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クライマキナ/CRYMACHINA クリア後感想 ネタバレ無し

ネタバレでもなんでもなくそういうゲームだというのはわかりきっているのでまず一言で済ませると。


【ある疑似家族(おままごと)が世界に牙を剥くまで】

//They apptend me as family
(わたしを家族として受け入れてくれた人たち)
//now, i have aplace where i belond
(今ではわたしに居場所がある)
DowhatiCanDoforthem●●▼
(彼らのためにできることをする)

MakeFlowerCrown();より

エノアのテーマ曲「MakeFlowerCrown();」の歌い出しにしろ、劇中での言及にしろ、本作CRYMACHINAは主人公四人の少女たちは疑似家族として、互いに互いを支え合って、逆境だらけの世界で生き抜くお話です。

「帰る場所が家族」
というのは本作の大事なテーマで出撃と帰投時にはそれぞれ
「いってらっしゃい「いってきます」
「おかえりなさい」「ただいま」

という挨拶が交わされシナリオ進行と共に徐々に重みを帯びてきます

主人公であるレーベンが迎え入れられた時には、既にエノア、ミコト、アミの三人で家族が形成されていたわけですが、ここらへんの疑似家族が出来上がった過程は、アミがプレイアブルキャラとして使用可能になるあたりの回想で描かれています。

この様を機械と人形のおままごとと嘲笑うか?
それとも、確かな絆で結ばれた尊い愛の結晶と見守るのか?

実は、本作は最後の最後までプレイヤーに対しては「どっちに受け止めてもいいよ」というスタンスだったりします。
林Pの手がけた作品では割といつものことです。
「私はそう信じる。世界がどう思おうと、どうあっても関係ない。だってこれが私のエゴだから」と作中人物たちが開き直るまでのお話。
毎回そうなんだけど、この一貫したテーマがいい。プレイヤーは、主人公たちを否定してもいい。そこまで主人公たち操作したのはプレイヤーなんだけど、ゲームだからこそ途中で投げ出したりゲームオーバーした時こそが終わりと解釈してもいい、というのがゲームというコンテンツの強みですね。

【本当の家族(務め)と、疑似家族(自分たちのエゴ)】

本作のメインキャラ三人は生前の家族関係に色々と問題があり、E.V.Eとして蘇って得た今在る家族、そしてそれを守るために最後の最後までブレずに突っ走り続けます。
例えそこにどんな障害があっても、どんな真実があっても。
キャラクター一人一人は、揺らいだり迷ったり挫けたりすることもあるんですが「四人は一人のために、一人は四人のために」的な家族愛で支え合う関係が描かれています。
まぁ逆に言うと四人が支え合った結果、四人とそれを肯定する機械たちにとってはハッピーエンドだけど――という終わり方をするのですが。
この事実は作中人物にキッパリハッキリ指摘されています(3rdPV見ただけでも時点でも十分わかる話です)。

ここらへんは、CRYSTARでは揺らいで迷った結果、是正されずに(メリー)バッドエンディング直行したり、各バディの影響は受けつつも決して揺らぎも迷いもせずに己のエゴに従い続けたMonarkと明確に違うところですね(というか副長はちょっと妹以外のことに関してはメンタルHP高すぎる)。

※※※

自分を生んで育てた本当に血の繋がった家族と、自分で見つけた居心地の良い居場所。
そして生まれ育った家族だからこそ生じるしがらみと責務、信頼し合っているけど元々は赤の他人だった寄せ集めの烏合。
この葛藤は、主人公だけでなくあらゆるキャラクターが苦しんで向き合っており、結局はみんな直面した残酷な運命にCRY(嘆き、抗う)MACHINAだったのだと示されています。

【アクション、バトル面】

これは「寄り道を一切せずに一直線でシナリオルートのみをやっても終盤まではそこそこの難易度(ただしラストバトルだけは地獄)」で、寄り道の度合い次第では楽勝すぎて議論バトルをしている間にボスが倒れるという情緒もへったくれもない結果になったりします。

シナリオではレベルキャップが設けられているうえ、比較的経験値に余裕がある(ラストバトル以外は)ので、デザインを越えた悪さがしにくくなっているという調整ですね。
ただしハクスラ要素が強く、敵の動きは割とシンプルなので、ガッツリ稼ぐと楽勝になってしまうという調整です。
とくに攻撃力を上げまくって覚醒でゴリ押ししたアミは本当に敵を問答無用で瞬殺します。

【眷属器】

色々あるんですが

近接型ブレード
妨害、支援型
遠距離、支援型
防御特化型

結局使っていたのは、ほとんど遠距離型と防御型の眷属器でしたね……。

遠距離型は三点バーストが中距離くらいまでしか射程がないんですけど敵を拘束してくれるうえに派生するレーザーが威力もそこそこあるので、瞬殺したり何もとくに考えずに戦う時に便利なのです。

そして防御型はアクティブ状態にするとゲージ分だけダメージをキャンセルしてくれるので(怯んだりすることもない)、キャラ本体のみで攻撃に専念する時に便利。

戦闘中に眷属器の入れ替えができるという仕様や、されども付け替える面倒臭さもあって、大体この二つばっか使っていましたね……。
ちなみにこれを書いている時点では一応、クリア後最強のボス(推奨レベル110のヤツ)を倒したうえでの感想です。

【レーベン】

主人公だけあって、最終的に一番使いやすくてラストバトルからクリア後はレーベンばっか重点的にレベル上げしていました(他の娘に振る余裕もないし、Lv差で経験値量が増減する仕様上アミで稼ぎをするのは効率がいいので)。

※※※

チャージ攻撃
まっすぐ突貫し、最大チャージ時は周囲にいる敵を全て貫通して4HITダメージを与える

レーベンはこのチャージ攻撃が強い。威力もそうですが使い勝手がいい。
最大チャージでは敵を貫通するので適切な間合いを保ちやすく、このゲームの敵は攻撃の準備動作が一瞬ですぐさま攻撃判定が生じるようなのがないため、悠長にチャージしていられる余裕があります。
余裕がない時はシールド眷属器と併用します。

射撃
こちらも最大チャージ時はホーミング機能が付くのでエイムがテキトーでもいい

射撃の使い勝手もいいので、的が小さいボットや攻撃準備動作に入るまでの暇な間にとりあえず牽制射撃とかできます。

【ミコト】

オールラウンダー=序盤では扱いやすかったんですが、終盤では息切れ感ありましたね……。
通常攻撃の振りが早く、敵とのレベルが適正では覚醒でゴリ押しもありなんですが、チャージ攻撃の間合いが狭く射撃はちゃんとエイムつけないと当たらないのでテキトーなプレイが許されない。

ジャスト回避の仕様

あとジャスト回避後の特典性能が終盤ではモロに響きました。
レーベンは一度ジャスト回避に成功すれば、大体五秒くらいは無敵でチャージ攻撃の判定も威力も強めということがあって、ジャスト回避から一転攻勢にさせやすい。

一方でミコトはあくまで本体が速くなるだけなので攻撃は真面目に避けないと死にます。レベル差あっても致死攻撃の威力は心底マジ危険ヤベぇのがこのゲームなので……。

ミコトで適正レベル帯でクリア後の裏ボス二体を倒した人はかなり上手いと思います。気を緩む暇がないのに長期戦になるからキツいんですよミコトは。

【アミ】

とにかく威力も愛も重い。

チャージ攻撃はぶんぶん斧を振り回して
フィニッシュの薪割りブロー

これを覚醒状態でやると適正レベル帯のボスですらクリーンヒットでHPゲージバーの1/3~1/2くらいは吹き飛ぶ。

基本的に防御眷属器でチャージ時間の安全を稼いで、チャージ攻撃で吹っ飛ばす超ヘヴィキャラです。劇中シナリオでも愛が激重。
なお、キャラ性能から離れますがアミは愛は重いですが歪んではいないです。それはそれで怖い。

あとこの近接攻撃以外でも、射撃攻撃も強い。

射撃は残弾仕様そのものがなくワンショットそのものが重く弾速も遅い
そのかわり最大チャージではヒットすると爆発&スタン付与するうえ威力が凄まじい

エイムは真面目につける必要ありますが、着弾すると爆発する仕様のおかげでテキトーにザコ戦ではシールド貼りつつ射撃爆弾でザコを処理し、ボス戦では覚醒チャージでフルボッコ(本当にそう言う)で瞬殺してしまうので、適正レベル帯だと割と最強キャラ感あります。

ただ、エノアの支援ありきなので、地力だけで格上のボス相手に戦うとキツい娘です。
レーベンは格上で単独でもかなり戦えるあたり、性格が出ていますね……(家族を頼りにすることをためらわないアミ、家族に負担をかけたくないために独走するレーベン)。

【エノア】

エノアは戦闘には直接参加しませんが、誰が出撃しようと常にサポートしてくれています。
シナリオでも基本的に出撃キャラが強制されており、一時離脱も多いので一貫して戦闘に参加し続けているのはある意味エノア。
レーベンが一応主人公ですけど、全体的に見るとエノアこそが主人公でヒロインのような気もします。

※※※

で、エノアはE×PでLvUPしないかわりに、EGOで各種援護を伸ばす方式になっています。
エノアに一度割り振ったEGOは出撃中以外はいつでも振り直し可能で、目的に応じて支援項を変えられます。
稼ぎ目的なら上記画像のように取得兵装の性能UP率上昇や獲得経験値量上昇を上げ、強敵と戦う時は覚醒や回復、弱点検知を伸ばすなどが必要です。

なお、Monarkでもそうでしたが各キャラの基礎能力向上にもEGOを使うので、EGO不足問題は常につきまとうことに。
Monarkでも思っていたんですが、レアリティの高い思装や眷属器の解体で貰えるEGOは低レアリティより多めでも良かったんじゃないですかね……(一律5)。

【レベル差のある敵との戦い】

体験版時点でのプレイヤーLv40VS敵Lv75は無理ゲー感あったのですが、装備とエノアの支援が充実するとこれがかなり面白かったです。

このゲーム、上述したように敵の動きは鈍いので攻撃をかわすこと自体はそう難しくない。ただし敵が複数出てきたり、ステージギミックと組み合わさったり、ストーリーボスの使う範囲攻撃はかなり危険でレベル差があると直撃=即死となり、緊張感が高い。

この対策として

  • 敵をダウンさせて攻撃特化と覚醒で一気に仕留める(ただし厳選した攻撃特化装備が必要でほぼアミ専用作戦)

  • シールド眷属器で危険な攻撃を避けて、真剣に避けにくい攻撃の時に覚醒してダメージも一気に稼ぐ

  • 敵側がオーバーヒートするとダウンしやすくなるので、敵の攻撃を誘発させて避けながらちまちまと眷属器で攻撃し、ダウン時にダメージを稼ぐ

  • 敵がダウンしてダメージを稼ぐ時はデバフで弱体化させて攻撃特化装備に切り替える

など、かなりRPGの要素が強くなります。ラスボスと裏ボスはこれのおかげでかなり楽しかった。
ただ、敵とのLv差が激しすぎるとDEXと安定性を上げないとまず敵に攻撃が当たらないので、これがまた装備を限定されて厳しい。この制限が楽しいと思うかどうかは人次第ですね(私は楽しいと思うタイプ)。

ぶっちゃけて言ってしまえば、Lv110スタートで最終的にLv140くらいになる三週くらいするボスラッシュDLCとか出しません?(CRYSTARの零ちゃん号泣のアレと同タイプ)
少なくとも私だけは喜ぶぞ。

【総評】

BGMは語るとそれ自体がネタバレになりそうなので今回は割愛します。
ただコーラスも含めるとほとんどのBGMにエノア=遠野ひかるボーカルが入っているので、とのぴーファンには嬉しい作品かも(人を選ぶ作品なのでオススメはしにくい)。

アクションRPGとしては、エノアに支援要請する際のUI以外は手堅くまとまった感があります。
シナリオは比較的サクサク進むけど、そのままサクサク進めていたらラスボスだけは今までとは一線を画す強さに設定しているのはかなり上手い調整です。
また、詳しいことはあえて書きませんが、ラストバトルは調整だけでなく演出も大変上手い。

※※※

シナリオは真実が明かされてどんでん返しが起きる場面が何度かあり、そのたびエゴが揺らぐ様を描くのですが、今回はタイムループが起きないので「一度やらかしちまったもんは取り返しがつかない」というのがより重く響いています。

「殺生がテーマ」なので、ブッころした責任や罪悪感はずっと背負っていけって方向性ですね。
……ただ「ブッころさないと生き延びられない」という事実は何度もシナリオで突きつけられるものの、良くも悪くも演出がサッパリして押し付けがましくないので、このテーマの重さを感じられるかどうかは人によりけりだと思います。
というか、上述の画像でもミコトとレーベンの受け止め方の重さが違うように、そこらへんのすれ違いはわかったうえでのシナリオでしょうね。

CRYSTARも「涙に意味を与えてあげて」というキャッチフレーズに対し、ちゃんと最後の最後で零ちゃんが流した涙に意味を見出す場面があるのに、それがわからないプレイヤーもいたわけなので、CRYシリーズはこういうもんですね。

【最後に一つ】

ラストバトル後、タイトル画面とエノアの話はよく見て聞きましょう。


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