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ようやく再就職🎉

やっと仕事が決まった。
次の職場は老人ホーム。住人の方々に、朝ごはんと昼ごはんを出す、ウェイトレスの仕事だ。

今回、就職活動をしてみて、よーくわかった。
これまで、選ばなければ仕事はあると思っていた。
けれども、選ばなくても仕事はない!

前回の仕事、季節労働は1月5日に終わった。
この仕事は、オンラインでオーダーされた商品を、デパートの中を歩き回って集める仕事だ。
さすがはアメリカ、ホリデーシーズンに向けて、毎日大量のオーダーが入った。パーティドレスも飛ぶように売れる。
ところがこれらオーダーは、サンクスギヴィングをピークに減っていき、クリスマス以降、注文をする人は激減した。
「休みたい人は休んでください」「帰りたい人は帰ってください」
毎日、連絡がくる。
解雇の日がわかっていたので、せっせと出勤したけれど、することがなくて耐えきれず、早々に帰宅する。
季節労働者を雇う意味がよーくわかった。
「4月にアニヴァーサリーで、求人があるから戻っておいで。戻るときは連絡してね」
アシスタントマネージャーのダスティンは言った。
新しい季節労働者は全員解雇、と会社が決めたので実現しなかったけれど、彼は私にポジションを与えるつもりで動いていたらしい。
有難い。
とはいえ、4月まで待っていたらホームレスだ。
パートタイムでつないで、会社に戻ることも考えた。
けれども、私は人の上に立って仕事ができるタイプではない。そして、いつ辞めたくなるかわからない。継続するという点では、私自身をまったく信用していない。
ポジションの可能性を考えただけで、辞めにくくなることを考えただけで、会社に戻りたくなくなった。

それでも「戻りたくない」なんて、言っている間はまだ良かった。
あれこれ探してようやく気付いた。
資格も学歴もない私を雇ってくれる会社はそうそうない!
そうかといって、欲しい資格もなければ、やりたい仕事もない。やりたいことと言えば、書くことくらい。
とはいえ、書くことで食えないのだから、働かねばならぬ。
資格も学歴もなく、やりたいことで稼ぐこともできないくせに、やりたくない仕事、できない仕事はある。
オフィスワークは絶対寝るし、セールスの才能はゼロだ。
ウェイトレスはできないわけではないけれど、トレイいっぱいのドリンクを運んで、ぎっくり腰になった経験がある。15年前にぎっくり腰なのだから、今だったらどうなるのか?
要するに、仕事が見つからない原因は、私自身にある。

時給が良いに越したことはないけれど、1日8時間、週5日過ごす場所だ。やりたくない仕事は避けたい。
現在、車がないので、オフィスワークとセールス以外のフルタイムで、バスで通える範囲の会社に履歴書を送った。
毎日、毎日、来る日も来る日も履歴書をばらまいた。
新しい求人は、毎日出ているのに、私を求めてくれる会社はひとつもない。

ふむ・・・経験のある職種に絞った方が良さそうだ。
私にあるものといえば、グロッスリーストアの経験と、ベビーシッター、ウェイトレス、クック、ベーキングを少しだけだ。
採用してもらえそうな内容に履歴書を書き直し、コーヒーショップ、ケーキ屋、パン屋、学校給食など、毎日せっせと送った。

ある日、近所のグロッスリーストアで、ナイトクルー(夜勤)の募集があった。
肉体労働に自信がなくなりリタイアした私が、同じ仕事に就くのはどうかと思う。
とはいえ、今や迷える立場でもない。何時でも、何時間でも、何曜日でも働けますと書いて応募した。
その日の夕方、マネージャーという方からメールがきた。
「冷蔵庫、冷凍庫の中の仕事は大丈夫?」「20キロくらいの荷物を持ち上げることはできる?」「夜の11時から朝の8時まで働ける?」という内容だ。
うーーーーーん・・・背に腹は代えられない。
「全部できます!」という返事を出して寝た。
ところが、採用されたらどうしようと思ったら、おちおち眠ってもいられない。夜中に働くのも、冷凍庫で働くのも、重い物を持つのも、もうやりたくないし、自信もない。
数時間前に寝たところなのに、朝の4時から起き出して、「すみません。仕事が欲しくて、できると書きました。ホントはできません」と、”嘘ついてごめんなさいメール”を出した。
「ホントのことを書いてくれてありがとう」という返事がきて、ちょっとおもしろかった。

裏のホテルのレストランで募集があった。
徒歩30秒!
レストランだし、近所だし、ここしかない!決まった!本気で思った。
けれども、近所で都合がいいのは私の方で、あちらではなかった。
会社が欲しいのは、近所の人よりも、ホテルのお客様に、きちんと対応できる、英語で客を楽しませることのできるサーヴァーだ。

登録した求人会社を通して、学校給食のパン製造会社からオファーがあった。
やったー!!!
ガッツポーズをしたけれど、パートタイムだし、早朝にたどりつけるバスがない。
なかなか上手くいかないもんだ。

お掃除の仕事はすぐに連絡が来た。
個人のお宅のお掃除だ。会社の車を使えるし、フルタイムだし、ヴァケーションも充実しているし、なかなかの好条件。
きっとお金持ちの顧客を抱えているのだろう、時給も良い。
経済的なことを考えると、この仕事を選ぶべきだ。
お掃除は嫌いじゃない。個人の家なので、気持ち悪いほど汚れていることもないだろう。
よし!と思ったけれど、バスを乗り換えなきゃ会社にたどり着けない。
アメリカの車社会に慣れてしまった私には、ハードルが高い。会社にたどりついた時点で力尽きそうだ。
方向音痴の私が、クライアントの家に、時間通りたどり着ける可能性も低い。
ノーチョイスになった時に、お願いすることにしよう。

約1か月間、ずーっと、こんなことをしていた。
そして先日、やっとこさ仕事が決まった。
老人ホームでウェイトレス?イマイチ、状況が浮かばない。
けれども、お食事のお手伝いなら私にもできそうだ。

会社は余程困っていたのだろう。履歴書を送った数時間後には電話がかかってきた。
「人が必要やねん!今日、3時に面接これる?」
スペイン語訛りの上、異様に早口で、何を言っているのかわからない。
私も、手当たり次第に履歴書を送っていたので、すべての会社の名前を覚えていない。
私は3時にどこへ行けばいいのか?
何度も聞き直して、ようやく、我が家からバスで8分の場所にある老人ホームだとわかった。

ホームの中に入り、無愛想な受付のおばさんに、面接に来たことを伝える。
「これに記入して」
おばさんは、異様に分厚いアプリケーションを私に手渡した。
アプリケーションに記入していると、電話の主、マネージャーのベルナルドが登場した。
「こんにちは!」
挨拶をして5分で終了。
「これは面接か?」という内容だ。仕事の簡単な説明をされただけで、質問された記憶がない。
ベルナルドが去った後も、アプリケーションと奮闘する。
オンラインでも同じことを書いているのに、なんで、書かなきゃならないの?
おばさんに聞きに行った。
「応募する時に書いてるけど、もう一度書かなきゃダメなの?」
「あれは中間業者の履歴書、これはこの老人ホームの履歴書」
なるほど・・・納得して最後まで書き上げた。
途中、わからない箇所があったので、おばさんに聞きに行った。
この人は、無愛想なのではなく、家でも外でも、相手が誰であろうが、態度を変えない人のように感じた。

その夜、「私たちのチームにようこそ!」というウェルカムメールと、オンラインの書類が届いた。
書類は、現場で書き上げたアプリケーションと重複する。さらに、会社のポリシー、誓約書、ちょっとしたテストもあるので、ものすごい量だ。
誓約書やテストはともかく、重複する部分は勘弁して欲しい。
「面接のときに書いたけど、これをまたタイプしなきゃいけないの?」
聞きたいけれど、おばさんはいない。
・・・なんだか無駄の多い会社だ。
しかも「チームにようこそ!」と言われても、採用されたのかどうか、イマイチわからない。ドラッグテストもしていないし、通常は採用までに2週間はかかる。
信用はできないけれど、面接の感じからしても、いずれ採用される気はした。

大量の書類はその日のうちにやっつけられず、翌日も朝から奮闘した。
わからない箇所があり、人事部に質問メールを送った。
回答の後に、「早く終わらせてね。明後日から仕事よ」と書かれていた。
どうやらホントに採用されたらしい。
しばらくして、元同僚から電話がかかってきた。
「今、アリシャて人から、リファレンスの電話がかかってきたよー」
リファレンスは、前職の企業に問い合わせ、私の勤務態度や経歴を確認する作業だ。通常は、採用のプロセスの作業で、採用後に行っても意味がない。
きっと、「リファレンスをした」という記録が必要だったのだろう。
私も困っていたけれど、相手も困っていた。お互い様だったようだ。

まだ行っていないのでわからないけれど、まぁ、いい加減な会社と考えていいような気がする。
老人ホームでいいかげん?と思うけれど、粗悪な介護スタッフが次々と入れ替わる現場は意外と多いらしい。怖い怖い。
とはいえ、今の私はそんなことを言っている場合ではない。
時給は安いし、朝は早いけれど、職場はアパートの前の道を一直線。徒歩でも20分の距離だ。
ファンシーなレストランで、お金持ちにお料理を出すよりも、お年寄りのペースに合わせて、お食事を出す方が私には合っている。
スタッフはわからないけれど、ベルナルドと受付のおばさんは良い人だと感じる。
お年寄りの役に立つ仕事というのも、なんだか嬉しい。
日本で暮らす両親のお世話ができないので、こちらのお年寄りのサポートをする。巡り巡って、誰かが両親を助けてくれる気がする。

明日は初出勤、楽しく働いてこよう。

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