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シャープの話

目の付け所が・・・というのは昔の話。業績不振に陥り台湾の鴻海に買収されるなどいいニュースを全く聞かないシャープですが、今どうなっているのでしょうか。

売上高の推移

まずは簡単に売上高を見ましょう。ちなみにシャープが鴻海の買収案に合意したのが2016年3月、株式発行による鴻海グループ子会社化が2016年8月。FY16は買収途中でまだ鴻海の立て直し効果がわからないので、FY17を見ていると、ひとまずFY15と同程度の売上高となり、少しずつ立て直しが進められているような印象を持ちます。

営業利益の推移

また営業利益の推移を見てみると、こちらもFY16, 17で良化傾向にあり、まずは順調な滑り出しをしているように思えます。というか、以前がひどすぎるというのもありますが。。。FY17だけでなく、今後も営業利益が拡大していくことができるのか、目が離せないですね。

今シャープは何をしているのか

さて、NECと同じように、シャープの事業は今何があって、どんな方向性にあるかを見ていきましょう。まずはセグメント別の売上高をならべてみました。

シャープの事業は大きく分けて4つです。それぞれ代表的な商品の一覧を紹介すると、

スマートホーム: 携帯電話機、電子辞書、電卓、ファクシミリetc.の電化製品
スマートビジネスソリューション: POSシステム機器、電子レジスタ等の業務用機器
IoTエレクトロデバイス: カメラモジュール、センサモジュール等の電子部品
アドバンスディスプレイシステム: 液晶カラーテレビ、ブルーレイディスクレコーダー等の液晶製品
シャープHPより抜粋

となっております。単純明快でわかりやすいですよね。売上高で見ると全セグメントで売上増となっていますが、特にアドバンスディスプレイシステムの売上の伸びが良いですね。元々力を入れていた液晶分野で売上の伸びが見られるのは、復活へいいスタートを切っているのではないでしょうか。

シャープの目指すところ

中期経営計画を見てみると、2019年度で売上高3兆2,500億円(対17年度比144%)、営業利益1,500億円(同166%)を目指すということでした。ちなみにセグメント別でみると、下のグラフのようになります。

なんだか、とんでもないことになっています。スマートホームで1兆円を稼ぐというのが目標になっているのですね。これは液晶一本足のシャープを脱却し、新たな収益の柱を作ることを意味しているようにも思えます。

また技術的な面では、2つの技術を実現し事業の高付加価値化を目指すとしています。それが「人に寄り添うIoT」「8Kエコシステム」です。

人に寄り添うIoT: シャープはAIとIoTに対応したAIoT機器が、人や環境の変化に気づき、考え、最適な提案をしてくれるパートナーになることを「人に寄り添うIoT」と呼んでいます。これをスマートホームやスマートオフィス、スマートファクトリー、スマートシティなどへ拡大することで、人が主役になるスマートな社会を実現していきます。
8Kエコシステム: ハイビジョンの16バイとなる8Kの超高精細映像は、驚異的な臨場感や立体感による「圧倒的なリアリティ」を実現するとともに、今まで映らなかった細かなものを鮮明に映し出すことで「新たな発見」をもたらします。
シャープHP アニュアルレポートより抜粋

人に寄り添うIoTというのが、特にスマートホームに該当する部分かと思います。家電製品をただの家庭製品で終わらせず、AI/IoT技術によって付加価値を向上させて収益拡大を図っていくものと考えられます。2つめの8Kエコシステムが、IoTエレクトロデバイス及びアドバンスディスプレイシステムに該当する部分になりますね。液晶技術のさらなる進歩、そしてそれを支えるデバイスによって収益拡大を狙っていく、そんな方向性が見えます。

総括して、FY17はいい滑り出しなのだと思います。ただまだ1年、今後鴻海のもとでどれだけ成長していくことができるのか、今後の動向にも注目していきたいですね。

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