも眷属器でどうにでもキャラ性能が変わる印象なのですが。

【ミコト】

何この一人だけ精神年齢10~20くらい上の頼れる姐御……。

トリニティとの初遭遇はミコトが固定なのですが、四対一という不利な状況を天然か計算なのか「数で囲ってリンチとか普通にダサいだろ」と、美的感覚最優先のトリニティの価値観を揺さぶって、一対一のタイマン勝負に持ち込むというクレバーさ。

このガサツなように見えて実は知的な立ち回りがメインって女の子版の館パイセンだ。

Monarkのバディの一人「館凌太郎」

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「格好良く生きたい」という願望はわかりますが、それをここまで実践できるのは凄まじい。
経緯を聞けば八年間もの間、エデンでエノアとアミを連れて、唯一の戦力として戦い抜いていたという歴戦の戦士。
死んだ直後にヨミガエった実際に17歳のレーベンと違って、精神年齢は26歳くらいなのでこれだけ大人なのも納得……できるか!

ミコトも現在は隠しているだけで、館パイセンのように生前時点で何かしら人生経験が同世代より豊富で包容力を養う経験があったのでしょうか。

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性能所感は振りがレーベンより速くて、射撃も遠距離まで届くこちらの方が主人公っぽい性能しています。
ただ、このゲームLv31という半端な状態で開始するのですが、ミコトの初期レベルはLv36くらいだったので、逆説的に八年間の間でLv35前後くらいまで上げたミコトに匹敵するくらいに、初期稼動の時点でレーベンは強いというお話になったりします。
このLvという概念でちょっとレーベンの特別感出すのは上手いですが、果たしてアミはどうなるのでしょうか。

【アミ】

バリバリのレズキャラ。百合じゃねぇ。

とはいえ、ミコトに対して惚れちゃうのはまぁ仕方ないです。実際にミコトはそんじょそこらの男より男前すぎます。

体験版時点ではあまり活躍は無く、製品版で後々解禁されるプレイアブルキャラクターという立ち位置。
ただ、体験版を触るまでは「元々戦えたけど、なんらかの事故がきっかけで現在は現実世界で戦う能力を失っている」と思っていたんですが、どうやら八年前から今に至るまで戦闘能力が無い模様。

E.V.Eとしての適正が高くても、戦闘能力覚醒はまた別のお話……ということですね。
今までは逃亡生活だった中で、家族愛が(偏執的に)強い彼女が守りの時ではなく反撃の攻勢時を迎えた今になってなぜようやく戦闘能力に覚醒するのかは、E.V.Eというものを改めて説明する場面になりそうです。

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あと女子会で明らかにボケ担当。
レーベンとミコトがちょっと常識人すぎ、エノアは全肯定で無口なのでアミがいないと話がスムーズに進まないですね。
……今思えばCRYSTARはロクに女子会やらずに777が一人で癒し担当していたな……。

【エノア】

基本的にあまり感情を込めない演技をしているのですが
この最後の「がんばった」だけはめっちゃくちゃ感情が出ています

実際にプレイする前後で印象が変わったキャラでした。

トリニティとの初遭遇で、即彼女たちを自分側に引き込もうとするのはなぜなにエノアの回答からは想定できない対応で、かなりびっくりしました。

「精神再生」が仕事なだけあって、襲撃されてから拡散した自分の子どもたちとでも言うべき人格データが散逸、乱用されている事態は好ましくないようですね。

※※※

そもそも、自分以外全肯定的な言動がなぜなにエノアでは多かったのですが、実際の作中では「自分は『人類の精神再生』という仕事を達成できた」という強い確信を持っており、それに基づいて行動した結果「いやそれ人類とは認めないから」とノエイン、レティア、ゾーエーに攻撃される結果に。

この第一襲撃は相当苛烈だった模様で、エノアが管理する仮想世界へのアクセス能力も失い、反撃の機会を作れるまで八年間が必要だったというあたりからして、大変な逆境です。

でもエノアは先述したように「自分は『人類の精神再生』という仕事を達成できた」という自負は捻じ曲げず、神機同士の争いという無為な現状を打破するために、E.V.Eたちを本物の人間にすることで「機械は人間に絶対服従する」という権限で争いを止めようとしています。

つまり、そもそもの事の発端である「『人類の精神再生』自体が他の神機に認められていないから、自分たちは逆境に遭っている」という事実に気づいていない、あるいは見て見ぬフリをしている。

これは確かに他の神機からすれば「狂ってしまった機械」と見なされてもおかしくはありません。
エノア側からすれば、ただただ与えられた仕事を全うするために動き続けているだけであり、そこが大変機械的なのですが……。

※※※

そもそもエノアのプランは矛盾だらけなのです。

これはゲームシステム的に、対象ボスキャラを倒してシナリオ進行するまでのレベルキャップが設けられているフレーバー設定でもあるのですが、自らを取り戻すために、神機同士の争いを止めるために自分以外の神機を皆ごろしにするという矛盾発言しているも同然という事実。

繰り返しますが、神機たちの最優先命令は「人類再生」なので、それを愚直にエノアは実行しようとしているだけです。
でも、エノアは同時に他の神機たちを尊敬し、争わないでほしいと願っています。
ただそのエノア自身のエゴより、機械として最初に与えられた任務を遂行しようとしているだけ。

OPテーマ曲「NotToNotice();」は正にこういうエノアの自己矛盾、溢れ出す感情とエゴに困惑しながら、それを見て見ぬフリをしている様が詠われているわけで、中々に業が深いです。

本作のテーマは「殺生」らしいのですが、序盤のエノアはこの「殺生」という業から「自分は機械だから」と目を逸らしているスタンスですね。

「親しい間柄のレティアと戦うのは辛くないのか」
というレーベンからの問いに対するエノアの返答

一方でレーベンは、殺生という業に罪や哀しみという葛藤を抱えて、それでも「死にたくない」「生きたい」というエゴを貫く
苦しみながらも業と向き合うレーベンと、言い訳をして業と向き合おうとしないエノア。
この対比は主人公とヒロインとして、大変よくできた構図です。

そしてこれは主人公側視点の話であって、他の神機から見れば「E.V.Eも神機も同じ機械なんだから何言ってんのこいつら」なので、狂っている判定されても仕方がない話です。

「敵の言っていることにも正しさがあり、主人公たちの行いが決して正しいわけではない」のはCRYSTARでもMonarkでも一緒で、それでも掲げたエゴを貫けるのか?
このシナリオ展開の中で「自分のエゴに目を背ける」のはCRYSTARの恵羽千でちゃんと描ききれなかった部分なので、エノアがそれに答えを出してくれるのは期待したいところですね。

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なお、エノアのイデアコードが欠けているせいでレベルキャップ問題が生じていますが、本作では先述通りLv30代という半端な数値からスタートします。
そしていわゆる「実績」にはLv99到達があります。
仮に神機を一体倒すごとにLv10ずつレベルキャップが解放されるなら、第一神機「プロパトール」がロストした現状、レベルキャップ到達のために倒す神機が一体足りない。

台詞ウィンドウに潰れて見にくいけれどプロパトールのマークが
【LOST】表記になっています

八体在る神機のうち、エノア自身とプロパトールを除けば六体しか残らず、皆ごろしにしても10×6=60なのでLv30+60=90となるわけです。
一体倒すごとにLv10ずつ解放は所詮は仮定なのですが、そもそもプロパトールがロストする直前に「レーベン・ディステルが特別な人格データ」というメッセージをエノアは受け取ったからこそ、上述したようにエノアは自分のプランや「人類の精神再生に成功した」という確信を持っていることを考慮したいところです。

機械たちにとっての命令優先順は「人間>プロパトール」なので、エノアはプロパトールのお墨付きがあるからこそ他の神機から見れば狂っているとしか思えないほどの独断専行をしていることになります。

でも、プロパトールの「レーベンは特別な存在」というメッセージがエノアの期待したような意味ではなかったとしたら?
プロパトールは本当にロストしたのか?
そもそもなぜプロパトールはロストしたのか?
以上のことを考慮すると、プロパトール(あるいはだったモノ)とも戦う展開が予想されますね。

【探索・戦闘について】

最後になりましたが、これはPVで見ていた印象そのままで、割とレスポンスの良い普通のアクションRPGといった感じです。
CRYSTARがもっさりしすぎていたんだよ説。

正直一対一のボス戦より複数の敵に囲まれる、また次から次へとリポップするザコ戦の方が恐ろしい(トリニティフルメンバーとの戦いがあったら難所になりそう)。
覚醒はボスより複数の敵が出てくるザコで使った方が安全……と思っていたら、絶対ザコ召喚するボスが出てくるヤツだコレ。
というか神機は高確率で自分の眷属を戦闘中に召喚しそうだし、アントロポスなんか複数の棺がファンネルみたいになっているし……。

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またCRYSTARより大分1ステージが小さめです。
CRYSTARがテンポ悪く長すぎたんだよ説。

脇道に逸れると、解放時点では1HIT即死するような強敵と戦える要素があるので、このへんはアクションRPG得意な人には嬉しいところかもしれません。
カウンターやジャスト回避に無敵状態の覚醒があるので、割となんとかなる要素があるところです。
私もこういうのは好きな方なのですが、再挑戦するにはステージの最初からやり直さなければいけないのが面倒なので素直にLv上げしてから挑もうと思います……。
強敵との戦いがすぐに再挑戦できるP5Sの剛魔や、天穂のサクナヒメみたいな感じだったら挑戦回数の暴力で低Lvのままねじ伏せるんですが。

※※※

また、戦闘補助で重要な眷属器関係は名前のまんま、Monarkの要素が引っ張られていますね。
頭、体、足に装備する防具枠のモノはかなりMonarkそのまんまです。
一方で眷属器は戦闘中でも実は入れ替えできる(設定変更面倒くさいけど)ので、リポップした敵に応じて眷属器の入れ替えをして戦術変更とかもできます。
……でもドロップした眷属器をバシバシ分解していかないとキャラクター育成リソースのEGOが全然入手できないので、ここらへんの葛藤はMonarkそのまんまですね。

CRYSTARでは強力な付随効果が付いた装備が出るまで零ちゃん何度も泣かせてガチャるというプレイングがありましたが、エノアは泣かないので罪悪感が薄い。
……つまりたくさんガチャが待っているような気がします。

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総じて、人間性の闇とエゴを抉り出す作風は変わらず、削除氏のBGMも良い感じです。
戦闘面はCRYSTARよりはるかに改善されていますが、これでやっと普通というくらいCRYSTARの戦闘が正直アレすぎたので期待できるかどうかはよくわからないところです。

ようするにいつも通り万人にオススメできないゲームです。

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